イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

グラミー賞主要4部門制覇を目指すサム・スミスがMVに込めた思い

このブログでは何度か、今年のグラミー賞の目玉のひとりであるサム・スミスに触れていますが、グラミー賞直前の昨日、サムがアルバム『In The Lonely Hour』収録曲、「Lay Me Down」のミュージックビデオ(以下MV)を公開しました。長回しの映像となった今作品には、サムが抱えてきた"思い"が込められています。

サム・スミスはTwitterで下記を公開。

『いつか異性愛者に限らずあらゆる性の人間がどこででも結婚できる、という彼の夢を描いた』(bmrのツイッターより)このMV。より強い表現を用いるならば、これは彼の"声明(statement)"ですね。ここまで意識的に彼がLGBTへの立場を鮮明に、それでいてしなやかに伝えるとは思いませんでした。先日のブログで、日本でのLGBTの捉え方の現状を憂うゆえに"願い"を書いたのですが、彼のメッセージが真っ直ぐに、少しでも多くの方に届いて欲しいと切に願っています。無論ここ日本でも。

 

 

さて、サム・スミスが主要4部門にノミネートされた今年のグラミー賞は日本時間の来週月曜に発表されます。その主要4部門(最優秀レコード賞(Record Of The Year)・最優秀楽曲賞(Song Of The Year)・最優秀アルバム賞(Album Of The Year)・最優秀新人賞(Best New Artist))の全てにノミネートされたのが、グラミー賞の長い歴史の中でサムでちょうど、そしてわずか10組目。しかしながらその10組において、主要4部門を総ナメにしたのはクリストファー・クロスだけ(アルバム『Christopher Cross』およびシングル「Sailing」で1981年受賞)であり、一夜にして主要4部門全制覇というのは非常に難しいことなのです。詳細は下記の記事に英語にて掲載されています。

Sam Smith's Amazing GRAMMY Feat | GRAMMY.com (※記事内の西暦は年度)

 

ちなみにサムは"男性版アデル"と評されていますが、そのアデルはファーストアルバム『19』において、主要4部門のうち最優秀新人賞のみ受賞(2009)、セカンドアルバムで全世界的に大ヒットした『21』とそこからの「Rolling In The Deep」で最優秀新人賞以外の主要部門を受賞(2012)しており、2つのアルバムを経て主要4部門全制覇に至っています。ですので、仮にサムが主要4部門を制覇すればある意味"アデル超え"とも言えるわけです。賞レースの結果がどうなるのか、注目しましょう。

 

 

ちなみに余談ですが、ノラ・ジョーンズについて。彼女はアルバム『Come Away With Me』およびシングル「Don't Know Why」において2003年に主要4部門全てを受賞している…ように見えるのですが、最優秀楽曲賞はソングライターに送られる賞であり、曲を書いたジェシー・ハリスに送られています。ですので厳密には主要4部門制覇ではありません。紛らわしいかもしれませんし、"主要4部門制覇"と書いた方が聞こえがいいのは分かりますが、たとえばこのMTV Japanの記事は正しくないわけで、訂正を願いたいところです。細かすぎるかもしれませんが、そういう"大袈裟"が長い目で見ればメディアそのものの信憑性の悪化に繋がりかねないと思います。