イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Love, Whitney - ホイットニーの魂を宿した曲が立て続けに公開

昨日のエントリーに関して、2年半前の同性婚に関する乙武洋匡氏のツイートをまとめたサイトにコメントした自分の言葉を引用して追記をするならば、同性婚などに対して個人が抱く『嫌悪感はあくまで一個人の感情のはずなのに、それが"社会全体的に正しい"とする考え』が議論などに至らせなかったり、それ以前に議論することすら与えない”思考停止”を呼ぶんだよなあと。この感情の正当化はあらゆる問題に共通する危険因子のような気がしていて、一緒くたにしないことが考えを多様化させる大前提ではないかと。

 

 

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島津亜矢さんの洋楽カバーについて取り上げた直後のNHK歌謡コンサート(2月3日放送)で、その島津亜矢さんがホイットニー・ヒューストンによる「I Will Always Love You」を披露しました。多くの方がその意外な組み合わせに驚きつつ、(あくまで)ネット上の反応を見ると彼女の歌の巧さや説得力、こぶしではなくきちんとポップスの歌唱法に即していることなどに感銘を受けた方が多いようです。彼女の良さが多くの方に浸透していくといいなあと。おおっぴらに動画を貼ることは控えますが、YouTubeにて曲名と歌手名で検索すれば出てくるかと思いますのでよかったら。このカバーについては、音楽プロデューサーの松尾潔氏がラジオで称賛しており、その件については以前記載しています

 

 

ホイットニー・ヒューストンの死後、今月11日で3年が経ちます。グラミー賞直前、そして私事ですが自分の誕生日と同じ日にこの世を去りました。そして…娘のボビー・クリスティーナ・ブラウンが数日前、母と同じ状況で浴槽で発見され、今も意識不明の状況が続いています。

浴槽で発見されたホイットニーの娘、昏睡状態が続く | ニュースウォーカー(2015年2月2日付)

あまりにもセンセーショナルな出来事に驚きました。なぜそうなったのかという思いが強いのですが、まずは彼女の回復を願うばかりです。

 

 

ホイットニーが如何に凄い歌手だったかは、昨年末に発売されたホイットニー”初の”ライブアルバム『Whitney Houston Live: Her Greatest Performances』で知ることが出来ます。彼女を見出したクライヴ・デイヴィス曰く、”間違いなく彼女が個性的で、常に第一線級のシンガーであった”(インフォメーション | Sony Musicより)ことをあらためて証明してみせたライブパフォーマンス集。デビュー前の秘蔵映像から、復帰時のオプラ・ウィンフリー・ショーでのパフォーマンスまでが収録されています。オプラ~で観られる復帰後の彼女は、お世辞にも全盛期に戻ったなどとは言い難いのですが、歌に懸命な姿を見ると、彼女がいつか完全復活することを前向きに目指しているのでは…と思えてきて、完全復活を前に若くして絶命したことが悔やまれてなりません。彼女がとりわけ全盛期、いかに歌・容姿・パフォーマンス共に”万能”だったかはシャカ・カーンの”万能の女性”カバーを見れば一目瞭然でしょう。

 

そういえば、ホイットニーと元夫のボビー・ブラウンとの関係を描いた伝記的TV映画(今年公開予定)にて、デボラ・コックスがホイットニー役の”歌声”部分を務めることがアナウンスされています(リンク先ではデボラ版「I Will Always Love You」も一部試聴可能)。デボラはクライヴが発掘し”第2のホイットニー”として華々しくデビューしたものの大ヒットに至れず、ホイットニーとは違う路線を歩き出したセカンドアルバム『One Wish』からの先行シングル「Nobody's Supposed To Be Here」(→YouTube シェップ・クロフォードによるプロデュース、モンテル・ジョーダンがソングライトに参加)が大ヒット(後にホイットニーのベストアルバム収録の新曲でデボラはホイットニーと共演)。そんな経歴だからこそ、彼女の歌声や存在がホイットニーを想起させる…そう受け止めている方もいらっしゃるかもしれません。その彼女、EDMライクな新曲「Kinda Miss You」を先月末に発表しました。

声がややハスキーになった感もありますし、純粋なR&B路線とは異なるかもしれませんが、しかしながらEDMになりすぎず、またピアノの生音とダンスミュージックの融合というのはホイットニーのリミックス作品でよく見られた音使いでもあり、ホイットニーを思わせる部分も。新曲発表を機に無事にアルバムの発売に漕ぎつけることを願ってやみません。彼女にもホイットニーの精神が宿っているわけですから。

 

 

ホイットニーの命日直前のタイミングでホイットニー関連の曲が続けて公開(披露)されるということに、彼女の存在の大きさ(と不在という辛さ)に気付かされます。だからこそ、(歌手という道は歩んではいないものの)彼女の意思を、魂を継いだ娘に一刻も早く回復してほしい、と願わずにはいられません。