イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

エフエム青森発の録音番組が想定外のリニューアルを果たす

4月に入りラジオ局の春改編に伴う新番組が始まっていますが、リニューアルがなされるのも改編期の特徴。そしてこの番組がリニューアルされたとは知りませんでした。

エフエム青森で毎週金曜15時から放送中の『Hello Radio ~サウスランド~』。実はつい先日、この番組について(主にマイナス面について)触れたのですが(エフエム青森、タイムテーブルが春改編後の仕様に。その上で改善をお願いしたいこと - face it(4月1日付))、そもそも長らくパーソナリティを務めていた荒谷勝彦さんが退くことは全く想定していませんでした。というか、パーソナリティ変更のアナウンス、前回放送時にありましたっけ?

で、リニューアルした内容が概ね好く、地元局の録音番組の中でも室の高い番組だと実感出来ました。途中聴くことが出来なかったところもあるので、聴いた限りでの雑感を書きます。

 

◯リニューアル内容

・パーソナリティ:男女複数のナビゲート→藤ヶ森貴子さんによる単独ナビゲート

 (愛称”ふじやん”と自ら紹介。『桜田まこと 風のうた、音の旅』(RABラジオ 毎週日曜11時05分)での桜田まことさんのパートナーの愛称と同じなので同一人物かと。RABラジオでの八戸ラジオカーリポーターの中島美華さんの代打として登場したことも(こちらは藤ヶ森貴子名義で出演))

・番組構成:全てスタジオ収録だった以前から変更。オープニング→前半(取材先の音声を紹介)→後半(八戸のケーキ屋、アルパジョン担当者をスタジオに招きオススメのケーキ等を試食)→プレゼント紹介→エンディング、の流れ

 

なによりもまず、藤ヶ森さんの声が心地よく、また親しみやすいですね。エフエム青森を普段から聴いている方ならば、『あぐりずむ』(TOKYO FM/JFN系 月-木曜 放送時間は番組ホームページを参照)を担当する川瀬良子さんに声も口調も似ている、と言えば想像しやすいかもしれません。担当初回の緊張ゆえか、幾分噛む場面があったものの安定感があり、原稿を読んでいる感が見られなかっただけでも好かったですね。自ら愛称を名乗ったのはともすれば賛否分かれるかもしれませんが、RABラジオリスナーを取り込める可能性を見越してのことだったら藤ヶ森さんやるなあ、と。

 

コーナー前半の取材(蕪島)紹介だけでも、これまで取材音声がなかっただけに新鮮で、リニューアルしたという印象を与えるに十分。蕪島名物のウミネコの鳴き声が臨場感を出しており、また途中に神社内インタビューが挟まれたため、場面転換でウミネコの声の大きさが自然と小さくなったり大きくなったり…その変化が外取材にリアリティをもたらしていました。インタビュー時の相手との声のバランスも気になりません(以前はスタジオでの男性パーソナリティの声が目立っていたため気になる点でした)。

 

後半は、以前も放送していたアルパジョンのコーナー。いつの間にかなくなったなとおもいきや復活していました。このコーナーは最初のみの聴取でしたが、アルパジョンスタッフとのキャッチボールは手探り状態ながらもきちんと出来ていた気がします。

最近はインフォマーシャルやラジオ通販が一コーナーとして用意されている番組も少なくありません(3月まで放送されていた『OLÉRA』(TBSラジオ 毎週火-金曜20時)の中の”OLÉRAセレクション”や、今月スタートの『Happy Hour Party!』(JFN系5局ネット 月-木曜16時)におけるラジオ通販コーナーなど)。いや本来それらは単なるインフォマーシャルやラジオ通販の位置付けかもしれませんが、アルパジョンのコーナーも含めて共通しているのは、”原稿感がほとんどみられない”ということ。ゆえに通販コーナーに垣間見られる原稿感、言い換えれば演技過剰ではないため言葉のキャッチボールを楽しむことが出来るのです。ラジオ局側にとってインフォマーシャル等による収入確保は営業面で必要なことですが、紹介時にこのようなシステムを採ることはリスナーにとっても堅苦しさはなくインフォマーシャル等だと分かっていても聴いてみたいと思えますし、発し手にとっては商品をより魅力的に紹介する手段として好い試みだと考えます。

また、プレゼントコーナーでアルパジョンから提供された『朝の八甲田』を、ただ商品名を述べるにとどまらずその商品詳細を藤ヶ森さんが自分の言葉で語っていたことも、商品がグッと近くに感じられたという点で好印象です。

 

 

惜しむらくは、番組とCMとを仕切るジングルがなかったこと。裏番組で昨秋放送開始の『GO!GO!らじ丸』(RABラジオ 月-金曜11時55分)がジングルを徹底しているため、ジングルがないことはよりみすぼらしく見えてしまいまねまぜん。早急に用意したほうが好いでしょう。

一番違和感を覚えたのは、エンディングの最後で藤ヶ森さんが披露した”プチハピメモ”という占い?やラッキーカラー紹介のミニコーナー。そもそもその占い等に根拠がないんですよね(一般的な占い自体に根拠があるのか?と言われればそれまでですが)。あまりに唐突にはじまったので、”なんだなんだ?”と思っている間に番組が終了してしまい、変なしこりが残った気がしてなりません。そのミニコーナーは特になくても良いのではと思います。

 

 

選曲は新曲主体。POLYSICS「Dr Pepper!!!!!」(→ YouTube 3月25日発売のミニアルバム『HEN 愛 LET'S GO!』収録)のオンエアが、八戸で開催される日本酒イベントを紹介した直後に流れるというのは、(日本酒の直後にジュースの名前を冠した曲を紹介したいう点で)違和感を抱いてしまいました。とはいえ曲そのものは良い意味で変態性溢れており(また米米CLUB「KOME KOME WAR」を想起させるメロディラインも個人的に好み)、こういった曲を紹介してくれるセンスの良さについては好感が持てました。オープニング曲のイントロ乗せも出来ていましたし、選曲には今後も期待出来ますね。

これまでの放送では必ず三曲紹介しており、尺の関係上一曲のオンエアが一番のサビ終わりまでということが垣間見られました。せめて二番のサビ前までオンエアしたほうが曲に対して失礼に当たらないと思うので、今後は曲数を減らしてでも一曲一曲をじっくり聴かせる構成にしていただきたいなと考えます。ちなみに、途中聴けなかった部分もあったので曲数を確認しようと当日のオンエアリストを確認したら、(放送のあった)15時台のリストは未掲載。気になって3月まで遡ってみたところ、いずれも金曜日は15時台が未掲載のままでした。これは番組を制作した八戸支局の問題かもしれませんが、15時台後半の番組のオンエアリストも未掲載であることを考えれば本局側にも問題があるかもしれません。ラジオを聴いた方の感性に引っ掛かる曲に出会い、調べようとしたら出てこないというのは購入等の導入意欲を削ぐ機会損失ではないでしょうか。この点は非常に勿体無いと思うので、早急な改善を望みたいところです。

 

 

長くなってしまいましたが、概ね好印象を抱くことが出来ました。今後は外への取材が続くとは限りませんし、曲数も三曲ビッチリなのかもしれませんが、リニューアル初回を聴いた限りでは以前触れたような音声のバラつきも感じられませんでした。パーソナリティ以外の制作陣が一新されたではと思うくらいの質の高さに嬉しさを覚え、今後も同様の内容が続くことを願ってやみません。他の録音番組にとって手本になる…というのはもしかしたら大袈裟かもしれませんが、リニューアルは成功ではないかと思います。