米ビルボードソングスチャートを定点観測。
現地時間の4月16日月曜に発表された、4月21日付最新チャート。ドレイク「God's Plan」の12週目の首位を阻止したのはドレイク本人による「Nice For What」でした。今回も初登場でナンバーワンを獲得しています。
記事は下記に。
.@Drake dethrones himself atop the #Hot100, as "Nice for What" debuts at No. 1, replacing "God's Plan" https://t.co/158TOiPMU0 pic.twitter.com/rORjZPYKDu
— billboard (@billboard) 2018年4月16日
そしてトップ10はこちら。
「Nice For What」は4月6日に発表されストリーミングで6040万を獲得、デジタルダウンロードは88000を記録し2指標で首位発進。ラジオエアプレイは3100万で34位となっています(ラジオエアプレイのみ日曜までの集計、その他は木曜までの集計)。
さて、今回はドレイクにとって記録ずくめですのでどんどん紹介していきましょう。
「Nice For What」はドレイクにとって「God's Plan」に次ぐ5曲目の首位獲得。初登場で1位を獲得したのは米ビルボードソングスチャートの歴史上30曲目であり、そのうちドレイクは「God's...」と「Nice...」で2曲に。初登場1位を複数曲持っているのはドレイク、ジャスティン・ビーバー、ブリトニー・スピアーズ(2曲)、そしてマライア・キャリー(3曲)の4組のみ。また連続で首位を獲得したのは昨年のジャスティン・ビーバー以来(ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」→DJキャレド feat. ジャスティン・ビーバー、クエヴォ、チャンス・ザ・ラッパー&リル・ウェイン「I'm The One」)、13組目。主演作同士での交替は同じくジャスティン・ビーバーによる「Sorry」→「Love Yourself」以来およそ2年2ヶ月ぶりとなります。ただし、入れ替わり前後の2曲とも初登場1位だったのは今回ドレイクが史上初。
「Nice For What」はドレイクにとって25曲目のトップ10ヒットとなり、エルヴィス・プレスリーに並びました。男性歌手ではマイケル・ジャクソン(29曲)、スティーヴィー・ワンダー(28曲)、エルトン・ジョン(27曲)に次いで歴代4位タイ。総合での歴代1位はマドンナの38曲ですが、ドレイクの勢いを踏まえればそう遠くない未来に塗り替えそうです。また「Nice...」は100位以内でみると162曲目のランクインで、ソロ歌手としては最多。最上位はグリー・キャスト(によるドラマ挿入歌)の207曲ですが、ドラマが終了しているためこれ以上伸びることはなく、ドレイクがアルバムをリリースし、ストリーミング等の影響で全曲ランクインすることがあれば最多更新はほぼ間違いないのではないでしょうか。
そして「Nice For What」に敗れ12週目の1位を逃した「God's Plan」は2位に。ストリーミングは前週比9%ダウンの4750万、デジタルダウンロードは同26%ダウンの35000となり、一方でラジオエアプレイは同1%アップ...実はまだ完全ピーク越えとは言えないわけです。今回の「Nice...」と「God's...」の1位2位独占で、ドレイクは18組目となるワンツーフィニッシュを果たした歌手となりました。これもまたジャスティン・ビーバー(先述した「Despacito」→「I'm The One」への入れ替わり週)以来となります。更に5位にはブロックボーイ・JBとの「Look Alive」がランクインしており、トップ5内に3曲を送り込んだのは4組目の快挙。ちなみに最初に達成したのはビートルズで、特に1964年4月4日付ソングスチャートでは上位5曲独占という前代未聞の記録を成し遂げています。
総合ソングスチャート以外でも、「Nice For What」でドレイクはR&B/ヒップホップソングスチャートを制覇しています。ドレイクにとってこのチャートで18曲目の首位獲得となり、これまで並んでいたジェームス・ブラウンを抜いて単独3位となりました。1958年に始まった同チャートにおいて、最多首位保持者はアレサ・フランクリンとスティーヴィー・ワンダーの20曲。これも時間の問題と言えるかもしれません。
...と、ドレイクだけでこんなに記録が生まれています。
「Nice For What」については、ミュージックビデオも含めた渡辺志保さんによる解説が解りやすいです。みやーんさんの書き起こしを勝手ながら引用させていただきます(問題があれば削除させていただきます)。
ここからは私見ですが、「Nice For What」は発表と同時にミュージックビデオが公開され、その結果ストリーミングは6040万となったのですが、「God's Plan」においては初週、ミュージックビデオが併せて公開されたわけではないものの8240万という数値となっており、大きな差が付いたという印象があります。尤も「God's...」についてはドレイク久々の新曲だったこともあり待望感が強かったこともあるでしょうが、そう考えると今回の「Nice...」は初週にストリーミングのピークを持ってきたい、そして勢いを見せつけたいという戦略があったのかもしれません。ラジオエアプレイが追いつかなければ次週は「God's...」に抜かれるか、もしくは今週3位にランクダウンしながらもラジオエアプレイ首位(前週比4%アップ)のビービー・レクサ&フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」が差す可能性もあるかもしれません。その「Meant To Be」、日曜に放送されたカントリーミュージックの音楽賞、ACMアワードで披露されています。
This performance was “Meant To Be” at the #ACMawards #BillboardNews pic.twitter.com/2F7BJMDix2
— billboard (@billboard) 2018年4月16日
一方ドレイクは、どうやら6月28日に『Scorpion』と題したアルバムをリリースするのではないか、と。ドレイク本人のインスタグラムで匂わせています。
これらがドレイクのデジタルダウンロードの買い控え、そして「Meant To Be」の各指標アップにつながれば...もしかしたらということが次週起こるかもしれません。
8位にはカーディ・Bによる「I Like It」が初登場。同日付米ビルボードアルバムチャートを制した『Invasion Of Privacy』収録曲で、デジタルダウンロード2位(47000)、ストリーミング9位(2590万)の好発進となっています。
昨年からのラテンムーブメントは続いているようで、ビヨンセをリミックスで招き自身初のトップ10ヒットを達成したJ・バルヴィン、そしてバルヴィンと共にプエルトリコのレゲトン歌手であるバッド・バニーを起用したカーディ・B。これが自身5曲目のトップ10ヒットとなりました。ピアニスト、ピート・ロドリゲスによる1967年の「I Like It Like That」を下敷きにしていますが、カーディのアルバムには先述したドレイク「Nice For What」同様にローリン・ヒル「Ex-Factor」をサンプリングした「Be Careful」が収録。同曲は前週16位に初登場を果たしたのですが、今週トップ10入りしていたらサンプリングされた曲がトップ10内に2曲という稀有な記録も生まれていただけに、「Be Careful」が伸びなかったことは個人的に残念だったりします。
さて次週。「Nice For What」が勢いをキープするか、テレビ出演をバネに「Meant To Be」が念願の首位の座を射止めるか、それとも「God's Plan」が再度首位を奪還するか...ニッキー・ミナージュも新曲を放っており、混戦になる気がしています。