イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

人間交差点2017、参戦感想と来年以降への願い

5月14日の日曜、東京お台場で行われたRHYMESTER主催フェス【人間交差点2017】に参戦してきました。

昨年に続く参戦でしたが今年も心から楽しむことが出来ました。ラインアップがいつもに増して"人間交差点的"というかジャンルレスで、自分が観た流れではSEX山口(楽しませることに徹したDJプレイ、しかしながらつなぎが実に巧い)→Base Ball Bear(青春の王道)→マボロシ(セクシーで分厚いロック)→(隣のステージから拝見した)SOIL & "PIMP" SESSIONS(フリージャズ的)→KIRINJI(ちょっとひねくれ感のあるポップ)→(隣のステージから)KREVA(ヒップホップの美しさ)→CRAZY KEN BAND(昭和の薫り漂う大所帯バンド)→RHYMESTER(ヒップホップの王道)...といういい意味でのカオス、渾然一体っぷり。RHYMESTERの前座としてあの浅草キッドが、良くも悪くもカオス溢れる漫才で会場をかき回し...ネタはメディアに出せないとのことですが爆笑問題の年末特番に出てもいいのでは?と実感しています。

 

個人的な最高峰はRHYMESTERは勿論のこと、その格好良さに痺れたという点ではKIRINJI、そしてメンバーでもある弓木英梨乃さん。今週一度そのことに触れましたが、昨年のツアーのDVDを取り寄せ「The Great Journey」を確認し、あらためて一週間前の衝動が蘇った次第。ジャンプしまくりの影響で今週一週間ランニング出来ないくらい、この曲の持つ衝動は凄まじかったなと。

Base Ball Bear「THE CUT」でRHYMESTERが登場した際、上手に弓木さんと宇多丸さんがいたのですが、終始笑顔の弓木さんとじゃれるかのような宇多丸さんがなんだか可愛らしかったり。弓木さん、客席後方でもはっきりと分かるその笑顔に、心から楽しんでる感というかベホべの持つ"青春純度の高さ"が如実にあらわれているようで素晴らしかったですね。

 

RHYMESTER、特にMummy-Dさんのステージ参加数は、坂間大介として登場したマボロシ、ソロで客演参加したKREVAを含めを含めると7本。その他RHYMESTERとして先述したKIRINJI、Base Ball BearCRAZY KEN BAND、SOIL & "PIMP" SESSIONSに参加。体力の限界を嘆いていましたが実に格好いいステージングで、とりわけ、わずか2回のリハーサルながら8年前よりも好いというマボロシのバンド編成(タケウチカズタケ氏も!)、その分厚いロック感たるや。漢を見た気がします。CKB人間交差点2017で唯一、演歌的な手拍子のタイミングを持つ曲を用意していて、それでも何ら違和感なく溶け込めるのはさすが剣さんだなと。そしてRHYMESTER...新曲多めのステージながら、それこそ初出しの新曲までもが即座にクラシックと化すかの如き馴染みやすさで嬉しくなります。アルバム制作も完成が見えてきたとのことなので、リリースを心待ちにしたいと思います。

 

 

 

さて、改善して欲しいところがあればハッシュタグ( #nkfes )をつけてつぶやいて...と人間交差点フェスの呼び込み時に語っていたので、来年以降の開催に向けて思ったことを書いてみます。

改善の前にまず、素晴らしかった点をあげるとすれば、実に家族連れが多くアットホームな空間であったという点。キッズエリアがある等このフェスの良さが浸透してきたからか、開演時に並んだ際、前に親子4人、後ろに赤ちゃんとその両親という布陣だったのがこのフェスならではだよなあと。またステージのPA横には車椅子の方専用のブースがあることも素晴らしい配慮。一段高くなっていること、そして専用の入口を広めに確保していることは家族連れ同様の配慮であり、ライブアクトのみならず観客も多様性であってほしいという思いを感じます。

 

さて、当日はあのハーゲンダッツが新商品のテイスティングを1人1本ずつ配っており、それは素晴らしいことなのですが...しかしあるとき、自分のそばにいた観客がハーゲンダッツを”食べ放題”と語っていたことにはちょっと疑問が。もしかしたら1人1本というルールを破った者は少なくないのではと邪推してしまいます。この点を含め、観客のマナーの問題が目立った感は否めません。特に酷かったことの一つは、喫煙スペース用のテントから出て堂々と煙草を吸う方が目立っていた点。喫煙スペースの近くにいた人(トイレのために並ぶ人等)への副流煙の問題が生じていました。テントが白いため中から外の様子を伺えない問題があるにせよ、せめて煙草を吸う数分だけでも中に待機していただけないのかなと。

そしてもうひとつは観客による無許可撮影。たとえばマボロシにおいて、活動再開を知って関西からやってきたと意気揚々だったファンが、いざライブがはじまるとスマートフォン片手に撮影しまくりで、自分は斜め後ろにいたその方が気になって仕方ありませんでした。歌手にとっては万一ネット上にアップされれば肖像権や著作権の問題が発生しますし、なにより自分をはじめ他の観客の気を削ぐという意味で大変失礼でしょう。大ファンといいつつ平然と周りを気にしようとしないという姿勢には、ファンの資格があるのかと問いたいところです。その他撮影者は本当に目立っているのですが、自分が見た限りスタッフから注意があったのは一度だけで、昨年より極めて少なくなっています。演者によるステージでの注意喚起も極めて少なかった気がします(むしろ、痴漢行為への注意ばかりが目立っていた印象が)。

たしかにライブに来た以上撮影したい気持ちは理解出来なくはありませんが、プロのカメラマンの撮影の方が機材的にも場所的にもまた集中力の面でも、より綺麗なのは自明。ならばそちらに委ねていいと思うのです。それでも撮りたい欲が失せないならば、主催側が”この曲の間撮影していいですよ”という撮影許可時間を用意してもいいのかもしれません。撮影したい/撮影させないというのはイタチごっこでしょうから、敢えて許可時間を与えることで逆にそれ以外の時間をライブに集中させる効果を生ませるべきではないかと。現行のマナーの悪さの原因にある撮影欲をどうやって満たすかを考えたほうがいいのかもしれません。

 

軽食等の拡充を求める声もありました。特に”生ビール”の声は当日のステージでも上がっていましたね。それこそ今回RHYMESTERが披露した「グラキャビ」のリリックにある”麦のご褒美”は必要かなと。会場出入り自由のフェスゆえ、ヴィーナスフォート内のファミリーマートで買い物する方も少なくないのですが今年は(も、でしょうか)冷蔵スペースの酒が売り切れたとの情報が。会場内の酒等が安くないというのもあるかもしれませんが、ならばコンビニにはない”生”ビールというプレミアムを提示することは効果的かと。会場に留まらせる効果が生まれますし、つまみとして屋台等の食品もより売れるのではないかと思います。

 

最後はDJ JINさんの一本締め。会場内にちょっと飽きた、呆れた感が漂っていたのは正直否めません。あの独特の空気感こそDJ JINさんの魅力だと知ってはいるのですが、それでももう少し巻けなかったかと思ったりしています。もしかしたら”プロの一本締め師”という立ち位置やキャラクターが浸透していないかもしれず、ならば『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ 土曜22時)をはじめ各メディアにてプロの一本締めとは?をどんどんレクチャーし、認知度を高めていけば状況は変わってくるのではと思った次第です。

 

 

と、改善要望が多めにはなりましたが、冒頭で書いたように今年もほぼ満足でした。KIRINJIの音のミックス?の問題(声の聴き取りづらさ)やCRAZY KEN BANDRHYMESTERによる「肉体関係 pt.2」でのMummy-D宇多丸両氏の出だしでのマイクが入っていない問題もありますが、それらはPA等が重く受け止め来年の課題にしているものだと信じます。

来年は今まで出ていないRHYMESTERとの共演済歌手の方を是非呼んでいただきたいものです。特に椎名林檎さんは如何でしょう。「流行」ではマボロシと組んでいますので彼女を召喚することで必然的に来年もマボロシが...となるはず。期待します。