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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Foorin「パプリカ」がロングヒットの兆し…さらなるヒットのために改善すべき点が?

昨年大晦日の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合他)の影響は、未だにチャートに残っています。米津玄師「Lemon」のように今一度ピークを迎えるものもあれば、あいみょんマリーゴールド」のようにリリース時もヒットしていながらそのピークを超えるものも。そして今日紹介するこの曲は、以前の瞬発的なピークを大きく上回り、徐々に売れてきているのです。

・Foorin「パプリカ」(2018)

曲を手掛けたのは米津玄師さん。

みんなのうた』(NHK総合他)で昨年8月および9月の曲にもなり、来る東京オリンピックに向けてNHKがオンエアを続けるこの曲。実はシングルCDセールス指標は加算初週である2018年8月27日付で17位となり、総合で23位を記録したのですが、翌週から長きに渡り100位圏外に。それが今年1月14日付で総合32位にカムバック。以降緩やかながら上昇し、最新2月18日付では最高位となる21位に到達しました。

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1月14日付の集計期間は紅白放送日を含んでおり、先述した「Lemon」や「マリーゴールド」の再浮上が多く見られた週。

Foorin「パプリカ」も紅白で披露されましたが、この曲の動向をみるといろいろ面白いのです。

 

まずはシングルCDセールス。週間最高売上は先述した加算初週での4965枚。一方、紅白で"多くの方に見つかった"週、1月14日付の売上は965枚。売上はピーク時の5分の1未満であり、また順位も23位対32位(前週は100位圏外)で1月14日付のほうが低いのですが、しかし総合ポイントでは1525対1649となり後者が上回っているのです。シングルCDセールス指標は紅白以降、順位的には20位台後半~30位台に留まるのですが、セールスは6週連続で前週超えを達成しています。

日付 CD順位 CD売上 前週比
2019/1/14 29 965
2019/1/21 26 1413 146.4%
2019/1/28 30 1576 111.5%
2019/2/4 37 1666 105.7%
2019/2/11 35 1800 108.0%
2019/2/18 32 1929 107.2%

(※1月7日付は100位未満のため同日付の売上枚数は把握出来ず。)

 

そして特筆すべきはストリーミングとカラオケのふたつの指標。ストリーミングは2018年8月27日付では100位はおろか300位以内にも入っていませんでしたが、1月14日付で43位に登場した後、順調に推移し最新2月18日付では13位に。また2019年度からカウント対象となったカラオケですが、1月21日付になってはじめて300位以内に入り、最新2月18日付では初の100位以内となる75位を記録しました。

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カラオケ指標のない2018年8月27日付と同指標が加算された最新2月18日付を単純比較することは難しいものの、仮に前年度にカラオケ指標があったとして、それでも総合ポイントは最新分のほうが高いはずです。同曲におけるカラオケ指標の推移、また一般論ですがカラオケ指標の盛り上がり方は他指標と異なり、ピークに至るまでの時間が長い傾向があるゆえです。

 

実はシングルCDセールス指標も、2018年8月27日付以降100位圏外となって以降、一度として300位未満とはならず、同指標のカウントは継続しているのです。子どもや子どもの親の声を聞く環境にないため詳細は判りかねますが、NHKの各番組(『みんなのうた』や『シャキーン!』等)で「パプリカ」が流れたことで子どもが興味を抱き、学校等でこの曲を教材として用いたことによりニーズが定期的に発生したのではと推測、それが紅白で"化けた"というのが自分の見方です。ダンスビデオを発売の1ヶ月前から公開したことは、振り付けを覚えて学校等で歌ってね、という思いゆえかもしれません。

 

無論次週以降ランクダウンの可能性は否めませんが、シングルCDセールスの安定(実はデジタルダウンロードも似た動きに)、ストリーミングの上昇、そしてカラオケの100位以内ランクインにより、「パプリカ」はロングヒットとなる可能性が高いと考えています。ラジオ指標は新曲主体の印象があるため難しく、Twitter指標はたとえば米津玄師さんとの共演等大きなトピックスがない限り難しいでしょう。となると、さらにチャートを押し上げるには動画再生指標が鍵といえるでしょうが、実は同指標のみ、一度として300位以内に入っていないのです。しかも発売直前に2本目のビデオをアップしていながら。 

ダンスおよび世界観ミュージックビデオの2本で、現段階でおよそ2990万もの再生回数を誇る「パプリカ」ですが、ビデオを発信する公式YouTubeアカウントがFoorinではなくNHKゆえなのか、2本とも動画において楽曲登録がなされていません。

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(上記は今朝の段階でYouTubeに掲載された情報をキャプチャしたものです。登録情報を紹介するために貼付しましたが、問題があれば削除いたします。)

比較として、米津玄師「Lemon」(→YouTube)の動画の詳細を確認すると、ソニーミュージックをはじめとする楽曲著作権管理団体が登録されていることが解ります。 「Lemon」はミュージックビデオ登場から現在までの50週間、動画再生指標3位以内に常に登場しており、登録がきちんと行われていればチャートのカウント対象となるわけで、逆に言えば「パプリカ」の楽曲登録の不徹底が動画再生指標カウント非対象の要因ではないかと怪しんでいます。

そういえばつい先日前、中島美嘉雪の華」における問題も提示したのですが(こちらは登録情報違いというもの)。

発売元である(大きく言えば)ソニーミュージックには、YouTubeの対応強化をお願いしたいところです。