イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

『THE MUSIC DAY 2026』を機に、STARTO ENTERTAINMENTのデジタルアーカイブ化を今一度願う

昨日放送の日本テレビ系長時間音楽特番『THE MUSIC DAY 2026』では、番組恒例となるSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手のシャッフルメドレーが披露されています。一方、カバーされた曲のうち放送日時点にてサブスク解禁されているのは12曲の半数にとどまっています。

 

『サブスクにない曲は、サブスクで音楽を聴く者には存在しないと言っていい』『今の時代は過去曲でも触れやすく、初めて聴いた者には新曲と呼べる』『過去曲がいつ何時でも(リバイバル)ヒットする可能性が高まっている』…このブログでも唱える内容は、昨今の音楽チャートからも明らかでしょう。STARTO ENTERTAINMENTにおいては現役歌手、既に活動を終えたグループの曲が徐々に解禁されるも、現状は上記のとおりです。

他方、5月末日で活動を終了した嵐の作品が後にチャートを席巻したり、デジタル解禁に伴いKinKi Kids「愛のかたまり」やNEWS「チャンカパーナ」のカラオケヒットが加速し総合チャートでも安定するという状況が生まれています。これらはSTARTO ENTERTAINMENT側においてもデジタル化の重要性を感じるに十分なはずであり、だからこそデジタルアーカイブの充実をあらためて強く願っています。

 

 

STARTO ENTERTAINMENT側がサブスクに明るくなることは、所属歌手に楽曲を提供した側にもメリットが生まれます。

たとえば椎名林檎さんによるSMAP提供曲のセルフカバー、「華麗なる逆襲」はアルバム『逆輸入~航空局~』に収録されながら、Spotifyでは現時点で聴取不可となっています。これは玉置浩二さんによるセルフカバー作『Offer Music Box』の冒頭2曲(V6およびTOKIOへの提供)も同様であり(Spotifyはこちら)、【Diggin'】04. ”Covers” of Their Own Composition(2012年10月26日付)で紹介した問題は14年近く経つも変わっていません。

さらにはSMAPへの提供曲であり、一昨日放送の『あさイチ』(NHK総合)でも披露されたスガシカオさんによる「夜空ノムコウ」(作曲は川村結花さん)は、収録されたアルバム自体がSpotifyにはなく、同サービスではミュージックビデオだけチェック可能という状況です。楽曲提供歌手がSTARTO ENTERTAINMENTとの契約時にどのような取り決めを交わしているかは解りかねるも、この状況は提供者、被提供者共に機会損失でしょう。

(なおスガシカオ『BEST SESSIONS!』は『ビクターオンラインストア及びライブ会場限定販売商品』であり(『』内はスガ シカオ 30th KICK OFF SPECIAL ALBUM『BEST SESSIONS!』 | SPECIAL SITEより)、デジタル解禁されるかは解りかねます。)

このような状況を変えるきっかけになるという意味でも、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手作品のデジタル解禁は必要と考えます。

 

 

さて、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手のサブスク解禁に関し、このブログで記した内容を再掲します。

なお本日KAT-TUNによる全曲がサブスク解禁されていますが、番組でこのようなことを発信したばかり。ゆえに尚の事、解禁に安堵しています。

 

ラジオ番組『imaoto on the Radio』#025 放送後記 (OA楽曲一覧掲載)(3月22日付)より

問題発生時の安易な音源引き下げ等は結果的に業界全体の、そして受け手においても熟考につながらず、短絡的な見方に陥るばかりではと考えます。たとえば海外では映画『Michael/マイケル』のヒットに伴いマイケル・ジャクソンのベストアルバム『Number Ones』がヒットしていますが、この作品には「You Are Not Alone」、そして「One More Chance」というR. ケリー提供作品が収録され、現在も残っています。

この点について、コーチェラ・フェスティバルを機にジャスティン・ビーバーのアルバムが上昇したタイミングで記した内容を再掲します。

ジャスティン・ビーバー『Journals』は『2013年に"New Music Monday"として毎週新曲を発表してきた楽曲をまとめたアルバム』(ジャーナルズ[CD] - ジャスティン・ビーバー - UNIVERSAL MUSIC JAPANより)。R&Bをメインとする作品でラッパーのゲストも目立つのですが、注視したいのはこのアルバムにR. ケリーが参加しているということ。R. ケリーは性的虐待事件に伴い、表舞台では二度と活躍できないとみられています。

『Journals』ではR. ケリーとの作品も収録されていますが、一方で『Journals』と同じ年にリリースされたアルバム『Artpop』からレディー・ガガがR. ケリーとの共演曲を削除したという事例もあり(レディー・ガガ、R.ケリーとのデュエット曲を削除。 | Vogue Japan(2019年1月14日付)参照)、事件の判断は歌手によって分かれるといえるでしょう。

 

そしてR. ケリー自身の作品は、少なくともSpotifyでは削除されていません(R. ケリーの歌手別ページリンク先はこちら(Spotifyでは”R・ケリー”と表記))。プレイリストを介して耳に入るという可能性を避けるべく公式プレイリストへのリストインを控えていると伺ったことがあるのですが、一方で能動的な聴取行動についてはユーザーに判断に委ねているというのがSpotifyのスタンスではと捉えています。

 

 

日本では問題行動を起こした歌手の作品を即座に販売/配信停止等に処する措置は少なくなってきましたが、直近では重大問題を起こした者が率いた組織の所属者に対しメディアが一定期間(ある程度解決するまで)起用しなかったという例がありました。その判断を100%間違いだと断言することはしませんが、止めるよりも大事なのは同種の問題や事件が二度と生まれにくい社会に改善すべく、問題等から学び動くことでしょう。

しかしながら、たとえば直近の関西方面で起きた事件に対するメディアの過熱を見る限り、日本に熟考の気配はみられにくいというのが厳しくも私見です(そのようなワイドショー型報道の視聴率が高い(ゆえにメディアが連日報じる)ならば市井の態度にも疑問を抱きます)。自ら考える気概を持つことを願うと共に、そう成ることではじめて今回紹介したSpotifyのスタンス(として筆者が推測した内容)に納得が行くのではと考えます。

 

日本人の熟考意識を高めることができるという意味でも、またメディアが改善する可能性も踏まえ、仮に以前問題を起こした方が所属していたとしても躊躇うことなく音源をデジタル解禁することを望みます。これは所属会社の別を問いません。

 

 

ちなみにSTARTO ENTERTAINMENTにおいては先月、下記動画がサプライズで解禁されています。これがデジタルアーカイブ化の序章ならばと、願わずにはいられません。