6月5日早朝にビルボードジャパンが発表した上半期チャートについて、ソングチャート、アルバムチャートおよびトップアーティストチャートを主体に分析したエントリーを同日公開しました。ビルボードジャパンによる記事等をまとめた別途エントリーのリンクも貼付しています。
上半期チャートについては発表の翌日以降、主要3つのチャートについてさらに考察したエントリーを公開。ソングチャートはこちら、アルバムチャートはこちら、そしてトップアーティストチャートはこちらにて確認可能です。
さて、今回は上半期の流行にフォーカスします。ビルボードジャパン上半期チャート発表の直前、複数の上半期トレンドランキングが公開されています。
こちらはTrepo(トレポ)による、10~20代の女性を対象とした2026年上半期のZ世代トレンド調査となります。
そしてこちらはαZ総研によるαZ世代(2010年以降生まれの若年層)を対象とした2026年上半期のトレンド調査となります。
これらの調査ではアイドルやダンスボーカルグループのランクインが目立つことから、今回は上半期トレンドランキングに登場した主な歌手のチャート動向について分析します。
なお今回掲載するビルボードジャパン各種チャートのCHART insightは、補足がない限りは5月27日公開分までの最大30週分となります。また掲載分はCHART insightの有料会員が確認可能なものであり、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。
2026年度上半期の流行を語る上で欠かせないのはM!LKでしょう。ふたつのトレンドランキング共に、アーティスト部門で上位に登場しています。なお以下に掲載するキャプチャ画像は、TrepoおよびαZ総研による上半期トレンドランキングから引用しています。



Trepoのランキングにはアイドル部門はありませんが、αZ総研のランキングではアイドル部門で首位、アーティスト部門ではHANAを上回り2位を記録しています。そしてM!LKは、αZ総研によるその他のランキングにも登場しています。


そのM!LKについてはビルボードジャパン上半期チャート総括エントリーにて、2つ目のトピックとして採り上げています。今回はその内容を再掲します。
② M!LKの3曲、アイドル/ダンスボーカルグループにおける理想のチャート推移
(中略)
M!LKは上半期ソングチャートで「好きすぎて滅!」が2位、「爆裂愛してる」が6位に。紅白初出場時に披露した「イイじゃん」も30位に登場しています。支えとなったのがストリーミングであり、指標の基となるStreaming Songsチャートでは「好きすぎて滅!」が2位、「爆裂愛してる」が14位に入り、共に1億回再生を突破。上半期や年間のこのチャートでアイドル/ダンスボーカルグループ曲がトップ3入りするのは5年ぶりです。
M!LKの3曲はそれぞれ、今のアイドル曲における理想のチャート動向を示しています。「爆裂愛してる」はフィジカルセールス指標加算対象曲における”デジタルとフィジカル合算の瞬発力”を第1四半期最終週における1万5千ポイント突破にて示し、また「爆裂愛してる」とダブルAサイドの「好きすぎて滅!」は"フィジカルセールス指標未加算ながらロングヒット"に。カラオケ指標の首位到達もライト層支持を表す事例といえます。
そして2曲の社会的ヒットが「イイじゃん」のフックアップにつながっています。紅白発表前に最高45位だった同曲は今年2月25日公開分にて最高位となる21位に上昇していますが、この時は「爆裂愛してる」のフィジカルセールス指標初加算週であり、"新曲への勢いが過去曲にも反映"された例といえるでしょう。「イイじゃん」を含むアルバム『M!Ⅹ』も安定していますが、こちらの背景にもストリーミングの好調が見て取れます。
「イイじゃん」のフックアップは、同曲を収録したアルバム『M!Ⅹ』にも波及。さらにはメジャーファーストアルバムの『Jewel』もヒットした結果、ソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートにてM!LKは上半期5位を記録しています。

トップアーティストチャートのCHART insightにおいてはストリーミング(青で表示)や動画再生(赤)といった接触指標群が安定、またカラオケ(緑)という活用と呼べる指標も上昇していますが、「爆裂愛してる」「好きすぎて滅!」のフィジカルシングル(ダブルAサイド)リリース前からフィジカルセールス(黄色)に山がみられています。1月14日公開分にて45位まで上昇したこの指標は、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)等の反響を示します。
旧譜のフィジカルセールス上昇がコアファンの増加を示すと考えるならば、M!LKのコアファンはこの半年で大きく拡がったといえるでしょう。さらには「爆裂愛してる」「好きすぎて滅!」のダブルAサイドシングルもロングセールスを記録。施策の影響も考えられますが、初週セールスが615,808枚に対し上半期最終までのセールスは713,189枚となり、2週目以降のセールスがおよそ10万枚近くに達しています。
さて、Trepoのランキングにおいてアーティスト部門で3位、αZ総研のランキングではアイドル部門で5位を記録した=LOVEにも注目です。ビルボードジャパンによる上半期のトップアーティストチャートでは20位に入り、アイドルやダンスボーカルグループのジャンルでは9番目に就けています。

原動力となったのが「とくべチュ、して」のロングヒット、そして今年リリースした「劇薬中毒」のヒットです。上半期ソングチャートでは順に35位、37位を記録しています。

「劇薬中毒」はデジタル先行リリース時から3月2日までLINE MUSIC再生キャンペーンを実施しており、ストリーミング指標における高位置でのスタートにつながっています。注目はそのキャンペーンの影響が完全に消滅した3月18日公開分でも同指標の下落幅は小さく(18→28位と推移)、その後持ち直し安定局面に入ったことにあります。キャンペーン採用曲のほとんどが急落するゆえ、この推移は注目すべきといえます。

「とくべチュ、して」は3月25日公開分にてリカレントルールの対象となりストリーミング指標、そして総合順位も大きく後退しながら、ルール抵触後に総合100位未満へ後退したのは上半期1週のみとなります。ビルボードジャパンがリカレントルールを導入しおよそ1年…適用直後も上位にとどまった曲の特徴を押さえる(5月26日付)で主要因として挙げたカラオケ指標の強さが、「とくべチュ、して」でも原動力となっています。
「とくべチュ、して」に比べて「劇薬中毒」はまだまだ強くはないといえますが、前者のリカレントルール抵触後も=LOVEはトップアーティストチャートで総合40位以内をキープしており、女性アイドルグループで最大級の人気を誇ったといえるでしょう。
2025年はKAWAII LAB.所属歌手の人気が高い状況でした。その2025年度から2026年度上半期にかけてのトップアーティストチャートにおける推移をみると、CANDY TUNEが97→52位と上昇した一方、FRUITS ZIPPERが21→58位、CUTIE STREETが23位→100位未満と後退。なおSWEET STEADYは共に100位未満となっています。




(CUTIE STREETおよびSWEET STEADYのトップアーティストチャートにおけるCHART insightは、6月3日公開分までの30週分を表示しています。)
トップアーティストチャートで唯一上昇したCANDY TUNEにおいても、=LOVE「とくべチュ、して」のようなストリーミング指標の急落がみられます。これは「倍倍FIGHT!」が3月18日公開分にてリカレントルールに抵触したことに伴うものですが、一方でCANDY TUNEは=LOVE「劇薬中毒」のような次のロングヒット作品が生まれているわけではないということがみえてきます。
この点は「わたしの一番かわいいところ」(2025年8月20日公開分にてリカレントルール抵触)のFRUITS ZIPPER、また「かわいいだけじゃだめですか?」(2025年10月15日公開分にてルール抵触)のCUTIE STREETにも当てはまるでしょう。KAWAII LAB.所属歌手の多くはトップアーティストチャートにてストリーミング指標の加点を続けており、これがαZ総研によるアイドル部門ランキングでの上位進出につながったといえるかもしれませんが、今後ロングヒット曲を生み出し旧譜をフックアップすることが重要と考えます。

αZ総研による流行った曲ランキングを再掲しますが、女性アイドルグループの曲としてCUTIE STREET「ぷりきゅきゅ」と共に最高位に就けたのがJuice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」となります。メディア露出も目立ったこの曲は、しかしながら現在までストリーミング指標を獲得していません。

Juice=Juiceが所属するハロー!プロジェクトでは2月13日にサブスク全面解禁を果たしていますが、「盛れ!ミ・アモーレ」は昨年10月のリリースゆえ解禁まで半年近くを要したこともサブスク聴取につながりにくかった原因と考えます。結果的に、Juice=Juiceはトップアーティストチャートでもストリーミング指標の加点がほぼみられていません。

それでも、Juice=Juiceが「盛れ!ミ・アモーレ」にて『NHK紅白歌合戦』に出場する可能性は考えられます。動画再生指標が100位以内を推移し続けていること、また昨年はM!LKが「イイじゃん」にて初出場を果たしていますが同曲リリース当時はLINE MUSIC再生キャンペーンの影響に伴いストリーミング指標が一時的に高い状況ながら総合でロングヒットしていたわけではなかったということも、想起する理由です。
これらを踏まえると、今年の『NHK紅白歌合戦』における女性アイドルやダンスボーカルグループの出場予想はかなり難しいといえるかもしれません。坂道シリーズ(坂道グループ)がゼロになる可能性も、KAWAII LAB.の2枠がなくなる可能性もあるため、秋までのヒットの動向を注視する必要があります。
最後に。アイドルやダンスボーカルグループとは異なりますが、サカナクションによる「夜の踊り子」は上半期トレンドランキングの調査がずれていたならばランクインしていたかもしれません。

上半期終盤にチャートを駆け上がったその「夜の踊り子」について、ビルボードジャパンによる上半期Streaming Songsチャートの記事にて興味深い文言がみられます。
2026年ならではの動きとしては、週間チャートで当チャート連覇記録を重ねているサカナクション「夜の踊り子」のように、旧譜曲がネットミームによって猛スピードでヒットする、というケースもみられた。ネットミームによるリバイバル・ヒットはこれまでも広瀬香美「ロマンスの神様」や、最近ではKANA-BOON「シルエット」などいくつか前例はあったが、SNSの枠を飛び出し、当チャート1位を獲得(5月20日公開チャート)するまで「ストリーミングでの支持を高めた」楽曲はほかになかった。これは2025年2月20日リリース、上半期でも15位となった「怪獣」で、サカナクションがストリーミングでの支持を高めていたことが差になったのではないかと考える。
『旧譜曲がネットミームによって猛スピードでヒット』した曲が『SNSの枠を飛び出し』Streaming Songsチャートを制したのはサカナクション「夜の踊り子」が初とのこと。メンバーの山口一郎さん自らネットミームに乗ったことも大きいながら、記事でも指摘されているように「怪獣」等のストリーミングヒットがサカナクションを"普段から聴く"体制につなげていたことも大きいでしょう。歌手別では上半期15位に就けています。

「夜の踊り子」のように、旧譜が総合チャートでもヒットするパターンが今後も登場するかに注目です。
おわりに。上半期トップアーティストチャートで100位までにランクインしたアイドル/ダンスボーカルグループのCHART insight(総合および構成指標の週間単位での推移)を以下に貼付します。
アイドルやダンスボーカルグループのトップアーティストチャートでの存在感は高まっています。その点について、ビルボードジャパンはStreaming Songsチャートの記事にて次のように指摘しています。
さらに今回特筆すべきなのは、2025年年間でHANAが破った当チャートにおける“ダンス&ボーカルの壁”を超えるアーティストが、特に国内男性グループにおいて目立ったことだ。ニュース内で上半期/年間トップ20までの発表を開始した2023年度以降は、2021年および2022年チャートで存在感をみせていたBTSの活動休止期間であったこと、またOfficial髭男dism「Subtitle」やYOASOBI「アイドル」、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」といったストリーミング・メガヒット曲が再生回数のベースを押し上げたこともあり、上半期/年間トップ20にダンス&ボーカルグループの楽曲が登場することは各1組、1曲のみであった。その流れが、2025年年間チャートトップ20にHANAが「ROSE」「Blue Jeans」の2曲を送り込んだことで変化していたところ、2026年上半期ではM!LKが「好きすぎて滅!」「爆裂愛してる」の2曲(なお、上半期/年間トップ3圏内にダンス&ボーカルグループの楽曲が登場したのは、2021年上半期/年間ともに2位のBTS「Dynamite」以来5年ぶり、DA PUMPとBTSに続く3組目である)、BE:FIRSTは「夢中」、Snow Manは「カリスマックス」と、計3組の男性ダンス&ボーカルグループがトップ20に登場するという史上初の集計回に。さらに女性グループでは、昨年大活躍のHANAがトップ20圏内の曲数を3曲に増やしており、トップ20圏内で計7曲がダンス&ボーカルグループの楽曲となった。
これは、2025年よりSnow Man(4月、全曲配信は2026年6月)、KinKi Kids(4月)、SixTONES(5月/一部楽曲のみ)ら、また女性グループではハロー!プロジェクト(所属アーティスト全楽曲/2026年2月)ほか、国内ダンス&ボーカルアーティストが続々と楽曲のストリーミング配信を解禁していることで、ダンス&ボーカルを好むリスナーのなかでストリーミングがこれまで以上に浸透したことが大きな要因と考えられる。
一方で、高いフィジカルセールスを記録しながらストリーミングが強くない歌手、またサブスクの解禁を一部にとどめフィジカル作品と同様の内容で解禁しなかったことで主要チャートにて十分な成績に至れなかった歌手も存在します。いつ何時その曲が"見つかった"として、きちんと解禁されていれば見つかった直後の急浮上につながります。その点も踏まえ、デジタルアーカイブの拡充および注力を願います。
<2026年度上半期ビルボードジャパントップアーティストチャート
100位までに登場したアイドル/ダンスボーカルグループのCHART insight>
※ 1位から順に掲載。
※ 上半期最終週(2026年5月27日公開分)までの最大30週分を表示。
※ 順位およびチャートイン回数は2026年5月27日公開分のそれを指します。
※ BTSのJINによるソロ名義についても掲載しています。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
[表示範囲について]
総合順位(棒グラフ表示)、および構成指標等(折れ線グラフ表示)において、いずれも100位まで表示
(今回紹介するCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
2位 HANA
・5位 M!LK
・6位 BTS
・10位 Snow Man
・11位 Number_i
・14位 BE:FIRST
・18位 King & Prince
・19位 嵐
・20位 =LOVE
・26位 SixTONES
・31位 &TEAM
・33位 乃木坂46
・34位 ILLIT
・36位 XG
・37位 MAZZEL
・38位 HUNTR/X (イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)
・39位 BABYMONSTER
・45位 Travis Japan
・46位 TOMORROW X TOGETHER
・47位 timelesz
・50位 IVE
・52位 CANDY TUNE
・53位 Hey! Say! JUMP
・58位 FRUITS ZIPPER
・59位 BLACKPINK
・60位 ENHYPEN
・61位 Aぇ! group
・62位 NiziU
・66位 日向坂46
・69位 原因は自分にある。
・73位 櫻坂46
・74位 JO1
・81位 ONE N' ONLY
・82位 WEST.
・85位 JIN
・87位 KinKi Kids
・89位 STARGLOW
・91位 LE SSERAFIM
・92位 なにわ男子
・94位 INI
・95位 TWS
・98位 AKB48
・99位 Stray Kids













































