『放送批評懇談会が日本の放送文化の質的な向上を願い、優秀番組・個人・団体を顕彰する』ことを目的に創設されたギャラクシー賞(『』内は放送批評懇談会 - ギャラクシー賞概要より)。昨年度(2015年4月~2016年3月)の膨大な作品群の中から先日、第53回ギャラクシー賞入賞作品が発表されました。テレビ部門では東日本大震災関連作品の他、ドラマでは『ちかえもん』『民王』『64』といった口コミで話題となった作品群が入賞を果たし、口コミの信憑性の高さを実感しました。そしてラジオ部門で選ばれた8作品の中に、なんと弘前市のFMアップルウェーブ発の作品が。これは素晴らしいことです。
◆ラジオ部門
遠くなる戦争を語り継ぐ~女性ノンフィクション作家の対話~(日本放送協会)
学生に夏休みはない 2015(毎日放送)
タモリのオールナイトニッポンGOLD Song&BOSSスペシャル(ニッポン放送)
エフエム仙台・TOKYO FM共同制作「ライターのつぶやき~河北新報の5年~」(エフエム東京 エフエム仙台)
Memorial Graduation 2016~小学校卒業生のメッセージ~(アップルウェーブ)
『Memorial Graduation…』はFMアップルウェーブが毎年3月に放送。弘前市(や最近では近郊市町村も含む)の小学6年生が書いた卒業に寄せてのメッセージを皆が自身の声で読み上げ、それを一日2時間程度の枠を設け1週間毎日放送するという番組。地域密着の放送局だからこそ出来ることですし、個人情報がとかプライバシーがなどというクレームも耳にしたことがなく、つまりは学校も保護者も協力的であることが解ります。スタッフの方々は各学校に協力を願い出て、また全員分を録音および編集をしないといけないわけですからその労力は想像を絶するものがありますが、それがギャラクシー賞入賞として結実したと言えるでしょう。コミュニティFMでは唯一のランクインであり、本当に見事です。
選ばれた8作品、実はあくまでノミネートの段階であり、この中から『大賞1本、優秀賞3本、選奨4本が選出』(放送批評懇談会 - 第53回ギャラクシー賞入賞作品一覧より)とのこと。『Memorial Graduation…』が選ばれるかは判りません。が、コミュニティFMとしての意義や使命を見事に果たし(続け)たこの作品が、膨大な作品群の中から(上位、と言っても過言ではない)8作品に選ばれたということは大きな意味があるでしょう。他のコミュニティFMにとって励みになるでしょうし、それ以外のラジオ局にとってはいい意味で脅威に感じるはず。己のプライドから負けじとアイデアや工夫を出し、ブラッシュアップしていくことで各ラジオ局が切磋琢磨し合う環境になっていくことを願うばかりです。