最新、7月18日付の米ビルボードR&Bアルバムチャートで6位に初登場したのが、オムニバス『21 Throwback Jams』なる作品。どうやらフィジカルのリリースはない模様で、おそらくはこの作品だと思われます(配信開始が昨年6月なのでこれで合っているかどうか100%の自信は持てないのが正直なところ)。
ジャケットのチープさには驚かされましたが...中身は90年代R&B/ヒップホップの(主に夏らしい)名曲満載で、”昔を思い出す(throwback)”作品集となっています。日本でもこの手のオムニバスはよく目にしますが、5ドル99セントという価格は非常にお手頃なのではないでしょうか。
地味ながらも、この名曲が収録されているのは嬉しいですね。
グルーヴ・セオリー。アルバムは1枚のみ(2001年に発売予定の作品はお蔵入り)、シングルも総合5位、R&B/ヒップホップ3位の「Tell Me」以外はさほどヒットせず...ともすれば一発屋と思われてもおかしくはないかもしれませんが、曲はクラシック化しています。清涼感ある歌声のアメール・ラリューは脱退後ソロで活動を続けていましたが、もう一人のメンバー、ブライス・ウィルソンと2010年再度タッグを組みグループを再始動している模様です(模様、と書いたのは未だリリースが無いゆえ)。
『21 Throwback Jams』には、そのブライス・ウィルソンが手掛けた別曲も収録。
トニ・ブラクストンのセカンドアルバム『Secrets』(1996)からの先行曲。ベイビーフェイスとの共作によるこの曲は総合、R&B/ヒップホップ共に1位を獲得。メロウなイメージの強いベイビーフェイス制作曲の中でも異彩を放っており、ブライスの影響は強いと思われます。
ちなみにこの「You're Makin' Me High」をサンプリング使用したのがセカンドシティの「I Wanna Feel」。今回調べてみて初めて同曲の存在を知ったのですが、昨年UKチャートを制覇したとのこと。
ジョデシィをサンプリングしたタフ・ラヴ「So Freakin' Tight」(→YouTube)やジニュワインをサンプリングしそのジニュワイン自ら参加した、同じくタフ・ラヴによる「Pony (Jump On It)」も同種のアプローチでしたが、「I Wanna Feel」はそれよりも前に90年代R&Bのダンスミュージックとの邂逅を果たしていたと言えます。
この「I Wanna Feel」、そして『21 Throwback Jams』のヒットを受けて、再始動のアナウンス後5年が経過したものの未だ新曲公開の動きがないグルーヴ・セオリーに、本気になっていただきたい...と強く望んでいます。