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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『アリー/スター誕生』サウンドトラックが米アルバムチャート制覇!その理由はアカデミー賞だけではなかった?

アカデミー賞レディー・ガガブラッドリー・クーパーが披露した「Shallow」のパフォーマンスに魅了され、同曲に米ビルボードソングスチャートでの再度のトップ10入りを願うと先週末書きました。

ソングスチャートの速報は日本時間の明日早朝に発表されますが、その前にアルバムチャートで朗報が。

現地時間の3月3日日曜に発表された、最新3月9日付米ビルボードアルバムチャートの速報が発表され、「Shallow」も収録された映画『A Star Is Born (邦題:アリー/スター誕生)』のサウンドトラックが通算4週目となる首位を獲得しました。当初はアリアナ・グランデ『Thank U, Next』に追いつかないとみていた米ビルボードの予想を見事に覆しました。

18週ぶりとなる首位返り咲きを果たした『A Star Is Born (邦題:アリー/スター誕生)』サウンドトラックは128000ユニットを記録。当初の100000という予想を大きく上回る結果となりました。一方アリアナ・グランデ『Thank U, Next』は116000で予想ユニット数(110000~115000)に近い数字。なぜサウンドトラックだけが当初の予想を大きく超えたのか…それはレディー・ガガ側の"施策"にありました。

米アマゾンでのアルバムのデジタル販売分を、2月28日限定で2ドル99セントという安価で販売したことが功を奏した次第。その前日は3ドル99セントで販売されていたのですが、更に安価に設定したわけです(注:ブログを記載した3月4日6時の段階ではデジタルアルバムの価格は13ドル49セントとなっています)。

これにより『A Star Is Born (邦題:アリー/スター誕生)』サウンドトラックは3→1位へ、前週比152%アップの128000ユニットを獲得。CDおよびデジタルのアルバムセールスは前週比166%アップの76000ですが、デジタルに限ると同353%大幅アップの50000となったわけです。まさに値下げ施策が活きた形となりました。

 

実はレディー・ガガのアルバム値下げ施策で以前、米ビルボードを揺るがす件がありました。彼女のオリジナルアルバム『Born This Way』(2011)が発売日のみ、米アマゾンで99セントにて販売したのです。この結果『Born This Way』は初週でミリオンセラーとなったのですが値下げ施策が問題視され、米ビルボードは、この件が元だとは謳っていないものの『Born This Way』発売から半年も経たずに、『3.49ドル(およそ268円)以下のアルバムおよび0.39ドル以下(およそ30円)の楽曲についてはその売り上げをカウントしない方針へ』チャートポリシーを変更したのです(『』内は下記記事より。268円および30円は記事掲載時点のレート)。

『A Star Is Born (邦題:アリー/スター誕生)』サウンドトラックは1日限定で2ドル99セントに設定しているためカウント対象外ではと思われるかもしれませんが、発売5週目以降は価格にかかわらず集計されるとのこと。ゆえに発売から5ヶ月近く経ったサウンドトラックは3ドル49セント以下の価格設定でも集計対象となり、レディー・ガガ側はその点を突いたといえます。

 

 

この施策を疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、ソングスチャートでも99セント等安価販売をタイミングよく仕掛け、チャートアクションに寄与させるという例が散見されます。先述した米ビルボードのチャート予想記事が2月26日付ゆえ、レディー・ガガ側がテコ入れを図り安価販売を行ったとみることも出来、つまりはマーケティングや施策が大切だと言えるのです。