今、SNSで #私を構成する9枚 というハッシュタグが流行しているようです。何をもって”私を構成”するのか、その解釈は人それぞれ。フォロワーの方が今週CD(のジャケット)9枚を掲載したことで自分はハッシュタグの存在を知ったのですが、CD以外にも様々なジャンルの写真が掲載され(酒やアニメキャラ、プロレスラーなど)、その豊かな解釈を楽しみながら見ています。作り方については下記を参照してください。
ということで、自分自身の9枚を選出してみました。音楽人生のターニングポイント”となった作品、というテーマに基づいています。
”己”を一筆書きする形で順番に説明。
① Wink『Especially For You 〜優しさにつつまれて〜』(1989)
前年に祖父母からソニーのラジカセ”ドデカホーン”を買ってもらったことで音楽没入人生がはじまったのですが、最初にハマったのは彼女たちでした。きっかけとなったのは「愛が止まらない~Turn It Into Love~」におけるカバー(オリジナルはカイリー・ミノーグ)でしたが、よく聴いたという意味でこの作品を。そのカイリーとジェイソン・ドノヴァンによる表題曲や、ムーラン・ルージュのカバーで先行シングルだった「涙をみせないで~Boys Don't Cry~」等収録。あらためて調べてみると、1曲のみがオリジナルというのに驚きました。こうやってカバー経由ではありますが洋楽に触れていくわけです。
② Janet Jackson『Rhythm Nation 1914』(1989)
近所の子供の父親に勧められてダビング、テープだったので文字通り擦り切れるまで聴いたといっても過言ではない作品。草野仁さん司会の『THE WAVE』(TBS)で「Alright」のミュージックビデオが流れていたこと、あまりに衝撃的だった「Rhythm Nation」のミュージックビデオをとんねるずがパロディにしたり”かくし芸”で和田アキ子さんが挑戦したりと、彼女の作品は様々なところに影響を及ぼしており、いかに彼女が凄いかということをまざまざと知った次第。洋楽が格好いいと認識したのは彼女がきっかけかもしれません。
③ Mariah Carey『MTV Unplugged EP』(1992)
2枚のアルバムで一気に全世界の歌姫(この表現は好きではないのだけど、彼女の場合歌唱力と美貌が相俟って、まさにこの表現がピッタリだと考えます)となったマライアによる初のライブ盤。自分にとってゴスペル(ライクな曲)との出会いはここから。全曲歌えるくらい何度も聴いた記憶があるのですが、「Someday」の”私を振ったこと、今に後悔するわよ”的な歌詞をよくもまあ堂々と歌ってたな…と、今考えると恥ずかしくなりますね。
④ Toni Braxton『Toni Braxton』(1993)
自分が洋楽、またR&B好きになる最後のきっかけ(それ以降ずっとハマっているという意味で)は、米ビルボードを知り、近所の理容室で流れる有線放送からシングルチャートのチャンネルを録音してもらったこと。その1993~94年頃にチャートを席巻していたのが「Another Sad Love Song」、そして「Breathe Again」でした。女性としてはあまりにも短い髪型、テナーボイスという衝撃はあれど、アメリカにはこのような巧い歌い手がいるのか!というのがもっと衝撃的で。そして、メロディの美しさにうっとりしたものです。
⑤ ART『ブルーアルバム』(2006)
公式では2006年となっているものの、実際はもっと前に手に入れた記憶。関東で社会人生活を始めたものの諸事情で仕事を転々とすることになるのですが、最初の”挫折”の頃、失意の中でふとアコースティックライブハウスに行きたくなり、鎌倉で観た最初の演者が同年代のARTくんという方。深淵の中にある光を歌う独特の世界に浸り、以降彼のライブに足繁く通い、またなぜか彼主催イベントで司会をしたことも。自主制作盤ですが、この頃から音楽にメジャーもインディも関係ない、いいものはいいと認識するようになりました。
⑥ HIRO'S MASS CHIOR『Unconditional Love』(2004)
R&Bを聴きこむうちにその源流のひとつであるゴスペルに興味を抱くようになったこと、そして自身の諸事情により何かしらの光を渇望していたことが相俟って、当時渋谷で教室を設けていた大所帯クワイア(各クラスを合わせると200名以上)の門をたたくことに。そこでの数年の経験が、未だネガティブな思考が主とはなっている自分ではありますがそれでもその頃よりはるかにポジティブになっている心の原動力となったことは言うまでもありません。このCDは所属の2、3年後にレコーディングした作品集。音程がダブルフラット気味な自分ですが、ビブラートを買ってくれた先生に感謝。
⑦ Madonna『Confessions On A Dance Floor』(2005)
自分が実家へ戻る前年にリリースされた、ノンストップミックス的オリジナルアルバム。J-WAVEが主催したリリース前の試聴イベントに当選し、開催されたいかにも彼女らしい場所(新宿二丁目)に初めて足を踏み入れたり、リリース直後に彼女が来日した際のイベントにも当選し(場所は新木場)、ペアチケットの相手を探しに当時全盛だったmixiのコミュニティを訪れ、その時知り合った方と今でもつながっていたり…となにかと刺激的な出会いが多かったのはこのアルバムがきっかけ。そして3mという至近距離で観た彼女の、女帝たるオーラをまざまざと見せつけられたのは10年以上経っても未だ強烈に残っているのです。
⑧ RHYMESTER『Bitter, Sweet & Beautiful』(2015)
『小島慶子 キラ☆キラ』(2009-2012 TBSラジオ)で遅ればせながら宇多丸さんの存在を知り、そこで聴いた「ONCE AGAIN」が自己を鼓舞するという意味で自身のアンセムとなったのですが、その曲や「The Choice Is Yours」、そしてなにより昨年放たれたこのアルバムに通底するテーマはまさに自分が考えていることを如実にわかりやすく、そして刺さりまくる言葉達に紡がれたもので、彼らの考え方そして生き方に感銘を受けたものです。理想の大人像はRHYMESTERの三人だと実感しています。
⑨ Babyface『Return Of The Tender Lover』(2015)
先述した『Toni Braxton』以前からその名は耳にしていたと思うのですが、同作のプロデュースや前年の「Give U My Heart」の共演で童顔氏の印象が強烈に残り、彼の紡ぐメロディの美しさに惹かれ、以降彼の作品を(氏が全面プロデュースを手掛けた映画のサントラ、『Waiting To Exhale』(1995)は特に)好んで聴くように。勝手ながら、氏の名前から自分の初期ハンドルネームも拝借させていただきました。昨年末リリースされた10年ぶりのリーダー作も、聴いた瞬間にそのエバーグリーンっぷりが香り立つ良作で、彼の作品はどれも間違いないと再認識。ずっとついていきます。
というわけで、あくまで個人的な #私を構成する9枚 でした。