イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

現代の女性ファンカー、シャロン・ジョーンズ死去

ソウルシンガーで、シャロン・ジョーンズ&ザ・ダップ・キングスのボーカルを務めたシャロン・ジョーンズの訃報が先週末飛び込んできました。享年60歳、あまりにも早過ぎる旅立ちです。

ソウルの影響を強く受けた日本のロックバンド、THE BAWDIESのボーカル、ROYさんもTwitterで彼女を追悼していました。

ROYさんが取り上げた「Nobody's Baby」は2007年のアルバム『100 Days, 100 Nights』収録作。実は彼女、初シングル「Damn It's Hot」をリリースしたのが1996年、アルバム『Dap Dippin' with Sharon Jones and the Dap-Kings』は2002年だそう...全国的なデビューは40歳以降という非常に遅咲きの逸材だったのです。この初アルバム、そして彼女については下記ディスクレビューに詳しく紹介されていますが、『オバハンやけどエグいで』(レビューより)という表現がめちゃめちゃ的確な気がします。

R&B好きな人が必ずしもソウルが好きだとも限らないとは思うのですが、このアルバムに収録されたジャネット・ジャクソンのカバー、「What Have You Done For Me Lately?」は完全ファンクに再生産。見事な解釈だと唸らされます。

シドニーでのライブ映像も。


シャロン・ジョーンズは2013年に胆管がんが発覚、同年リリース予定だったアルバム『Give The People What They Want』およびツアーを延期しています(シャロン・ジョーンズ、がん治療のため新作発売とツアーを延期 | bmr(2013年6月5日付)より)より)。病気を乗り越え翌年1月に発売にこぎつけたアルバムは翌年のグラミー賞最優秀R&Bアルバム賞候補となり、彼女たちにとって初のノミネートとなりました(ちなみに受賞は逃しています)。アルバム収録曲「Stranger To My Happiness」のミュージックビデオにおける彼女、おそらくは薬の副作用で髪の毛が抜け落ちたのかもしれませんが(もしかしたら少し無礼な表現もしれません...ごめんなさい)、スキンヘッドもめちゃめちゃ様になっているし格好良く、なにより楽しそうな姿がいいですね。病気があったとしてもそれを受け入れ、前に進むという姿勢が垣間見えるようです。

 

グラミーノミネートを経ていよいよその知名度が上昇し、翌年にはクリスマスアルバム『It's a Holiday Soul Party』もリリース(アメリカでクリスマスアルバムをリリース出来るのは一流ミュージシャンの証拠ではないかと。あくまで私見ですが)。還暦を過ぎても変わらぬ、いやよりパワーアップした姿を魅せてくれるのだろうと期待していた矢先の訃報でした。実は1年前にがんが再発したそうで(シャロン・ジョーンズ、がん再発を発表 - amass(2015年9月15日付)より。クリスマスアルバムは再発(発覚)前にレコーディングされたものと思われます)、がんという病気はなんと残酷なものなのかと思わずにはいられません。

個人的には最近になってファンクにハマってきた(たとえばニコル・ウィリス、マーサ・ハイ、グレン・アンソニー・ヘイリー...そのあたりについては以前取り上げていますし、アラバマ・シェイクスもファンクの範疇に入るでしょう)ゆえ、是非一度生で触れたかったものです。公式ホームページのトップで追悼コメントと共に登場したこの写真を見ると尚の事...あまりにも格好良すぎじゃないですか! 

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彼女のご冥福をお祈りします。そして彼女の魂(ソウル)を受け継いだ新たなソウルシンガー、ファンカーが登場することを切に願います。