イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

STYは邦楽の潮流を変えるか

昨年12/30開催の日本レコード大賞、その大賞に選ばれた三代目J Soul Brothers「R.Y.U.S.E.I.」を手掛けたのがプロデューサーのSTY氏。

氏のPROFILE & WORKSを見れば、現行J-Popの潮流のど真ん中にいることは容易に想像出来ますね。

 

そのSTY氏による昨年末のブログエントリーが実に興味深いので勝手ながらこちらでも紹介。

STYが2014年にめちゃ聴いた邦楽プレイリスト。を書こうと思ったけど…

たとえば清水翔太「Jealous」のくだりでの言葉が良い意味で辛辣。それを同業者(しかも清水翔太自身の直近シングル曲を手掛けている)のMANABOON氏が引用ツイートしていて、アルバム曲ではディアンジェロ直球な歌いっぷりなどを披露してた清水翔太の”シングル曲だけJ-Popすぎる感”にずっと疑念を抱いていた自分も、激しく同意。

 

でも…と言ってしまうと元も子もないけど、それが未だに続くJ-Popの売り方なんですよ、とも思うんです。

本人の作家性まで壊して商業的J-Popを量産せよというのはキツい注文だけど、特にメジャーに在籍する以上はその会社の一員として売れるものを作れと言われるのは商業的側面においては必須事項ではないかと(尤も、特にメジャーが未だに”CD販売にしか特化していない”ことは問題で、それの解決にはオリコンとか賞レースとか著作権法などネットと法律の親和性とか、いろんな問題が立ちはだかってはいるけれども)。無論、いい曲でもJ-Pop的側面の大きくない曲をシングル曲として推したり売れる仕掛けが出来ないのはレコード会社の稚拙さの証明でもあるし、商業的J-Popにばかり耳が行ってしまうのかもしれないと考えると市井の成熟度の高くなさとかも問題だったりします(セールス面での降下だけを見て落ち目とか、年齢の重ね方を劣化とか平気で書くわけで本質を見ようとしない現象は非常におぞましい)。

 

 

で、STY氏。賞レースの制覇によって間違いなく業界での地位を確立した以上、以前よりも発言力が増すことで、メジャーを介して世に放つことの出来る曲の幅が広がる…商業的J-Popじゃない曲も多く出していけるんじゃないかなと。まずは氏が積極的にそういう曲を打ち出して(歌わせて)いけばいいと思うんですよね。とりわけ清水翔太プロデュースとか。それらが少しでも市井の関心を集めて、少しでもセールスに上乗せ出来ればそこでようやくメジャーも重い腰を上げるんじゃないかと思うのは理想論かもしれないけれど。でも誰かがやらなきゃダメでしょう。特に現場にいる人がレコード会社を名指しで批判した以上は”ソニーよ道筋は任せろ!”的なことを実行して責任果たすほうがより漢らしいと思ってます。

レコ大受賞という大きな”箔”がついた2015年以降は、自身が邦楽界に求めたい音をより発して行きやすい環境になるんじゃないかと思うし、それを活用して欲しいと、勝手ながら願うばかりです。