一昨日の星野源さんのストリーミング解禁に触れた際、金曜を解禁日としたのは主演映画『引っ越し大名!』の公開タイミングゆえではと推測しました。
後にコメント欄にて、”ワールドツアーの発表に合わせた解禁ではないか”という意見をいただきました。
ブログアップ後に知ったこの発表を受けて、星野源さんが音源解禁を”海外仕様”に設定したと捉えた次第。海外では金曜解禁が標準化し、米ビルボードソングスチャートにおけるデジタル2指標の集計期間は金曜からとなるため。次作のリリース日が仮に金曜解禁だとしたら、星野さんは世界を見据えていると言えるかもしれません。日本ではチャートの集計期間が月曜からとなるため、ストリーミング解禁の影響は来週および再来週のチャートをチェックして判断したいと思います。
さて、ストリーミングが主にチャートにどのような効果や影響を及ぼすかについては以前、あいみょん「今夜このまま」とback number「HAPPY BIRTHDAY」を比較して記載しました。
ミュージックビデオの公開手法も大事であることや、さらにストリーミングがセールスを駆逐しないことについてはサカナクションおよびBUMP OF CHICKENの最新アルバムを例に記載しました。星野源さんがストリーミング解禁したことにより、”アルバムが売れなくなる”という危惧感が一部から聞こえてきたのですがそれはほぼ杞憂であり、むしろ、さらなるロングヒットが期待出来ると言っていいでしょう。
それが証拠に、以前比較した2曲について"数値"の面で比較してみると非常に解りやすいのです。
※各指標について
・P:総合ポイント
・前週比:総合ポイントの前週比。前週および当週共に50位以内にランクインした場合のみ計算(50位未満は総合ポイントが表示されない)
・上記の理由により50位未満、総合ポイントで比較不能時は?で表示
・各指標について
(詳細はビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)
CD:シングルCDセールス
DL:デジタルダウンロード
ST:ストリーミング
RA:ラジオエアプレイ
LU:ルックアップ
TW:Twitter
MV:動画再生
KA:カラオケ
(※カラオケ指標は2019年度より導入のため、2018年12月10日付より加算対象となっています。)
・各指標毎順位において
[-]:ランク圏外(101~300位)
[ ]:(ブランク):ランクインせず(カウント対象前を含む)
[?]:未表示もしくは計算不能
※これらはCHART insight | Billboard JAPANから曲名をクリックすると確認可能
順位 P 前週比 CD DL ST RA LU TW MV KA 2018/10/1 - ? - 2018/10/8 ? 2018/10/15 - ? ? - 2018/10/22 - ? ? - 2018/10/29 - ? ? 9 - 2018/11/5 7 4209 ? 3 2 3 43 2018/11/12 11 3877 92.1% 7 1 6 79 2018/11/19 9 4513 116.4% 11 1 3 69 2018/11/26 4 7206 159.7% 17 6 1 1 29 58 12 2018/12/3 8 5506 76.4% 42 6 1 6 60 98 6 2018/12/10 7 4819 87.5% 72 10 1 7 - - 7 41 2018/12/17 9 5132 106.5% 81 9 1 11 5 93 9 28 2018/12/24 6 5039 98.2% 79 11 1 9 3 - 10 24 2018/12/31 7 5333 105.8% 85 9 1 18 4 91 9 21 2019/1/7 5 5133 96.2% 82 11 1 49 4 - 9 20 2019/1/14 7 5240 102.1% 50 11 2 8 4 - 11 22 2019/1/21 6 4706 89.8% 88 17 2 18 4 85 8 20 2019/1/28 8 4380 93.1% - 21 2 80 5 18 12 15 2019/2/4 7 3667 83.7% - 26 2 - 5 92 11 12 2019/2/11 9 3387 92.4% - 29 2 - 10 - 17 13 2019/2/18 8 3375 99.6% - 28 2 78 12 - 20 13 2019/2/25 8 3357 99.5% - 2 45 9 70 14 13 2019/3/4 6 3909 116.4% - 29 2 76 16 70 7 14 2019/3/11 9 3622 92.7% - 34 3 80 13 - 6 14 2019/3/18 12 3205 88.5% - 35 3 - 26 - 8 14 2019/3/25 10 3277 102.2% 42 3 - 36 - 8 14 2019/4/1 14 2599 79.3% 37 3 37 - 9 15 2019/4/8 13 2383 91.7% 48 3 40 - 11 18 2019/4/15 15 2348 98.5% 38 3 51 - 12 19 2019/4/22 19 2191 93.3% 39 5 56 - 14 18 2019/4/29 12 2607 119.0% - 20 4 54 61 7 18 2019/5/6 17 2216 85.0% 41 6 58 - 11 18 2019/5/13 15 2366 106.8% 33 7 43 - 12 20 2019/5/20 16 2107 89.1% 49 7 73 - 12 20 2019/5/27 21 2051 97.3% 62 9 84 - 13 19 2019/6/3 17 2024 98.7% 59 9 81 - 11 21 2019/6/10 24 1947 96.2% 77 9 95 - 12 21 2019/6/17 24 1906 97.9% 94 10 - - - 15 24 2019/6/24 29 1878 98.5% - 11 - - - 22 28 2019/7/1 28 1751 93.2% - 12 89 - 22 36 2019/7/8 25 1754 100.2% - 13 - - 20 37 2019/7/15 27 1733 98.8% - 12 - - 22 39 2019/7/22 28 1685 97.2% - 14 - - - 23 42 2019/7/29 38 1571 93.2% - 15 - - 26 42 2019/8/5 43 1566 99.7% - 15 - - 31 46 2019/8/12 41 1567 100.1% - 17 - - 32 47 2019/8/19 41 1527 97.4% - 18 - - 44 47 2019/8/26 44 1542 101.0% - 17 - - 36 48 2019/9/2 48 1470 95.3% - 19 - - 39 45
順位 P 前週比 CD DL ST RA LU TW MV KA 2019/1/14 - ? ? 79 2019/1/21 - ? ? - 2019/1/28 - ? ? 10 81 2019/2/4 - ? ? 28 - 2019/2/11 - ? ? 19 - 2019/2/18 - ? ? 20 26 2019/2/25 - ? ? 26 - 2019/3/4 2 9744 ? 1 - 7 73 2019/3/11 2 12913 132.5% 4 1 - 1 2 37 - 2019/3/18 5 7109 55.1% 17 1 - 12 2 48 - 42 2019/3/25 6 6210 87.4% 25 2 - 17 1 60 - 42 2019/4/1 3 7488 120.6% 33 1 - 2 1 33 31 14 2019/4/8 3 7329 97.9% 37 1 1 2 23 4 11 2019/4/15 7 4720 64.4% 56 1 7 3 56 18 5 2019/4/22 9 3594 76.1% 72 3 30 4 53 7 6 2019/4/29 11 2628 73.1% 77 4 - 11 63 8 5 2019/5/6 18 2187 83.2% - 5 95 13 - 27 4 2019/5/13 11 2644 120.9% 94 6 79 9 - 41 4 2019/5/20 21 1827 69.1% - 9 - 14 99 - 4 2019/5/27 27 1761 96.4% - 14 91 20 - - 4 2019/6/3 22 1685 95.7% - 9 - 23 88 - 4 2019/6/10 27 1669 99.1% - 9 24 - - 4 2019/6/17 27 1441 86.3% - 10 25 - 5 2019/6/24 33 1578 109.5% - 16 - 29 - 61 3 2019/7/1 46 1355 85.9% - 21 43 - 60 6 2019/7/8 53 ? ? - 19 - 36 - - 9 2019/7/15 72 ? ? - 22 41 - 10 2019/7/22 79 ? ? 19 53 - 10 2019/7/29 79 ? ? 28 55 - 11 2019/8/5 95 ? ? 38 80 - 11 2019/8/12 89 ? ? 36 77 - - 11 2019/8/19 100 ? ? 46 96 - - 11 2019/8/26 - ? ? 35 92 - 11 2019/9/2 - ? ? 40 - - 11
2曲の大きな差はストリーミングと動画再生の2指標にあることは以前記載しましたが、他の条件がさほど変わらない状況(ドラマ主題歌、オリジナルアルバムからの最後の先行シングル、アルバムのチャート動向が似ている、等)でありながらも、しかしポイント前週比は歴然とした差が。あいみょん「今夜このまま」がHot100初登場以降前週比80%未満がわずか2週なのに対し、back number「HAPPY BIRTHDAY」は5週。前者がこれまで一度も50位未満にならず44週連続在籍しているのに対し、後者は50位以内在籍18週、Hot100は25週のランクインにとどまっています。
back numberはストリーミングの解禁をベストアルバム『アンコール』(2016)までにとどめています。仮にアルバム『MAGIC』(2019)もきちんと解禁していたならば、カラオケで23週連続20位以内に入る「HAPPY BIRTHDAY」が今も上位にとどまったことは容易に想像出来ます。解禁済の楽曲のうちストリーミングで最も好調な「高嶺の花子さん」(2013)が最新9月2日付ビルボードジャパンソングスチャートで過去2番目に高い順位となる25位に入り、ストリーミング指標11位の影響を強く受けているだけに尚の事です。それでも同曲はミュージックビデオの公開をショートバージョンにとどめたゆえか動画再生指標が300位未満と大きく乖離しており、彼らにおいてはミュージックビデオ公開手法という別の問題も出てくるのですが。
実は今、「HAPPY BIRTHDAY」と似た流れになりそうだと危惧する曲があります。それがRADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」。映画『天気の子』使用曲の中で最上位にランクインしているのですが、7月29日付で4位に登場しながらもその6週後には早くもトップ10落ちしてしまいました。
順位 P 前週比 CD DL ST RA LU TW MV KA 2019/4/22 92 ? 14 2019/4/29 - ? ? - 2019/5/6 2019/5/13 2019/5/20 2019/5/27 2019/6/3 2019/6/10 2019/6/17 2019/6/24 2019/7/1 2019/7/8 2019/7/15 - ? ? - 2019/7/22 ? 2019/7/29 4 9055 ? 1 22 12 6 2019/8/5 3 10005 110.5% 1 2 23 1 - 2019/8/12 5 7222 72.2% 1 6 28 1 66 2019/8/19 5 6397 88.6% 1 6 31 2 59 2019/8/26 7 5769 90.2% 2 17 53 3 28 2019/9/2 11 3926 68.1% 2 28 71 4 24
ポイント前週比80%未満が既に2回発生していることが気掛かりです。映画『天気の子』は現段階での最新映画興行収入ランキングで首位に返り咲き、興行収入は107億円を突破しているのとは対照的な動きに見えるため、尚の事。
「愛にできることはまだあるかい」はシングルCD未リリースゆえ、シングルCDセールスおよびルックアップの2指標がない状況ですが、ポイント前週比にはさほど影響しないものと思われます。こちらはミュージックビデオがフルバージョンで掲載されていることから、やはりストリーミング未解禁が原因とみていいでしょう。RADWIMPSの場合は一部ストリーミングで解禁していますが、こちらには『天気の子』または『君の名は。』の楽曲も収録されていません。
ストリーミング解禁/非解禁の判断は歌手側にあり、判断は自由です。しかしストリーミング解禁がCD等セールスに必ずしも悪影響を及ぼすわけではないこと(それどころか、戦略や工夫次第では前作を超えることも十分あり得ます)、楽曲が長く愛されていくことを踏まえるに、やはり解禁したほうが好いのではというのが数値の面からも見えてきました。ミュージックビデオフルバージョン解禁も含めた接触(指標群)の充実がチャートにも有効に作用していくことは間違いありません。