イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

とあるCMの使用曲への違和感と、違和感を生む理由

マツコの知らない世界』(TBS 毎週火曜21時)の6月中旬放送回において、その終了直後に流れたふたつのCMに強い違和感を覚えた次第。

なんだろうこのBGMの安っぽさは!と、原曲とのあまりの勢いの差に、正直唖然としてしまいました。

 

『オーブクチュール』のCMソングのオリジナルはジャクソン・シスターズI Believe In Miracles」(CM曲「ソフィーナオーブクチュール」Miraclesジャクソン・シスターズ - MUSIC NETより)、そして『のどごしオールライト』のCMソングは、ビヨンセ feat. ジェイ・Z「Crazy In Love」...ではなく、その「Crazy In Love」がサンプリングで用いた、シャイ・ライツ「Are You My Woman (Tell Me So)」がオリジナル(キリン のどごしオールライト|CMギャラリー|エンタメ・レシピ|キリンより。たしかにシェリーさんの歌う?メロディがビヨンセじゃないよなあと思ってはいたので、納得はしました)。つまり、CMソングに使われたのはいずれもカバーバージョンなのです。それにしても、商品と楽曲との相性はともかく、オリジナルの2曲とも激しめ且つブラスの音が印象的なため、カバーバージョンでのブラスの音の安っぽさがより際立って聴こえてしまうのは自分だけでしょうか。さらにはその安っぽさゆえ、あたかも商品さえチープに見えてしまう印象すら...これはあまりに厳しい物言いかもしれませんが。

 

ならば、きちんとしたオリジナルの楽曲を使えばいいのでは?と思うのですが、それがうまくはいかないようです。

CMに既成楽曲を使用する場合、そのロイヤリティは音源(レコードやCD)を流用するか、あるいはカヴァー曲を作るかによって異なる。音源使用の場合(特に海外作品)は著作物使用料のほか、アーティスト本人の承諾(当然金銭込み)、原盤関係の処理(レコード会社)などで膨大な出費となる。一方カヴァーの場合は使用料と演奏者へのギャラ、録音にまつわる経費だけで済む。ただし、いずれの場合も使用条件として放送できる期間はかなり短く、カヴァーであってもそれなりに費用が嵩む。

CM音楽事情あれこれ。 - Virtual Studio 440(2009年11月20日付)より

オリジナルとカバー曲とでは経費や過程に大きな差が生じるためカバー曲でいこう、ということなのでしょう。ならば尚の事、オリジナルに忠実にカバーするならば、オリジナルの雰囲気をきちんと踏襲してほしいと切に願います。

(逆に、カバー版はオリジナルとは全く異なった雰囲気で...と振り切るのもアリかと。たとえば日産のCMに用いられたケイコ・リー版「We Will Rock You」(オリジナルはクイーン)は素晴らしい解釈だと思っています。)

 

 

邪推ですが、仮に制作サイド(企業も含む)がCMソングについての扱いをぞんざいにする傾向があるならば、そういったところにはオリジナルやカバーに関係なく、曲を使用してほしくはないとすら。それだけ、今回取り上げた2つのCMの音は微妙過ぎるのです。