6月5日早朝にビルボードジャパンが発表した上半期チャートについて、ソングチャート、アルバムチャートおよびトップアーティストチャートを主体に分析したエントリーを同じ日に掲載しました。ビルボードジャパンによる記事等をまとめた別途エントリーのリンクも貼付しています。
今回の上半期チャートは昨年度と同様、総合ソングチャートおよびトップアーティストチャートが100位まで公開されています。そこで一昨日以降、主要3つのチャートを深堀りしています。今回はトップアーティストチャート編です。
トップアーティストチャートの記事は下記ポスト内リンク先をご参照ください。
【ビルボード 2026年上半期Artist 100】Mrs. GREEN APPLEが3年連続で上半期を制す、HANAやback numberが続く(コメントあり) https://t.co/bahgbDg8tY
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2026年6月4日
ビルボードジャパンは上半期チャートのまとめ記事にて、年間トップアーティストチャート上位20組における構成6指標の順位をまとめた表(CHART insight)を掲載しています。まずはそちらを引用させていただきます。
・Billboard JAPAN 2026年上半期チャート発表、米津玄師/BTS/Mrs. GREEN APPLEが首位 | Special | Billboard JAPAN(6月5日付)内"指標別アーティスト・チャートはこちらから"より
(※構成指標はフィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青、ラジオが黄緑、動画再生が赤、カラオケが緑で表示されています。)
2024年度および2025年度年間チャートを制したMrs. GREEN APPLEが、2026年度上半期トップアーティストチャートも制しています。昨年度はフィジカルセールスが3位、それ以外の5指標はすべてトップを記録していますが、今年度上半期はフィジカルセールスが31位、カラオケが2位、そして他の4指標が1位という状況です。
Mrs. GREEN APPLEは年間ベースで3連覇を達成する可能性が十分考えられる一方、ストリーミングが安泰ではなくなったということが気になります。

2026年度上半期週間トップアーティストチャートで1~5位にランクインした歌手のデータをまとめた表を上記に。注目はMrs. GREEN APPLEが第2四半期(3月4日~5月27日公開分)において、ストリーミングを制した週が5月6~20日公開分の3週のみという点。最も影響力の大きなこの指標は3月4~25日公開分にてHANA、4月1~29日公開分にてBTS、そして5月27日公開分にてback numberが制しています(back numberは翌週も制覇)。
3月4日公開分におけるHANAのストリーミング指標制覇はアルバム『HANA』の初登場に、また4月1日公開分におけるBTSのストリーミング指標制覇はアルバム『ARIRANG』が初の1週間フル加算になったことに伴います。他方、新作リリースのなかったback numberが5月27日公開分にてストリーミング指標を制したのは特筆すべきといえます。
back numberは先月から、キャリア初となる5大スタジアムツアーを開催。ライブの予習や復習という目的でもストリーミングが伸びることから、ツアーの存在もback numberの同指標制覇につながったといえるでしょう。そしてそもそも、back numberはこの指標が昨秋以降4位以内と安定しており、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)を含む年末の地上波長時間音楽特番に5本出演したこともその安定に寄与したと考えます。
back numberはオリジナルアルバムのリリース間隔が4年弱であり、『ユーモア』(2023年1月17日リリース)に続く作品が今年登場するかもしれません。一方でMrs. GREEN APPLEは今年秋にアルバムのリリースを予定しています(2026年秋、6枚⽬となるオリジナルアルバムのリリース決定! -Mrs. GREEN APPLE OFFICIAL SITE|OFFICIAL FAN CLUB 「Ringo Jam」(2025年10月16日付)より)。2組の今後の動向が気になるところです。
トップアーティストチャートの総合順位と最も比例する傾向にある指標がストリーミングです。今年度上半期においては総合上位20組とストリーミング指標上位20組が、順番は異なれど全組共通しています。一方で総合と最も乖離が大きいのは今回もフィジカルセールスとなります。
その上半期にて、HANA(2位)、M!LK(5位)、BTS(6位)、Snow Man(10位)、Number_i(11位)、BE:FIRST(14位)、King & Prince(18位)、嵐(19位)および=LOVE(20位)と、アイドルやダンスボーカルグループが総合20位以内に9組登場しています。これは昨年度上半期における3組("ロゼ & ブルーノ・マーズ"を含めても4組)、昨年度年間における4組の倍以上となっており、その上昇にはやはりストリーミングが重要な役割を果たしています。
アイドルやダンスボーカルグループにおけるトップアーティストチャートの強さの一因として、総括エントリーでも記したようにアルバムの人気が挙げられます。また嵐は活動終了に伴うラストツアー開催、=LOVEについては「とくべチュ、して」等の人気も影響したとみられますが、このジャンルの強さは言い換えればバンドやユニット、シンガーソングライターが強くないということも示しているといえるでしょう。
昨年度上半期および年間トップアーティストチャートの双方で20位以内に入りながら今年度上半期でトップ20入りに至らなかったのはヨルシカ(今年度上半期21位)、YOASOBI(23位)、あいみょんさん(24位)、優里さん(27位)、ONE OK ROCK(43位)、Adoさん(56位)およびCreepy Nuts(71位)の7組となり、うち3組は20位台にも入っていないという状況です。







(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。なお上記掲載分は6月3日公開分までの直近150週分におけるCHART insightとなり、順位およびチャートイン回数は同日公開分のそれを指します。)
7組のCHART insightをみると、ヨルシカはアルバム『二人称』のヒットに伴い下落幅を抑えている一方で他の6組はストリーミング(青で表示)や動画再生(赤)といった接触指標群が緩やかに、もしくは大きく下がっているといえるでしょう。半年間新作をリリースしなかった歌手も存在するゆえ旧譜が聴かれ続けているともいえるのですが、新作が旧譜をフックアップするに至っていないだろうことは注視する必要があると考えます。
アイドルやダンスボーカルグループにおいては、音楽チャートに意識的なという意味でのファンダムが大きくなっていると感じます。ならばバンドやユニット、シンガーソングライターの運営側もファンダムを育てることが重要かもしれません。海外ではテイラー・スウィフトやオリヴィア・ロドリゴ、アリアナ・グランデ等が米ソングチャートを制するための施策にも意欲的ゆえ、日本の歌手やファンの意識変化も必要でしょう。
無論、過度な負担を強いる施策はあってはならないと考えます。しかしながらヒットが途絶えればシュリンクするという傾向がCHART insightからみえてきます。またアイドルやダンスボーカルグループの多くは一時的なヒットにとどまることが少なくありません(後者については別途エントリーにて紹介予定です)。ライト層、そしてコアファンも離れさせないヒットの輩出、また施策の登場等を願います。
おわりに。ビルボードジャパンに対し、昨年度年間トップアーティストチャート総括時にも記した内容を一部文言を変えて再掲します。
今年度上半期のトップアーティストチャートでは同じ歌手が複数100位以内に登場しています。米津玄師さんは4位に、宇多田ヒカルさんは35位にそれぞれ単独でランクインした一方、30位には”米津玄師, 宇多田ヒカル”名義でのランクインが確認できます。これは共演曲「JANE DOE」のヒットに伴うものです。
このような形でのエントリーは、ビルボードジャパンが共演名義曲を単独名義と分けて算出していることが原因です。しかし米ビルボードやYouTube、またSpotify等では共演名義について、単独名義に追加する形を採っています。ビルボードジャパンのチャートポリシー(集計方法)が仮に米ビルボード等のそれを踏襲していたならば、米津玄師さんが3位以上に、宇多田ヒカルさんがトップ30入りを果たした可能性が考えられます。
ビルボードジャパンは米ビルボードによるGlobal 200をベースとしたGlobal Japan Songs Excl. Japanチャートを設け、日本の音楽の海外進出を後押ししています。その後押しをより強固にするという意味にて、また米ビルボードによるグローバルや米の各種チャートでより好い結果を残せるという意味でも、チャートポリシーは海外のそれに沿わせることが必要ではということをあらためて提案させていただきます。
最後に、上半期トップアーティストチャートにおける上位20組のCHART insight(総合および構成指標の週間単位での推移)を貼付します。
<2026年度上半期ビルボードジャパントップアーティストチャート
上位20組のCHART insight>
※ 1位から順に掲載。
※ 上半期最終週(2026年5月27日公開分)までの最大30週分を表示。
※ 順位およびチャートイン回数は2026年5月27日公開分のそれを指します。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
[表示範囲について]
総合順位(棒グラフ表示)、および構成指標等(折れ線グラフ表示)において、いずれも100位まで表示
(今回紹介するCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・1位 Mrs. GREEN APPLE
・2位 HANA
・3位 back number
・4位 米津玄師
・5位 M!LK
・6位 BTS
・7位 ちゃんみな
・8位 Official髭男dism
・9位 Vaundy
・10位 Snow Man
・11位 Number_i
・12位 King Gnu
・13位 RADWIMPS
・14位 BE:FIRST
・15位 サカナクション
・16位 Mr.Children
・17位 藤井風
・18位 King & Prince
・19位 嵐
・20位 =LOVE




















