イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の当週動向、そしてビルボードジャパンによる"二層構造"表現への私見

一昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、一方で所有指標ばかりが強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで毎週半数が入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。ロングヒット曲ではライト層の支持を大きく反映するストリーミングが強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、ロングヒットするか否かを1週分のチャートのみで判断することは難しいといえるかもしれません。

このブログではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、”前週トップ10初登場曲の最新動向”エントリーを掲載する理由です。

 

 

<6月10日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・CUTIE STREET「キュートなキューたい」

 6月3日公開分 1位→6月10日公開分 35位

・NMB48「初めてのオール」

 6月3日公開分 2位→6月10日公開分 67位

 

また、前週トップ10内に再浮上した作品の当週動向はこちら。

・嵐「Five」

 6月3日公開分 7位→6月10日公開分 2位

・M!LK「アイドルパワー」

 6月3日公開分 10位→6月10日公開分 20位

 

当週のストリーミング表はこちら。

 

嵐については活動終了、そしてラストライブ開催の翌日を集計期間初日とする当週の主要3チャートにて躍進しています。その点については以下のエントリーにて紹介しています。

 

CUTIE STREET「キュートなキューたい」は当週ストリーミング指標が100位に。この指標が初めて加算されたことで総合での下落幅が抑えられたといえるでしょう。それでも総合における1→35位への後退のインパクトは小さくありません。

ビルボードジャパンソングチャートにおいては第2四半期初週となる3月4日公開分以降、嵐「Five」を除いて総合首位獲得曲が翌週にトップ10未満へ後退するという状況が続いています。また嵐「Five」は首位獲得の翌週におけるポイント前週比が5割を下回っており、首位獲得翌週の"トップ10内キープ"且つ"ポイント前週比5割以上"の双方を達成したのは2月25日公開分で首位に立ったM!LK「爆裂愛してる」が最後となります。

 

 

2026年度上半期ビルボードジャパンソングチャートの記事から表を作成、そこから見えてくること(6月7日付)より

総合首位獲得曲の多くは所有指標(特にフィジカルセールス)の初加算が首位到達の大きな要因となっていますが、一方でロングヒットの要であるストリーミング指標が伴わず、所有指標加算2週目における減少を接触指標が補完できないために総合チャートでも大きく後退する傾向にあります。この点は上半期ソングチャート分析エントリーにおける表、特に週間順位推移からよく分かるでしょう。

一方で、先述したM!LK「爆裂愛してる」は初登場時から当週まで17週連続で総合トップ10内をキープ。背景にはストリーミング指標の安定が挙げられます。

 

所有指標に強い曲の上位進出と急落、そしてストリーミングに強い曲の安定とロングヒット…相反するともいえるこれら二種類のヒットの仕方をビルボードジャパンは上半期ソングチャートの記事で、"二層構造"という表現を用いて紹介しています。

週間首位は米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、Number_i、Snow Man、M!LK、BE:FIRST、嵐、King Gnu、=LOVE、乃木坂46ら多彩なアーティストが入れ替わりながら獲得し、総合上位はストリーミング主導のロングヒット曲が占めるという二層構造が今年もチャートを特徴づけた。

 

この二層構造は上半期ソングチャート分析エントリーでも採り上げています(2026年度上半期ビルボードジャパンソングチャートの記事から表を作成、そこから見えてくること(6月7日付)参照)。この解消を願いつつ、仮に進まないならばフィジカルセールス指標のウエイト減少等、チャートポリシー(集計方法)変更をビルボードジャパンは議論して好いのではと考えます。そのためにはチャートの見方も積極的に発信すべきでしょう。

 

私見と前置きして述べるならば、二層構造という表現の使用はビルボードジャパンが一歩踏み込んできた結果ではないかと捉えています。ともすればチャートポリシー変更を既に決定しており、その変更までの間に所有指標に強いアイドルやダンスボーカルグループがデジタルに意識的になるかを見極めているのかもしれません。