矢沢永吉さんが今週リリースしたオールタイム・ベスト『ALL TIME BEST ALBUM』がデイリーのセールスチャートで1位発進、好調です。リリース元は氏が創設したGARURU RECORDS。ちなみにレーベルの商品説明には『40年間というキャリアの中であえて出してこなかったベスト盤』とありますが、Wikipediaによると今回が12枚目のベストとなるわけで、おそらく商品説明文は『40年間というキャリアの中で"初めて氏が納得して出した"ベスト盤』と(レーベル側としては)差し替えることができるのでしょう。
さて、GARURU RECORDSにかつて所属していたアーティストのひとりが一十三十一さん。レーベルのアーティスト一覧に表記はなくとも記録(?)は残っています。今回のベスト盤リリースのタイミングでふと思い出しましたので今日ご紹介。
昨年Billboard Recordsよりリリースした『CITY DIVE』が現代にシティ・ミュージックを復興させた名盤(といっても過言ではない)で、その流れを引き継いだと思しき新譜『Surfbank Social Club』も夏を先取りするタイミングで6/19に発売予定。こちらも非常に楽しみなのですが、一方でGARURU時代はシティ・ミュージックとは趣の異なる作品をリリースしていました。後述するシングルと同年にアコースティックな趣のカヴァーアルバム『Letters』をリリースするのですが、オリジナルアルバムは終ぞリリースされずじまい...ゆえに、仮にオリジナルアルバムを出す予定がありレコーディングしていたならばコンパイルしてリリースしてほしいな...などと思ったりするのです。
なぜならば、それだけこの曲が素晴らしいから。だからこそ。
・一十三十一「ダイヤモンドレールウェイ」
(Sg『ダイヤモンドレールウェイ』(2009)収録。配信有り)
(カネボウ ブランシールスペリア CMソング)
イントロのスリリングな弦楽、一瞬の間を置いて放たれる力強い歌声、メロディのインパクトとそのメロディを軽やかに紡いでいく透き通った声...CMがかかると間もなく一十三十一さんの声にガツンと鷲づかみにされ、画面に何度も魅入ったものです。彼女の声はおとぎ話の世界に誘ってくれるような魅力を持っていますが、そこに弦楽が組み合わされることで、より彼女の音世界はファンタジックになる気がします。そのファンタジックこそがGARURU時代の特徴かもしれません。
その好例が、在籍時にゲームに提供した楽曲。
・一十三十一「SA-KU-RA」(Wii『スーパーモンキーボール アスレチック』使用曲)
弦楽+オリエンタルの音使いと彼女の声、これまた相性がいいんですよね。
惜しむらくは、このゲームのサントラがない?ため、先の「ダイヤモンドレールウェイ」とは異なりこの曲はCDもしくは配信の形で手に入れることができないということ。いや、「ダイヤモンドレールウェイ」自体もアルバム収録の形ではないため早くてもレーベルをまたいだベスト盤を待たないといけないんですよね(とはいえ、たとえばキリンジ「十四時過ぎのカゲロウ」が後のベスト盤に収録されずじまいという例も...)。
GARURU時代のオリジナル楽曲で確認できたのは上記2曲と、シングルのカップリング曲「パレード」のわずか3曲。もしかしたらオリジナル楽曲のみで構成されたアルバムはリリースの予定がなかったのかもしれませんが、だとしたらかなり勿体無い気が...。レーベルの移籍、(あったならば)お蔵入り等の事情は当人たちしか知る由もなく、外野たる私たちが言うことではないのかもしれませんが、『CITY DIVE』が素晴らしいだけに、そしてCMのインパクトも絶大だっただけに、もっともっと音源に触れたい!と思う気持ちは紛れもない真実。個人的にはフィジカルで手に入れたいのですが、少なくとも配信の形でいいので手に入れやすい状況に成ることを願うばかりです。