首都圏の主要AMラジオ局の今秋の改編内容が発表されました。
その中で、文化放送でスタートする『ビビる大木のBrat!Brat!』(毎週土曜 18時-20時)ではこのような説明が。
12月の開局を目指して準備中の文化放送ワイドFM91.6MHz。このフラッグシップ番組としてスタートする『ビビる大木のBrat!Brat!』では、FMの特徴を生かした「エリア」とクリアな「音」で、毎回〝地域″を意識して3か所からレポートを繋ぎます。
今冬までに開始予定の【ワイドFM】の詳細は、たとえばソニーのホームページを見るとよく解ると思います(Yahoo!での検索最上位がソニーでした)。ビルやマンション等での難受信対策、および音がクリア且つステレオで聴こえるため音楽向きというのがワイドFMの特徴ですが、特に後者の利点を活かしたと思しき番組がTBSラジオ、ニッポン放送でも開始されます。それが『SOUND AVENUE 905』(TBSラジオ 毎週火-金曜 21時-22時)および『オールナイトニッポン MUSIC 10』(ニッポン放送 毎週月-木曜 22時-23時50分)です。
しかしながら、ニッポン放送の今回の新番組について、納得出来ない点が少なくありません。
『~MUSIC 10』開始に伴い終了する『オールナイトニッポンGOLD』の月-木曜分(金曜のみ『~GOLD』の名前で継続)について、番組終了(縮小)のアナウンスが初めてなされたのがどうやら9月3日(木曜)の久保ミツロウさんと能町みね子さんの回だったそうです(Twitter等の情報でいろいろ調べた結果そのように判断しました)。他曜日では終了のアナウンスがないまま、翌週の7日(月曜)朝に松田聖子さんが同時間帯で月イチレギュラー担当という報道がなされ(その際、新番組のタイトルも発表)、翌8日にニッポン放送が秋改編を発表するに合わせ他のパーソナリティも発表、報道されました。『~GOLD』は金曜パーソナリティが固定していないため固定の4曜日分はすべて終了となるにも関わらず発表したのは久保・能町コンビのみ。新番組の報道があってはじめて『~GOLD』が終了するのだと理解したリスナーが少なくないことになります。
他の曜日のパーソナリティが自らの口で終了を告げることが出来ないというのはパーソナリティにとっても悔しかったでしょうし、リスナーからすれば裏切られた感すら抱きかねません。『~GOLD』は帯番組の"体(てい)"であれども曜日毎にパーソナリティが異なる以上、全曜日聴くリスナーは通常の帯番組に比べれば少ないでしょうから、やはり各曜日で終了のアナウンスはしていただきたかったなと思うのです。それこそが礼節なのではないでしょうか。
こういう姿勢を見るに、『~GOLD』を終わらせてでもワイドFM向けの番組を始めるってどうなんだろうという違和感を覚えてしまうのです。『~GOLD』については以前にも、聴取率調査週間中の番組差し替え問題がありましたが(ニッポン放送、スペシャルウイーク中の『オールナイトニッポンGOLD』対応がしっくり来ない(4月17日付)より)、厳しい物言いですがニッポン放送はパーソナリティもリスナーも大事に出来ない局だということを今回の改編でより強く実感してしまいました。そしてワイドFM向けの『~MUSIC 10』が仮に失敗した場合、その先はどうするのだろうと。その点において、ナイターオフシーズンにナイターの枠内でワイドFMを意識した番組を放送するTBSラジオの編成のほうがより柔軟だと言えるでしょう。仮にワイドFMを意識した番組が失敗したとしても"半年間の実験"と位置づけ出来ますし、成功したらナイターシーズン以降の編成に活かせばいいわけですから。
個人的には、ワイドFMで音がクリアになることには歓迎しています(自分の場合は県境山間部に住んでいるためFMですら音が悪く、よってradiko(プレミアム)に助けられている、ということですが。しかしながら音がいいのはやはり魅力的です)。しかし、AMの音がクリアになったからといって、ワイドFM向けに恒常的に番組を用意するのは少しやり過ぎな気がしています。無論ワイドFMの周知徹底は必要ですが、そのためにそれまでの番組を半ば強引に刷新する(ように見えてしまう)やり方までしてはじめるのならば要らないとすら思うのです。普段のAMが音がクリアになった、というだけではいけないのでしょうか。