グラミー賞、楽しかったですね。他方自分の主要4部門の予想に関しては…1勝3敗でした。難しいものです。受賞者リストはグラミー賞公式サイトにあります。
・GRAMMY.com - 55th Annual GRAMMY Awards Winners
R&B部門は実に面白い結果で個人的に満足ですが、各所でまとめ記事が登場しそうなので、ここではゴスペル部門をおさらい。
● BEST GOSPEL/CONTEMPORARY CHRISTIAN MUSIC PERFORMANCE
→Winner:Matt Redman「10,000 Reasons (Bless The Lord)」
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ゴスペルでは珍しいイギリス在住のマット・レッドマンが受賞。クワイアではなくソングライター寄りの感じがします。そして実に骨太な音ですね。
マットはバレンタインデー生まれの現在38歳。10代後半でデビューし、オリジナルアルバムだけでも既に10枚以上リリースされています。同曲が収録されたオリジナルアルバム『10,000 Reasons』(2011)はアメリカのクリスチャン・アルバム・
チャートで1位を獲得しており、今回の受賞(今年が初の受賞)も相俟って一気に認知度が高まっていきそうです。来日経験もあり、既に2007年に公演を行なっています。
● BEST GOSPEL SONG
→Winner:Mary Mary「Go Get It」
(ソングライト:Erica Campbell, Tina Campbell & Warryn Campbell)
今やゴスペル界はもとより、R&B界をも代表する女性デュオといっても過言ではないメアリー・メアリー。リアリティ番組への登場やそれに伴う(?)不仲説が聞こえてはいますが、R&Bチャートでもこれまでの6作(ホリディアルバムを除く。ちなみに同曲が収録された『Go Get It』(2012)は先述したリアリティ番組のコンピレーションアルバムという位置付けであり、6作に含めてカウント)のうち、デビュー作を除く5作品がR&Bアルバム・チャートでもトップ10入りいるのだから人気は凄まじいものがあります(だからこそヤッカミとかで不仲説が持ちだされたり?)。
曲は、R&Bにも精通するプロデューサーの(さらにはメアリー・メアリーの姉、エリカの夫でもある)ウォーリン・キャンベルがプロデュースした、彼女たち得意のアッパー。今回でグラミー賞4度目の受賞。
● BEST CONTEMPORARY CHRISTIAN MUSIC SONG
→Winner:Matt Redman「10,000 Reasons (Bless The Lord)」
(ソングライト:Jonas Myrin & Matt Redman)
→Israel & New Breed「Your Presence Is Heaven」
(ソングライト:Israel Houghton & Micah Massey)
先述したマット・レッドマンと同時受賞となったのがイスラエル&ニュー・ブリード。イスラエル・ホートンはキャリア15年以上のベテランで、近年はソロ作品を連続でリリースしていましたが、クワイアである”ニュー・ブリード”を従えた5年ぶりのアルバム『Jesus At The Center : Live』(2012)からシングルカットしたこの曲が受賞。ギターを弾きながらのワーシップというスタイルは珍しいかもですが、力強い中にも包み込むような穏やかさに溢れている楽曲はまさに正統派のゴスペル。
● BEST GOSPEL ALBUM
→Winner:Lecrae『Gravity』
ゴスペル部門で、”ゴスペル・ヒップホップ”のアーティストが受賞というのは快挙かもしれません。
レクレアは今回が初のグラミー賞受賞。インディで今作を含め既に6枚リリースされ、ゴスペル・アルバム・チャートを制すことは少なくないものの、今作は総合チャートでも初登場(且つ最高)3位を記録、さらに初週72,000枚のセールスはクリスチャン・ヒップホップ作品では最大のセールスとなるなど成功を収めています。
ここで紹介するのは、ヒップホップ・アーティストのビッグ・K.R.I.T.、そしてアメリカン・アイドル出身の女性R&Bシンガー、アシュトン・ジョーンズを客演に迎えた硬派な楽曲。逞しすぎます。
・Lecrae feat. Big K.R.I.T & Ashthon Jones「Mayday」
● BEST BEST CONTEMPORARY CHRISTIAN MUSIC ALBUM
→Winner:TobyMac『Eye On It』(リンク先はデラックス・エディション)
クリスチャン・ミュージック・アルバム部門もヒップホップ系が制しており、ゴスペル界におけるヒップホップの勢いを示してるようです(主要部門などでのラップの勢いが弱い…という声が聞かれたので余計に実感)。
クリスチャン・ヒップホップでは特に知られた存在であるトビーマックは、89年にD.C.トークとしてデビュー。5枚のアルバムのうち実に4枚がグラミー賞のベスト・ロック・ゴスペル・アルバム部門を制するという快挙を達成しています。2001年のソロ活動開始以降も8度ノミネートされ、2009年には『Alive And Transported』でロック・オア・ラップ・ゴスペル・アルバム部門を制しており、今回は昨年新設された部門での受賞。『Eye On It』は初週69,000枚を売り上げ、クリスチャン・アルバム部門はもとより総合チャートをも制し、ファンの多さや認知度の高さを物語っています。
下記はアルバムのタイトル曲。クリスチャン・ポップ・ミュージシャンのブリット・ニコルを迎えたシングルはヒップホップにロックテイストをブレンド、そして人気のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)に近い作風で、彼の器用さが伺えるようです。
・TobyMac feat. Britt Nicole「Eye On It」
今年のグラミー賞、ゴスペル部門の受賞者の顔ぶれを見ると実に面白いですね。イギリスからの作品あり、ヒップホップ系が強かったり、またメアリー・メアリーとイスラエル~の人気をあらためて実感できた…そんな感じがします。恥ずかしながら、ゴスペルを追いかけていながらメアリー・メアリー以外はほぼノーマークだったため、チャート成績も含め、よりこまめに追いかけてみようと痛感です。