ビルボードジャパンが一昨日発表した上半期チャートについて、ソングチャート、アルバムチャートおよびトップアーティストチャートを主体に分析したエントリーを同じ日に掲載しました。ビルボードジャパンによる記事等をまとめた別途エントリーのリンクも掲載しています。
今回の上半期チャートは昨年度と同様、総合ソングチャートおよびトップアーティストチャートが100位まで公開されています。そこで昨日以降、主要3つのチャートを深堀りしていきます。今回はアルバムチャート編です。
総合アルバムチャートの記事は下記ポスト内リンク先をご参照ください。
【ビルボード 2026年上半期Hot Albums】BTS『ARIRANG』が総合首位 CD/ストリーミングで2冠達成 (コメントあり) https://t.co/hqVUbxhAlS
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2026年6月4日
今回は記事を踏まえ、アルバムチャートの表を作成しています。なお各指標の基となるチャートの記事は、下記エントリーにてまとめています。
以下の表では、ビルボードジャパン上半期アルバムチャートにおける総合20位までの全作品、それらにおける構成3指標の100位までの順位を掲載。またフィジカルセールス指標の基となるTop Albums Salesチャート、およびダウンロード指標の基となるDownload Albumsチャートは20位まで公開されており、それらの数値も掲載しています。なお、それぞれのチャートで20位以内に入りながら総合20位未満の作品も含めています。ちなみに、ストリーミング指標の基となるStreaming Albumsチャートは公開されていません。
(ちなみに、下記表に掲載した指標化後の順位はCHART insight有料会員が確認可能なものです。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)

ビルボードジャパンアルバムチャートにおいて2024年最終週からストリーミング指標が組み込まれたことで、聴かれ続けるアルバムが上位で安定するようになり、上半期や年間チャートにて上位を占めるようになりました。表からは総合とストリーミングの順位が比例傾向にあること、またエントリーの最後に掲載している総合20位以内登場作品のCHART insightからは累計ポイントに占めるストリーミングの高い割合が見て取れます。
高いストリーミングと所有指標とが相まって、アルバムチャートでほぼ完勝を果たしたのがBTS『ARIRANG』でした。所有指標群では総合2位のHANA『HANA』を大きく引き離し(『ARIRANG』はフィジカルセールス706,961枚/ダウンロード20,139DL、『HANA』は順に166,568枚/11,672DL)、またダウンロードのみ首位を逃すもこの指標トップの大森元貴『OITOMA』(ダウンロード22,380DL)とは僅差となっています。
上半期チャート総括時にも述べたように、『ARIRANG』は登場4週目の段階で既に上半期初週以降のチャートで首位に躍り出ており、またストリーミングは常時トップに。上半期週間首位作品の指標構成や翌週動向、また総合および構成3指標(フィジカルセールスやダウンロードはその基となるチャート)における首位獲得作品の一覧表をみると、フィジカル20万枚台を売り上げた作品に『ARIRANG』は総合で勝っていることが解ります。


さて、BTS『ARIRANG』とHANA『HANA』とでは、そのリリースの仕方が影響しているものと捉えています。この点は、アルバムチャート(Hot Albums)のQ&Aから浮かんできます。
③Hot Albumsのストリーミング数は、どのように合算していますか?
各DSPから報告される収録アルバム情報を元に、どのアルバムに収録された楽曲が再生されたのかを特定・集計しています。なお、アルバムによって収録曲数が異なりますが、弊社による検証の結果、チャートに係数を乗じることによって、大きな影響はないことが判明しました。それにより、該当アルバムに収録された曲のストリーミング数を合算して係数を乗じ、各ポイントを算出しています。
・【Billboard JAPAN Chart】よくある質問 | Special | Billboard JAPANより
HANA『HANA』はリリースの段階で2曲以外が既発の段階であり(ボーナストラックを除く)、たとえば様々なプレイリストに収録されたHANAの曲はアルバム『HANA』ではなく先行配信分からのものも少なくないでしょう。一方でBTS『ARIRANG』収録曲はアルバムリリースのタイミングで全曲が初お目見えとなっており、新作収録曲がプレイリスト入りする場合は(「SWIM」の各種リミックスを除き)『ARIRANG』が親元となります。
ゆえにこのような点も『ARIRANG』のストリーミングの強さにつながっているものと思われます。他方、こちらも上半期チャート総括時に述べましたがアルバムリード曲の「SWIM」がたとえば「Dynamite」や「Butter」ほどのヒットに至っているわけではないため、ファンダム(音楽チャートに意識的なコアファンの集合と定義)の継続聴取も影響しているかもしれません。ストリーミングを主体とした今後の推移に注目です。
上半期チャート総括の際に挙げた7つのトピック、そのひとつが"アイドル/ダンスボーカルグループのアルバム、ストリーミングで強さを発揮"でした。当該ジャンルは上半期アルバムチャートトップ10内に計6作品が登場。強さの原動力となっているのがストリーミングであり、Number_i『No.Ⅱ』(上半期4位)のようにリカレントルール適用後も上位で安定する作品も登場しています。
リカレントルールはビルボードジャパンが昨年度下半期初週に導入したもので、総合100位以内に26週以上ランクインした作品についてその翌週以降、Streaming Albumsチャート(非公開)をストリーミング指標化する際に減算処理を施すというルールとなります。なおTop Albums Salesチャートをフィジカルセールス指標に、またDownload Albumsチャートをダウンロード指標に落とし込む際は減算処理を行っていません。
リカレントルール適用後も上位を維持する作品は少なくありません。特にMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』(上半期8位)および『Attitude』(同13位)はその最たる例であり、前者は昨年リリースのベストアルバム『10』(上半期11位)を上回っています。オリジナルアルバムへの支持もさることながら、ベストアルバムではなくオリジナルアルバムの収録版がプレイリストに用いられていることもチャート結果の背景として推測されます。
ロングヒットにはストリーミングが欠かせませんが、そのストリーミングはライト層(歌手のファンではないが作品が気になる方)の支持も大きく反映されます。一方、最近はファンダムによる継続的な聴取行動がより影響するようになったという見方も持ち合わせています。上半期チャートの上位作品は年度内にはリカレントルールに抵触するため、まずはその抵触直後の動向に注目していきます。
総合トップ20のCHART insightについては巻末に掲載していますが、その20作品のうち累計ポイント構成比が他と大きく異なるのが&TEAM『We on Fire』(上半期18位)です。

(上記CHART insightは5月27日公開分まで表示。)
『We on Fire』はフィジカルセールス指標初加算週に総合チャートを制している一方、ストリーミング指標の加点は2週にとどまっています。そのストリーミング指標(CHART insightでは青で表示)は登場3週目に、前週の97位から300位未満へと急落。この指標が100位以内から300位未満(加点対象外)に大きく落ち込むことは稀であり、いわば断絶している状態です。
この断絶はLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲のソングチャート動向にてよくみられるものですが、実際&TEAMはアルバムのタイトルトラックにて当該キャンペーンを採用しています。
・&TEAM OFFICIAL SITE | NEWS | 『We on Fire』先行配信開始&MV公開、デジタルキャンペーンもスタート!(4月13日付)より
(当該ページが削除される可能性を踏まえ、キャプチャしたものを掲載しています。問題があれば削除いたします。)

(上記CHART insightは5月20日公開分が最終表示となります。)
LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲である「We on Fire」は再生キャンペーン開催の2週のみストリーミング指標が加点されており、この再生分がアルバムにも反映されたといえます。ここからはストリーミングにおけるコアファンとライト層の乖離、またLINE MUSIC再生キャンペーン以外でのコアファンの聴取行動の強くなさが浮かび上がります。ゆえに音楽チャートに意識的なファンダムは可視化され難いというのが私見です。
言い換えれば、収録曲にてLINE MUSIC再生キャンペーンを採用していたことでアルバムチャートでもストリーミング指標が加点されたことになります。特にフィジカルセールスに長けながら、ストリーミングが強くないために総合チャートで急落する作品は多いため、歌手側が(過度に負担を強いるものではない)デジタルキャンペーンを行い、それをきっかけとしてコアファン共々デジタルに意識的になるのが好いのかもしれません。
CHART insightは無料会員の場合、確認できる範囲が総合および構成指標20位までと狭まりますが、累計ポイント構成比の円グラフは有料/無料にかかわらず同じ内容となります。推す歌手の作品におけるポイント構成比を見極め、デジタルに強くないならばどうすべきかを歌手側そしてコアファンが共に考え、動くことが必要だと捉えています。

(上記CHART insightは5月27日公開分まで表示。)
上半期チャート総括時にて紹介したように、M!LKは「好きすぎて滅!」や「爆裂愛してる」のヒットに伴い「イイじゃん」がフックアップされていますが、その勢いは「イイじゃん」を収録したアルバム『M!Ⅹ』の上昇にもつながっています。デジタルをきちんと解禁していることで歌手の勢いが旧譜にも波及することが可視化されたと考えるに、デジタルに明るくない歌手や組織がアーカイブを解禁、強化することは必須でしょう。
最後に、上半期アルバムチャートにおける上位20作品のCHART insight(総合および構成指標の週間単位での推移)を貼付します。
<2026年度上半期ビルボードジャパンアルバムチャート
上位20作品のCHART insight>
※ 1位から順に掲載。
※ 上半期最終週(2026年5月27日公開分)までの最大30週分を表示。
※ 順位およびチャートイン回数は2026年5月27日公開分のそれを指します。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
[表示範囲について]
総合順位(棒グラフ表示)、および構成指標等(折れ線グラフ表示)において、いずれも100位まで表示
(今回紹介するCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成




















