イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『テレフォン人生相談』にドリアン助川初登場。そして番組を”後追い”したいという願い

昨日、当ブログへのアクセスがいつもの2倍近くあり、しかしながらSNSにリンクが掲載された形跡がないため不思議に思っていたのですが。調べてみると、この日はドリアン助川氏が『テレフォン人生相談』(ニッポン放送をはじめ全国のラジオ局で放送。ニッポン放送では『垣花正 あなたとハッピー!』に内包)に初出演した日であり、そのタイミングで検索して辿り着いた方が多くいらっしゃったようです。

『テレフォン人生相談』 ドリアン助川氏の新加入が非常にしっくり来た - face it (3月13日付)

 

自分も聴いてみましたが非常に好感が持てました。元来ラジオに乗りやすい声である上、落ち着きがあって穏やかであるため非常に聴きやすいですし、相談者からすれば”親身になってくれる”感があって安心するのではないでしょうか。昨日放送回のまとめ方がやや漠然とした感があったかな、と個人的には思ったのですが、ドリアン助川氏が以前担当した深夜のラジオ番組を知るリスナーからすれば、氏の復帰そして語り口にえも言われぬ安堵を実感したのではないかと。同じような語り口調の勝野洋さんよりも、個人的には好いと思います。

 

 

テレフォン人生相談』の聴取率は非常に高いと聞きます。ざっと調べてみると、首都圏の聴取率調査において2013年2月には番組単体で10位(2013年2月度個人聴取率調査で首位!|株式会社TBSラジオ&コミュニケーションズのプレスリリースより)、直近今年2月の調査では同番組を内包する『垣花正 あなたとハッピー!』が9位にランクインしており(2015年2月度個人聴取率調査で首位!|TBS RADIO 954 kHz トピックス&ニュースより)、数字の面からも高い人気が伺えます。

 

しかしながら、『テレフォン人生相談』には現在ホームページは存在せず、『~あなたとハッピー!』の番組ホームページには番組内のタイムテーブルが未掲載のため『テレフォン人生相談』の放送時間は局のタイムテーブルから辿らないとわからない状態というのは不親切な気がします。

ホームページにとどまらず、放送を後追い出来ないのも個人的には残念です。ラジオ番組においてはポッドキャストが定番化してきており、人気番組ならば尚更ポッドキャスト化してほしいと思うのですが…もしかしたら、相談者のプライバシーを配慮して自粛しているのかもしれません(単純にポッドキャストを検討していないのかもしれませんが)。相談者に対して放送することは確約してもそれを”通信に乗せます”となると、極端に言えば半永久的に残ることになるわけですから、相談者の事態が解決した場合は特に、それをポッドキャストなどの形で残すことは過去に引っ張られるという意味でもよろしくないのかもしれません。

(一応は某所で動画掲載されており聴くことが出来るのですが、掲載は控えます)

 

 

他方、ラジオの相談番組として昨年春から放送を開始した『ジェーン・スー 相談は踊る』(TBSラジオ 毎週土曜19時)では、当日放送された曲を除いた全ての内容がポッドキャスト配信されています(局の意向でポッドキャストは期間限定配信となっていますのでご注意ください)。また先月には、それまでのおよそ1年分の放送回から選りすぐりの内容を集めて書き起こした書籍版(→Amazon)も発売され、いずれの形でも”後追い”で楽しむことが出来ます。

『~相談は踊る』側が、相談者に対して”後追い”の許可を取ったかどうか、それともそれ以前に、二次使用の許可はそもそも不要なのかは分かりかねますが、ラジオをインターネットで聴くことが出来るようになった時代にあって、その時代の流れに即したホームページやポッドキャスト等の公開手法は好いと思いますし、楽しませていただいてます(そもそも『~相談は踊る』はポッドキャストで公開していたことから、相談者はポッドキャストに乗ることを承知で相談していたのではないかと)。だからこそ、逆に『テレフォン人生相談』には前時代的な面が否めないと思ってしまうのです。

実は書籍の面でも同様で、たとえばAmazonにて”テレフォン人生相談”と検索すると、パーソナリティを務める加藤諦三氏の著書は出てくるものの、番組での相談をまとめた書籍は登場しません。ラジオ番組の書籍化はインターネット以前から行われていた手法ですが、徹底して後追い出来ない体制となっているのは勿体無いなと思うのです。

 

プライバシー等の件をある程度理解しながらも”後追い”出来ないことになぜ否定的なのかといえば、『テレフォン人生相談』をエンタテインメントとして楽しむ方がいる一方で(特に相談者の辛辣な状況を上から目線で蔑視したり嘲笑したりすること。個人的には好ましいとは思えないものの、そういう見方が存在することは分かります)、『テレフォン人生相談』での回答が、相談者が抱える問題と同種の悩みを持つリスナーへの光明となる可能性があり、後追い出来ればより多くのリスナーがその光明を得ることが出来るはずだからなのです。

パーソナリティのひとり、今井通子氏は番組冒頭の挨拶で、

『人にはなかなか言えない相談ってあるものですよね。お電話を下されば、参考となる意見や心がほぐれる話ができるかもしれません。あなたの相談は同じ悩みを持つ方々の支えになるはずです。』

テレフォン人生相談 - Wikipediaより

と語っており、先述した”可能性”に触れています。また、加藤諦三氏は相談がひと通り終わった後(時には相談の途中の段階で)、一見被害者に見える(当事者ではないように見える)相談者自身が問題の根を宿していることを見抜き、その根を絶やすための助言を行っており、それを聴いた側にとっても、問題は異なれどもしかしたら自分自身が問題の根を持ち合わせているのではないかという気付きをくれるのです(この点は前回のエントリーでも触れましたが)。ゆえに相談を踏まえた上での番組最後の加藤氏の格言は多くのリスナーに沁みるわけで。その可能性や気付きをより多くの方が共有出来るような”後追い”のシステム作りを局側が行ってくれないか、と願っています。