イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

なかにし礼による”とんでも訳詞”の世界

先週の『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(TBSラジオ 毎週土曜22:00-24:30)内、ノンストップDJミックスのコーナー”ディスコ954”にDJフクタケさんが登場。先月リリースしたばかりの『ヤバ歌謡2 NONSTOP DJ MIX -TVテーマ編- Mixed by DJフクタケ』の収録曲を中心にプレイし、しかも収録曲「CHA-CHA-CHA」を石井明美さんご本人が生歌唱という贅沢な時間が繰り広げられていました。しかもミックスCDには収録されていない、『笑っていいとも!』オープニングのアレや『金子信雄の楽しい夕食』のせっせせっせも生でつないでいて思わず反応(というより歓喜)。もしかしたら何かの理由で収録出来なかった曲をここでぶつけてきてるのでは?と勝手に勘繰ったり。今夜代官山UNITで行われるアルバムのリリースパーティでこういった曲も聴くこと出来るかもしれませんね。

 

さて、石井明美さんといえば「CHA-CHA-CHA」もしくは「ランバダ」代表曲というところに異論はないかと思うのですが、それらを含め、非常にカバー曲の多い方なのです(Wikipediaのディスコグラフィーによればシングルおよびカップリングだけで6曲。ただし「ランバダ」のリミックスは除く)。実は先日、彼女のファーストアルバム『Mona Lisa』(1986 iTunes Storeコチラ)を手に入れたのですが、そこに不穏なタイトルが。

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”死んでもいい”とはなんと大胆というか直接的というか。

(関係ないですが、現在訴訟中の「会いたい」裁判。作詞者が憤慨している今回の件、あくまで個人の見解としてですが、歌詞の行間を一切読ませない”死んでしまったの”の表現があまりに直接的且つ説明的で、リリース当時から違和感を抱いていました)

 

で、タイトルの下の副題を見てもしや…と思い再生すると、その想像は間違いありませんでした。映画『トップガン』に使用された、ベルリン「Take My Breath Away」のカバーだったのです。ちなみに原曲は『SmaSTATION!!』(テレビ朝日)で以前特集された”ニッポン人が選ぶ洋楽一発屋ベスト30”で5位にエントリーした不名誉?ある曲。

「Take My Breath Away」…邦題は「愛は吐息のように」。なぜそれが”死んでもいい”となるのかは謎。もしや原曲も、本当はウットリ出来ないR師匠(先述した『ウィークエンドシャッフル』、通称”タマフル”におけるR・ケリーの愛称。検索するとその意味がよく分かります…)的歌詞なのかと思って調べてみました。

Take My Breath Away / 愛は吐息のように~トップガンLOVEテーマ (Berlin / ベルリン) 1986 | 洋楽和訳 (lyrics) めったPOPS

意訳強めではありますが、原詞はとてもロマンティックです。

 

そして訳すと、なぜかこうなるという不思議。

死んでもいい - 石井明美 - 歌詞&動画視聴 : 歌ネット動画プラス

 

「死んでもいい」はロマンティックではあれどほぼ完全にエロスの世界。床の上を転がり続けて壁にぶつかった直後に出てくる言葉なのですから(そしてそれが一番の歌詞)、絶頂のタイミングで(?)放たれる言葉なんですね、”死んでもいい”って。

この訳詞を知った瞬間、巧く言えませんが気持ちが萎えた一方で、ネタとして面白いじゃないかという別の欲求が満たされた次第です。

 

「死んでもいい」はなかにし礼氏による訳。石井明美さんとの組み合わせでは7枚目のシングルとなった「オリーブの首飾り」もすごい訳詞…というか、元来インストゥルメンタルに詞を付けることがすでにもう斜め上の発想なんですよね。

オリーブの首飾り - 石井明美 - 歌詞&動画視聴 : 歌ネット動画プラス

 

もしかしたらなかにし礼氏による”とんでも歌詞”は他にもあるのではと思い調べてみると、実は以前エントリーした迷カヴァーよりもっと深い歌詞の世界 「アローン・アゲイン」にて紹介した、九重佑三子「また一人」もまたなかにし礼氏による作品だったんですね。掘っていけばまだまだいろいろ出てきそうですが、既にこの3曲で満腹感が…機会があったらまた探してみます。

 

 

今年、作詩家・作家生活50周年を記念して『なかにし礼と12人の女優たち』(→Amazon)をリリースしたなかにし礼氏。名曲へあらためてスポットライトを当てることは勿論大切なことですが、一方で今回取り上げたような楽曲をまとめた作品も出していただきたいものです。