”大人のR&B”のヒットチャート、米ビルボードのアダルト・R&B・ソングス・チャートで異変が起きています。他のチャートに比べて動きが少なく凪の状態であることの多いトップ20において、最新4月30日付チャートでは前週19位に初登場したマックスウェル「Lake By The Ocean」が8位にジャンプアップした他、3曲が新たにトップ20入り。20位にBJ・ザ・シカゴ・キッド「Woman's Worthld、19位にコリーヌ・ベイリー・レイ「Green Aphrodisiac」。そして今日紹介するのは18位につけたユナ feat. アッシャー「Crush」。これが実に美しいのです。
・Yuna feat. Usher「Crush」(Audio)
アンビエント感も醸しつつ実にメロウで上質なR&B。アッシャーの寄り添い方も効果的で、個人的には米ビルボードヒップホップ/R&Bチャートを制した「Climax」をほんの少しポップ寄りにしたような印象があります。
ユナ…日本でも親しまれやすいこの名前の主はマレーシアの出身。2010年に母国最大の音楽賞で主要部門を制覇した後、2012年に海外進出を果たしました(その際ファレル・ウィリアムスとも組んでいます)。そして来月には「Crush」を含む2年半振りの海外向けアルバム、『Chapters』をリリース。この『Chapters』が国内盤も発売されるタイミングで、日本のユニバーサルでもページが立ち上がりました(国内盤は6月1日発売予定)。
これまでの彼女の歩み、そしてニューアルバム『Chapters』の詳細はbmrに掲載されています。輸入盤は一足早く5月20日発売予定。
DJプレミアが手掛けた「Places To Go」はアンビエントなイントロとは裏腹に90年代全開の音。これはいい意味で反則です。ただしこの曲はデラックス・エディションのみ収録予定とのことなので、購入の際はトラックリストをきちんとチェックしないといけませんね。
声質は現行R&Bで流行しているアンビエント感を想起させるものですが(そのためゲスト参加するジェネイ・アイコとの共演が今からとても気になるところ)、内容はR&B特有の【メロウネス】やもしくは最近メーガン・トレイナーが「No」で取り入れているような【90年代感】が多分に含まれているのではないかと予想しており、そういったR&Bがとりわけ好きだった自分は、「Crush」そして「Places To Go」の2曲で心を鷲掴みされてしまいました。【メロウネス】と【90年代感】というふたつのキーワード、もしかしたら今後のR&Bのトレンド(いや、”復権”というべきでしょうか)になるかもしれず、そのトレンドセッターが(北米にとって)外国籍のユナなのかもしれませんね。