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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

日向坂46「Kind of love」が首位到達…坂道シリーズによる総合首位獲得に向けての施策、および課題について

5月27日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:5月18~24日)では、前週首位に立った超特急「ガチ夢中!」が80位に後退。日向坂46「Kind of love」が前週の59位から首位に浮上しています。

日向坂46のソングチャート制覇は「絶対的第六感」(2024年9月25日公開分)以来となりますが、坂道シリーズ(坂道グループ)では2026年度の首位獲得が乃木坂46「ビリヤニ」(2025年12月3日公開分)、櫻坂46「The growing up train」(2026年3月18日公開分)、乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」(2026年4月15日公開分)に続く4曲目に。そして坂道シリーズ作品の上位進出には、共通の施策が見て取れます。

 

坂道シリーズの楽曲は【先行配信時から実施したLINE MUSIC再生キャンペーンに伴いストリーミング指標が安定する中、フィジカルセールス指標を初めて加算する】ことが総合首位獲得の要因として挙げられます。先述した坂道シリーズによる今年度首位獲得曲ではこの点が共通しており、その施策ならびに音楽チャート動向については下記エントリーで以前まとめました。

上記では2026年2月4日公開分にて総合3位に登場した日向坂46「クリフハンガー」についても紹介。「クリフハンガー」はNumber_i「3XL」およびMrs. GREEN APPLE「lulu.」の後塵を拝するも1万ポイント超えを果たしています。そして今作「Kind of love」においても先述した施策、さらに【フィジカルセールス指標加算2週目までLINE MUSIC再生キャンペーンを開催】という点を徹底しています。

17thシングル『Kind of love』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 日向坂46公式サイト(4月14日付)より

 

(※ キャンペーン終了後にページが削除される可能性を踏まえ、キャプチャを行っています(問題があれば削除いたします)。なお以下の引用部分についても、同様の理由にてキャプチャを実施しています。)

坂道シリーズはLINE MUSIC再生キャンペーン開催時にて、再生回数ハードルを低く設定しています。C賞は1回以上再生となっていることからもその旨が解りますが、それが参加者を増やし、LINE MUSIC再生キャンペーンの影響力を徐々に高めているのかもしれません。日向坂46「Kind of love」は当週、ストリーミング指標15位(指標の基となるStreaming Songsチャートでは28位)、302万回再生を記録しています。

 

ただし、先程貼付したエントリーでも紹介したように、坂道シリーズによるフィジカルシングル表題曲はフィジカルセールス指標(CHART insightでは黄色で表示)の加算3週目にストリーミング指標(青)が100位以内から300位未満へ急落し、棒グラフで示される総合ソングチャートでも100位未満に大きく後退しています。これは乃木坂46による最新曲でも同様です。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

 

 

LINE MUSIC再生キャンペーンについては音楽チャート上の効果もありつつ、しかしながら問題点が少なくありません。

LINE MUSIC再生キャンペーンによる効果や問題点等は、上記エントリーにてまとめています。キャンペーン終了後に急落するか否かを見極めるには、"他のサブスクサービスと大きな乖離が発生していないか" "ビルボードジャパンソングチャートの他指標と乖離していないか"をチェックすることが重要です。後者においては、ストリーミングと同じ接触指標である動画再生の順位が比例する傾向にあるゆえ尚の事です。

日向坂46「Kind of love」ではストリーミング指標が安定、且つ当週は上昇しながら、CHART insightにて赤で表示される動画再生指標は後退しています。また毎週土曜のエントリーにて紹介しているストリーミング表を以下に貼付しますが、表からはLINE MUSICと他のサブスクサービスとでの乖離も確認できます。「Kind of love」については、再来週の動向を注視する必要があります。

 

 

なお坂道シリーズでは、櫻坂46が6月10日にリリースするフィジカルシングル表題曲の「Lonesome rabbit」でもLINE MUSIC再生キャンペーンを実施しており、当週は総合14位に初登場を果たしています。ストリーミング指標9位、同指標の基となるStreaming Songsチャートでは10位につけていますが、上記ストリーミング表からはLINE MUSICとそれ以外のサブスクサービスとで大きな乖離が見て取れます。

『Lonesome rabbit』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 櫻坂46公式サイト(5月18日付)より

他方、「Lonesome rabbit」とダブルAサイドながらフィジカルセールス指標が加点されない「What's "KAZOKU"?」は、「Lonesome rabbit」に先駆けて配信され、且つLINE MUSIC再生キャンペーンを実施。一方で当週のストリーミング指標は断絶状態にあることが、下記CHART insightから解ります。これは同曲の再生キャンペーンが前週の集計期間いっぱいにて終了したことが影響した形です。

『What's “KAZOKU”?』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 櫻坂46公式サイト(4月18日付)より

「What's "KAZOKU"?」が他のサブスクサービスでもヒットしていれば、ストリーミング指標の断絶や総合ソングチャートでの急落は防げたはずです。そしてこのことは坂道シリーズによる最近のフィジカルシングル表題曲全般に対しても、当てはまるといえるでしょう。

 

 

坂道シリーズがLINE MUSIC再生キャンペーンを採用する理由は解りかねますが、ストリーミング指標初加算時からフィジカルセールス指標加算2週目までは総合ソングチャートで安定し、フィジカルセールス指標初加算時に総合首位に立つことも少なくないため、音楽チャート上で成功していると捉える方は少なくないかもしれません。しかしながらより重要なのはロングヒットし、年間チャートに登場することです。

そのためにはキャンペーンに頼らずともヒットする、つまりはストリーミング支持の源であり今後コアファンに昇華し得るライト層を如何に掴むかが重要です。ビルボードジャパンソングチャートを制するための施策は身に付けたといえる一方、真の社会的ヒットに至らなければ年間チャートでの上位進出は難しく、そのチャート等を判断基準に用いる『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への出場も確実に成るとは言い難いでしょう。

 

 

最後に。坂道シリーズ等のアイドル/ダンスボーカルグループによる曲はフィジカルリリース後のセールス施策に伴い売上が大きく伸び、それに伴い総合順位も再度上昇する傾向にあります。しかしながらそのような施策に伴う上昇は他指標(特にデジタル指標群)が伴っていないことが大半であり、その点もCHART insightから見極めることが可能です。