リミックス集が出るためには、まずはオリジナルがヒットすることが前提になるであろうことを踏まえれば、ヒットが出にくくなった(といわれる)今の時代ではリミックスを出すどころかリミックス”集”を出すこと自体が難しいのかもしれません。他方、アメリカではフィジカルよりも柔軟に対応出来るという配信の利点を活かし(そしてリミックスもオリジナル版にチャート上において加算されることも知っています)、たとえばブルーノ・マーズが「That’s What I Like」の複数リミックスをリリース。そのデジタルダウンロードおよびストリーミングポイントを加算して全米チャートを制しています。そう考えると、日本のヒットの指標たるチャートがビルボードジャパンに移行していけば、そしてアメリカのようなヒットの方程式が確立されていけば、もしかしたらリミックスが再評価されるかもしれません。ただ個人的には配信ではなく、たとえばクラブプレイ(してもらうこと)を目的とするならば、オリジナルにリミックスをコンパイルした、今回紹介したような形での作品集を用意してほしいなと思うんですよね。
個人的に強く惹かれた曲は「Cross The Line」。冒頭の2小節分のベースラインがマイケル・ジャクソン「I Can't Help It」を彷彿とさせるのです。しかもサビではほんの少し「Don't Stop 'Til You Get Enough」を意識しているようで、まるでストークリーによるマイケル・ジャクソン、それも『Off The Wall』オマージュではないかとふと。しかも「I Can't Help It」は「Don't Stop ’Til You Get Enough」のBサイドに収録されシングルリリースされたということもあり、ストークリーの幼少期にはこのシングルが手元にあったのではないかと勝手ながら推測しています。
そんなわけで、今回はマイケルの名曲「I Can't Help It」とその関連曲をざっと掲載してみます。今回はWhoSampledを参考にしました。
「Despacito」強し...今週はこれに尽きます。デジタルダウンロードは前週比6%ダウンながら129,000、ストリーミングも同2%ダウンしつつ未だ6120万と6千万台をキープ。そしてラジオエアプレイは前週比5%アップの1億4900万回を記録し、遂にブルーノ・マーズ「That's What I Like」からその座を奪い首位へ。これでエド・シーラン「Shape Of You」が4月8~15日付で達成した以来となる3指標(デジタルダウンロード、ストリーミング、ラジオエアプレイ)の完全制覇を達成したことに。1990年以降はじまったラジオエアプレイチャートにおいて、非英語曲(ただし一部英語有)が首位に上り詰めるのは初の快挙。あのロス・デル・リオ「Macarena」ですら最高は7位だったのです。
トップ10内において主だった動きをみると、サム・ハント「Body Like A Back Road」が8位にリエントリー。一度6位に登場したものの、トップ10落ち以降はなんと11週もの間リエントリーを伺っていたという息の長さたるや。カントリーソングスチャートでは22週目の1位を獲得し、同チャートの最高記録まであと2週に迫っています(ちなみにトップはフロリダ・ジョージア・ラインが2012~13年にかけて達成した「Cruise」の24週)。
さて、記事でも”Wait...”と前置きされているのですが、あのザ・チェインスモーカーズが見当たりません...つまり彼らによる連続トップ10入り記録が遂に途絶えてしまったのです。今週、コールドプレイとの「Something Just Like This」が13位に落ちてしまったことで連続トップ10入りは61週でストップ。ケイティ・ペリーが2010年から11年にかけて達成した69週まではあと8週でした。しかしながら連続60週超えはケイティとこのザ・チェインスモーカーズの2組のみ。誇らしい記録ではないかと思います。
もうすぐトップ10をみると、ショーン・メンデス「There's Nothing Holdin' Me Back」が4ランクアップの14位、チャーリー・プース「Attention」が8ランクアップの15位に、と快活なチャートアクションを示しています。ただ2曲ともiTunes Storeでの69セント割引販売が功を奏した形であり、特にチャーリー・プースはデジタルダウンロードにおいて前週21位から2位に上昇。次週以降その勢いが保てるのかは微妙なところです。