最新2月10日付、米ビルボードアダルトR&Bソングスチャート。2010年代にデビューした3人がトップ3を独占しています。その曲、そして3人のバイオグラフィー(を掲載したbmrのサイト)を併せて紹介します。
・3位 カリード「Location」
・2位 ダニエル・シーザー feat. カリ・ウチース「Get You」
・1位 SZA feat. トラヴィス・スコット「Love Galore」
前週から1位と2位が入れ替わったものの、2週連続でトップ3はこの若手3人に。また「Location」も同チャートで1位を獲得済。カリードとSZAは今年のグラミー賞で最優秀新人賞を含む5部門に、ダニエル・シーザーも今年2部門にノミネートされていました(が、いずれも受賞を逃しています)。ちなみにこのアダルトR&Bソングスチャートに登場して間もない頃、自分もダニエル・シーザーについて取り上げました。
それにしても驚くのは、アダルトR&Bソングスチャートで若手が結果を出しているという点。このチャートはアーバン・アダルト・コンテンポラリーR&B専門(誤解を恐れずに書くならば"大人向けR&B"であり、ヒップホップを主体的に流さない)ラジオ局でのエアプレイに基づくチャートであり、大人向けを自認する局が流したことの意義も興味深いのですが、それ以上に、若手の音楽を許容する大人R&Bリスナーの懐の深さにこそ驚かされます。このチャートでの流行は他のR&Bより遅いゆえ、大人R&Bリスナーが流行に敏感とは言えないものの、遅ればせながらでもきちんと流行を捉えられる柔軟な姿勢が感じられ、好感が持てます。
自分は以前、音楽的嗜好の"老害化"について言及しました。
米アダルトR&Bソングスチャートが示すのは、米アダルトR&Bリスナーは流行の捉え方が鈍化こそすれ、必ずしも老害化するわけではないのでは?ということ。日本でも柔軟な嗜好を持ち合わせて欲しいと思いますし、ラジオがその一助になれるならば自分はそのために尽くさないといけないとあらためて実感した次第です。