イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

出だしこそ...だけど、日本のヒップホップシーンの熱い2ヶ月がはじまっている

昨日放送の『マツコの知らない世界』(TBS系 火曜20時57分)でチョコミントを愛情たっぷりに紹介していた牛窪さん。

番組を観ながら、牛窪さん誰かに似てるんだよなあ...と思ってたのですが、放送後にようやく気が付きました。

牛窪さんを思いっきり陰の方向に尖らせたらDJ松永さんっぽくなるのではと...両者に失礼かもですねごめんなさい。

 

 

さて、Creepy Nutsは今夏メジャーデビューという話が出ていたのですが、そのCDが延期になってしまったことに遅ればせながら気付いた次第。

このCDリリースに合わせたワンマンライブ等を行っていた彼ら。

そりゃあセルフツッコミもしてしまいたくなるものです。

 

実はCreepy Nutsを皮切りに、夏から秋にかけての日本のヒップホップのリリースがとんでもないことに!と感じていたので、勝手ながら”勿体無い!”と思ってしまいました。

8月は30日にKICK THE CAN CREWによる13年半ぶりのオリジナルアルバム『KICK!』が、9月は引用したつぶやきにもあるようにサイプレス上野とロベルト吉野によるメジャーデビューミニアルバム『大海賊』、そしてそのサイプレス上野さんも参加しているRHYMESTERの2年ぶりのアルバム『ダンサブル』が共に9月6日、さらに9月27日にはSKY-HIの、日本武道館公演を収めたDVD/Blu-ray『SKY-HI Tour 2017 Final "WELIVE" in BUDOKAN』およびCzecho No Republicとのコライトシングル「タイムトラベリング」がリリース。SKY-HIはさらに、昨秋リリースしたSALUとのコラボアルバムに継ぐコラボシングル「RAPSTA」を今日から配信開始。そして、RHYMESTER加山雄三宇多田ヒカル等大物との仕事も相次ぐPUNPEEが遂に9月20日にファーストソロアルバム(タイトル未定)を発売...というように、この2ヶ月ほどの日本のヒップホップ界はとんでもないことになっているのです(以上敬称略。リンク先は全て音楽ナタリー)。その先陣をCreepy Nutsが切ることが出来なくなってしまいましたが、逆にそれを話の種にしてメディア露出を増やしていってほしいものです。

自分の担当するラジオ番組で、この春【三浦大知特集】をやったみたいに、今度はこれら日本のヒップホップシーンをまとめた特集もやってみたいなあと考えています。

米ソングスチャートはラテンムーブメント、「Despacito」を次に捉えるのはラテンな2曲?

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の8月7日月曜(日本時間の火曜早朝)に発表された、8月19日付最新チャート。ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」が13週目の首位を獲得し、今年最長の1位達成となりました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

エド・シーラン「Shape Of You」(今週9位)の通算12週を越え、今年の首位最長記録を更新した「Despacito」。つい最近ウィズ・カリファ feat. チャーリー・プース「See You Again」が塗り替えたばかりのYouTube再生記録を驚異的な速さで上回り(詳細はルイス・フォンシ「デスパシート」がYouTubeで史上初の再生回数30億超えで歴代最速・最多記録 | bmr(8月7日付)をご参照ください)、ジャスティン・ビーバーのリミックス版への参加も相俟って今年最大級のヒットに成長。デジタルダウンロードは14週目の首位を獲得し、これまでフロー・ライダー feat. T-ペイン「Low」(2007-2008)、マーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズ「Uptown Funk!」(2015)およびザ・チェインスモーカーズ feat. ホールジー「Closer」(2016)が持っていた13週1位の記録を破り、2004年10月30日付でデジタルダウンロードチャートが始まって以来、この指標での最長1位記録を更新しました。

「Despacito」は5週目となる、デジタルダウンロード、ストリーミングおよびラジオエアプレイのチャート構成3指標完全制覇を達成。しかし、その勢いは徐々に衰えてきています。

「Despacito」

  デジタルダウンロード 84000(1位 前週比17%ダウン)

  ストリーミング 4980万(1位 前週比6%ダウン)

  ラジオエアプレイ 1億4100万(1位 前週比1%ダウン)

デジタルダウンロードは2週連続で10%以上ダウン。これは間違いなく勢いに陰りが出てきたといえるでしょう。他方、総合2位のDJキャレド feat. リアーナ&ブライソン・ティラー「Wild Thoughts」、そして3位のフレンチ・モンタナ feat. スウェイ・リー「Unforgettable」と比べてみると。

「Wild Thoughts」

  デジタルダウンロード 34000(9位 前週比5%ダウン)

  ストリーミング 3480万(2位 前週比1%ダウン)

  ラジオエアプレイ 1億2800万(2位 9%アップ)

「Unforgettable」

  デジタルダウンロード 37000(8位 前週比52%アップ)

  ストリーミング 2770万(4位 前週比3%アップ)

  ラジオエアプレイ 8100万(11位 9%アップ)

ここにきて「Unforgettable」の勢いが増してきました。とりわけデジタルダウンロードが急伸しているのですがこれはおそらく、8月2日水曜に公開された、J・バルヴィンを新たに加えたラテンリミックスが公開されたため。

実は先程のbmrの記事でもJ・バルヴィンが別曲で登場しており、記事は『今年はラテン・チューンのヒットが続く年となりそうだ』と締めくくられているのですが、「Unforgettable」もそのラテンの波に乗った形といえそうです。デジタルダウンロードの集計期間は金曜開始木曜終了であり、次週8月26日付チャートではラテンリミックスの効果が1週間フルで反映されることを踏まえれば、「Wild Thoughts」を抜いて2位になることもあり得るでしょうし、ともすれば「Despacito」を射程圏内に捉えるかもしれません。

 

今週はトップ10落ち/新たにトップ10入りがないため、ここからはもうすぐトップ10。

・カーディ・B「Bodak Yellow (Money Moves)」(28→14位)

彼女の詳細は、こちらもbmrに。ネットセレブを経てラッパーにという異色のキャリア。また新たなトップ40入りは下記に。

ポルトガル・ザ・マン「Feel It Still」(55→34位)

・SZA(シザ) feat. トラヴィス・スコット「Love Galore」(46→37位)

・フューチャー feat. ニッキー・ミナージュ「You Da Baddest」(38位初登場)

 

「Despacito」がこのまま勢いを保てるのか、それともラテン系の2曲が追いつき追い越すのか…いずれにせよ言えることは、今年はラテンムーブメントが起きているということですね。

黒いグルーヴを湛えた邦楽バンドの曲が自動車CMで続々起用されている

昨日8月6日付、『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)で85位に初登場を果たした曲がツボだったのでメモ。

収録アルバム『NBCP』はApple Musicによるストリーミングや、iTunes Storeでの配信もないため、HMVページのリンクを下記に。頭の45秒間確認出来ます。

J-WAVEradikoで確認するにはこちらから。8月13日まで聴取可能、また首都圏以外にお住まいの方はradikoプレミアム(有料)会員になればチェック出来ます。

 

曲を支配する”黒いグルーヴ”がR&B好きな身にはツボなのですが、それもそのはず、アルバムを手掛けているのがSkoop On Somebodyの元メンバー、野上幸平さん。その野上さんは今回のチャートインについてツイート。

 

さてそのNeighbors Complain、アルバムからの先行シングルとして昨年「Night Drivin'」をリリースしているのですが、この曲が先月からスズキエスクードのCMソングとして用いられているのです。聴いたことあるという方は少なくないはず。

実は最近の自動車業界のCMソングにある共通点が。【リリースから1年程度経過した】【黒いグルーヴを持った】【日本人バンド】の曲を用いる傾向があるんですよね。Suchmos、Nulbarichもそうでした(どちらもHONDA)。

Suchmosの成功以降この傾向が強まった、もしくはSuchmosのアルバムが大ヒットしたことを踏まえ、もしかしたら他のバンドはSuchmosの二番煎じと揶揄されるかもしれませんが、彼らの年齢を踏まえれば、音楽に興味を持ち出した頃にたとえばジャミロクワイディアンジェロが流行っていたわけで、そこにルーツがあると考えれば黒いグルーヴを湛えたバンドが相次いで登場するのは自然なことでしょう。

そして面白いというか褒め称えたいのは自動車業界の姿勢。CMソングは基本、各車種の主要ターゲット層が青春時代に聴いていた曲が用いられるゆえ過去の名曲がメインになることが多いのですが、若者向け(といっても20~30代)の車種のCMに、リリース直後ではないとしても最近の曲を充てようとする姿勢は、音楽業界が活性化するという意味においてもありがたいと思うのです。今回のスズキにおけるNeighbors Complainの起用は、彼らの良さを知ったスズキ側からのエール...というのはさすがに考え過ぎかもしれませんが、CM露出を経て認知度そして人気が高まるならば何よりも嬉しいことですよね。

 

YouTubeNeighbors Complainと入れて検索すると、様々なカバー曲が出てきます。いずれの名曲も彼らなりの色をまとっているので是非チェックを。ちなみに先述したSuchmosもカバーしていて、カバー理由は不明ですがなかなか面白いことしているなあとニヤリ。黒いグルーヴを湛えた邦楽バンドが今後どんどん出てきて、そしてムーブメントになってほしいものです。

青森および周辺で開催される”無料”フェスをチェック

全国各地、音楽フェスの真っ只中にあります。一方青森県では祭りは数多くあれど、音楽フェスとなると正直言って大型だったり個性的なものがなくなってしまい、寂しい印象が。個性的なフェスの極みと言える【夏の魔物】が今年青森で開催されなくなってしまい、それを知ったタイミングで一度エントリーを記載しました。

そしてこうも記載しました。

フェスはもしかしたら、参加するには"勇気が要る"と思われているフシがあるのかもしれず。ならば、勇気は不要であること、敷居は低いどころかないってことを示さないといけないよなあと思うのです。

番組企画案『Live! Live! Live!』(7月9日付)より

というわけで。”勇気は要らないよ”という姿勢を示すべく、青森県(とその周辺)でこの先行われるフェスを紹介。3つに共通するのは【無料】ということ。チケット代自体がかからないというだけでひとつ大きなハードルがなくなったと言えるかもしれません。

 

 

・8/19(土)・8/20(日)

  八食サマーフリーライブ2017@八戸市 八食センター南側駐車場特設ステージ

公式サイトはこちら。通称”HSFL”。2001年に開始した野外フリーライブで、初回にはMONGOL800も出演したそう(アーカイブは2002年から存在)。パンクやハードロック系が多く、また野外且つアスファルトの上ということで熱気が凄まじく、故に体力は必須。そういえばかつてJ-WAVE『GROOVE LIVE』にB-DASHが出演した際に、何故HSFLに出るのかとピストン西沢さんに問われたメンバーが、”(ギャラの)海産物が美味しいから”と答えていたのが妙に印象に残っています。今年は8月20日日曜にMOROHAも出演。あの唯一無二の声、ナレーションとしても重宝されています。是非チェックを。

 

・9/9(土)・9/10(日)

  2017 RABまつり@青森市 青い海公園 エリアA・特設ステージ

公式サイトはこちら。音楽フェスというわけではありませんが、青森でおそらくは一番盛り上がるであろう放送局主催のイベント。ここ数年は地元青森出身の古坂大魔王さんが両日共総合MCを担当していましたが、今年は日曜のみの出演。

お笑いではその時点での売れっ子を毎年のように呼んでくるというマネジメント力の高さを発揮する一方、歌手においては時折、以前放送されていたラジオ番組『土曜ワラッター!』的な(そしてパーソナリティだった橋本康成氏が好むであろう)人選を挟んでくるのがいい意味で面白いのです。そんな中、LDH一派のTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEが9月10日日曜に登場。間違いなく客席がパンパンになりそう。最新シングル「Dirty Disco」は、ブルーノ・マーズ「24K Magic」(→YouTube)を思い起こさせる格好良さ。

個人的には、このRABまつりでDa-iCEにはじめて触れ、衝撃を受けて以来ファンになりました。新しい方に触れる楽しさもまた、フェスやイベントの醍醐味だったりします。

 

・9/18(月・祝)

  いしがきミュージックフェスティバル2017@岩手県盛岡市各会場

公式サイトは下記に。

2007年開始、2009年から完全無料化したフェス。現在企業からの協賛クラウドファンディングを呼びかけており、悪く考えればお金の問題があるのかと心配してしまうのですが、逆に言えば10年も(完全無料化してから8年も)続けてくださったことには感謝の思いでいっぱい。是非多くの方に協力していただき、そして観に行ってほしい、そこでお金を使うことで翌年も開催できるように(協賛企業側がまたスポンサーになりたいと思わせるフェスに)してほしい...と心から願います。ちなみに今年は7月末に出演者の第一弾が発表。ヤバイTシャツ屋さんが出演することが個人的にはめちゃめちゃ嬉しかったりします。

第二弾アーティストは今週土曜に発表。楽しみです。

 

 

気になった方は是非フェスやイベントに行きましょう。敷居はないですよ。

ゴスペル界の若き実力派、新曲が登場

昨日ゴスペルの話を書いたところ、たくさんのアクセスをいただきました。より多くの方にゴスペルの魅力が伝わったならば嬉しく思います。

 

さて、米ビルボード、最新8月12日付ゴスペルソングスチャートで19位に初登場を果たしたのが、ザ・ウォールズ・グループというゴスペルグループの「My Life」。これがもう個人的にはドツボなのです。

タイトなアップでありながら時折リズムを落としてクールダウンする、その対比が非常に格好いい楽曲。プロデュースを手掛けるのはゴスペル/R&B畑で活躍するウォーリン・キャンベル、そしてエリック・ドーキンス

ブラックストリートのデイヴ・ホリスターが2014年に放ったアルバム、『Chicago Winds…The Saga Continues』からの先行曲、「Spend The Night」(→YouTube)もこのふたりによる良曲でした。

 

ザ・ウォールズ・グループは3年前、アルバム『Fast Forward』でメジャーデビューした、兄弟姉妹から成る4人組。バイオグラフィーも含め、Mikikiに詳しく掲載されています。

ちなみに『Fast Forward』以前、2012年にはセルフタイトル作をリリースしており、こちらはApple Musicで聴取可能です。

Mikikiで執筆した音楽ジャーナリストの林剛氏は、このアルバムを『新R&B教本~2010sベスト・アルバム・ランキング』(2017)でも紹介。特に収録曲のひとつである「Satisfied」について、『和声の美しさに聴き惚れるスロウ』と絶賛しています(『』内は著書より)。この美しさは是非多くの方に触れていただきたいものです。

キーを下げてはいますが、このアカペラは絶品...しかも座っていてこれだけのレベル。

 

「My Life」を手掛けたウォーリン・キャンベル&エリック・ドーキンスは『Fast Forward』には参加しておらず、来るべきニューアルバムでは『Fast Forward』においてエグゼクティブプロデューサーを務めたカーク・フランクリンとの関わりが減るのかもしれませんが、新たな制作陣が兄弟姉妹の新たな魅力を引き出してくれることを期待しましょう。現に「My Life」は個人的に数十回リピートしているくらい、気に入っています。

【Diggin'】J-Pop × ゴスペル...あの人を軸に各プロデューサーの作品を追う

今週リリースされた作品の中からひとつをピックアップ、より広くより深く掘り下げていこうというのが【Diggin'】。

さて今週、R&Bを得意とする実力派日本人プロデューサーが共にゴスペルアプローチの楽曲をリリースしました。【ゴスペル×J-Pop】のプレイリストは4年半前に一度掲載しています。

上記では、冒頭で自分なりに【J-Pop × ゴスペル】の定義を『心を解放させてくれる、前向きになれる曲』と書いたのですが、あらためて定義を具体的に書くならば、

① 歌詞が前向き、希望に溢れている

クワイア(コーラス)が参加したり、ボーカルが多重録音されている

③ ハンドクラップが入っている

④ 転調がみられる

(③・④はあればなお良し、という感じでしょうか)

こういうことではないでしょうか。

 

 

さて、2年前のプレイリストで取り上げた安室奈美恵「PINK KEY」はNao'ymt氏によるプロデュース(Nao'ymt氏のホームページはこちら。”WORK”に作品群が掲載)。Nao氏は安室さんのダンサブルなR&Bの方向性をより強固なものにする礎を築いた方ですが、まさかゴスペルアプローチが出てくるとは思わず、驚いた記憶があります。

 

そのNao氏が安室さん同様、深く関わってきたのが三浦大知さん(最新アルバム『HIT』でもプロデュースを担っています)。その三浦さんが今週リリースしたシングル「U」収録の一曲、「Life is Beautiful」でプロデュースを務めたのが、三浦さんと旧知の仲であるUTA氏(ホームページはこちら。下記”DISCOGRAPHY”に作品群が掲載)。この曲も前向きなメッセージソングですが今のトレンドを取り入れたアレンジおよびサッカーアンセム的なコーラスが施されており、ゴスペルアプローチという面ではむしろこちら。

渡辺直美さんが主演を務めるドラマ、『カンナさーん!』(TBS系 火曜22時)の主題歌として、放送日である8月1日に配信リリースされました。

歌詞はこちら。AIさんといえばゴスペル...というのは上記リンク先でも紹介していますし(「ハピネス」のプロデュースもUTA氏)、そもそも彼女の歌唱における突き抜け感、そしてポジティブで眩しいキャラクターがゴスペルにピッタリ。サビのラストに”We can fly”というフレーズが力強く謳われているのを聴いて、バラードであれどR.ケリーのゴスペルアプローチな「I Believe I Can Fly」(→YouTube)を思い出した次第。

 

 

そして、8月2日にリリースされたのが、声優として活躍する宮野真守さんのアルバム、『THE LOVE』。そのラストを飾る「POWER OF LOVE」も、まさしくゴスペル。

歌詞はこちら。そしてGYAO!ではフルバージョンが公開。動画の45秒あたりでいきなり転調というのが面白いですね。

この曲を手掛けたのは、以前から宮野さんとタッグを組んでいたSTY氏(ホームページはこちら。下記”WORKS”に作品群が掲載)。

STY氏が手掛けた、三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEのヒット曲等に挿入される\フォーン/という音(個人的にプロデューサーによる”音の刻印”と呼んでいます)が「POWER OF LOVE」にも入っているので、これはSTY氏の曲だと解る方は少なくないでしょう。ちなみに宮野さんもこの曲について、きちんとゴスペルであると言及。

個人的にSTY氏のプロデュース作品の中で大好きな曲のひとつがARIA「Don't you」(2006)。

エイメリー「1 Thing」(→YouTube)を邦楽に巧く取り込んだナンバー。STY氏は最近、エイメリーのファーストアルバムを絶賛するツイートを発信しており、音楽の幅を広げながらもR&Bが氏の基本にあることが伺えます。

 

 

これらの楽曲が、偶然にも同じ週にリリースされていたことは非常に面白いこと。更には、UTA氏と同じプロダクションに所属するMANABOON氏(ホームページはこちら。下記”DISCOGRAPHY”に作品群が掲載)もゴスペルアプローチが多く、そちらについては以前取り上げています。

歌い手は異なれど、ライブ動画もありました(歌詞はこちら)。

 

 

Nao'ymt・UTA・STY・MANABOON…各氏はいずれも日本でR&Bが浸透してきた、日本人歌手がR&B的アプローチを行ってきた頃から活動し、R&Bを邦楽の一ジャンルとして根付かせてきた方々。そんな彼らには共通して、(R&B自体のルーツでもある)ゴスペルが源流にあり、時折原点に立ち返ろうとしているのかなとふと思った次第。

そして先述したNao'ymt・UTA両氏のみならず、STY・MANABOON両氏も三浦大知さんと仕事をしています(各氏と三浦大知さんの名前とを共に検索にかけるとわかります)。三浦大知さんの楽曲にはポジティブな力に溢れた楽曲が少なくないのですが、そのうちド直球なゴスペルナンバーが届けられるかもしれませんし、どなたかが手掛けてくれると嬉しいなと思っています。

実際、先述したUTA氏による「Life is Beautiful」(歌詞はこちら)のアカペラ映像(下記8分15秒頃から)からは、曲に強い説得力が宿っているのをひしひしと実感します。同曲を、たとえばバラード化させてゴスペルクワイアを取り入れる別バージョンを作成するのも面白いかもしれませんね。

米ソングスチャート、ようやく発表

ビルボードソングスチャートを定点観測。

技術面での問題により発表が遅れていた米ビルボードチャート、現地時間の8月2日水曜(日本時間の木曜早朝)にようやく発表されました。その8月12日付最新チャート、ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」が12週目の首位を獲得しました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

エド・シーラン「Shape Of You」に並ぶ、12週目の首位を記録した「Despacito」。チャートを構成する3指標全てにおいて今週も1位という完全勝利ではあるのですが、勢いにはこれまでにない陰りが。

「Despacito」

  デジタルダウンロード 102000(1位 前週比13%ダウン)

  ストリーミング 5290万(1位 前週比8%ダウン)

  ラジオエアプレイ 1億4200万(1位 前週比2%ダウン)

デジタルダウンロードにおける10%以上のダウンという下落幅はこれまでにない落ち込みではあるのですが、しかし総合2位の「Wild Thoughts」との差は未だに大きいものがあります。

「Wild Thoughts」

  デジタルダウンロード 36000(8位 前週比9%ダウン)

  ストリーミング 3530万(2位 前週比1%ダウン)

  ラジオエアプレイ 1億1700万(3位 10%アップ)

こちらはラジオエアプレイにおいて10%も伸びている一方、デジタル2指標がダウンという結果に。2曲の差は前週からは縮まったものの、「Wild Thoughts」を1とすれば「Despacito」は1.59(前週は1.73)であり、「Wild Thoughts」に首位を期待するのは難しいのでは?というのが私見。「Despacito」の各指標が大幅に下がらない限りあと数週は首位を獲得する可能性が高いでしょう。さあ、マライア・キャリーボーイズIIメンが「One Sweet Day」で打ち立てた16週1位という金字塔を、「Despacito」は崩すことが出来るでしょうか?

 

チャートが凪の状況であるためか、こちらも記録達成が見えてきました。ブルーノ・マーズ「That's What I Like」が通算23週目のトップ5入りを果たし(今週3位)、トップ5在籍週記録で歴代5位にランクインしました。エド・シーラン「Shape Of You」とザ・チェインスモーカーズ feat. ホールジー「Closer」が27週、マーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズ「Uptown Funk!」とリアン・ライムス「How Do I Live」が共に25週のトップ5在籍となり、「That's What I Like」はチャビー・チェッカー「The Twist」と並ぶ23週目で歴代5位。チャビー・チェッカーと並ぶというのも面白いですが、ブルーノが客演含め2曲を送り込むというのは物凄いことです。

また、総合10位のサム・ハント「Body Like A Back Road」は新記録達成。ホットカントリーソングスチャートにおいて25週目の首位を獲得し、これまでフロリダ・ジョージア・ライン「Cruise」が打ち立てた24週1位を破って歴代単独トップに立ちました。こちらは今後どこまで伸びていくか注目です。

 

 

もうすぐトップ10には、活動休止中のワン・ダイレクションのメンバーの作品が並んでいます。

リアム・ペイン feat. クエヴォ「Strip That Down」(25→16位)

ナイル・ホーラン「Slow Hands」(19→18位)

ルイ・トムリンソン feat. ビービー・レクサ & デジタル・ファーム・アニマルズ「Back To You」(40位初登場)

ルイのトップ40入りにより、これでワン・ダイレクションのメンバー(元メンバーのゼイン含む)はソロにおいて全てトップ40ヒットを放ったことに。さすがの強さです。

とはいえ、ここから次のトップ10入りを狙える作品になるのかというとそれは別の話。凪状態が続くトップ10をかき回す嵐の如き存在になってくれるといいのですが。