ビルボードジャパンが今週発表する各種チャートは2026年度26週目に該当し、上半期最終週となる可能性が考えられます。これが正しければ、そして通常通りのスケジュールで進行するならば、6月5日金曜午前4時に上半期チャートを発表するものと思われます。
この上半期終了のタイミングで注目したいのは、下半期初週にチャートポリシー(集計方法)の変更が行われるかということ。昨年度下半期の初週には”リカレントルール”が新たに用意され、チャートが大きく変わったゆえ尚の事です。
リカレントルールは、ソングチャートにおいてはStreaming Songsチャート、アルバムチャートにおいてはStreaming Albumsチャート(こちらは未公表)をストリーミング指標化する際、前者は総合チャートに通算52週、後者は同26週ランクインしている作品に対しその翌週以降減算処理を施すというもの。ロングヒット作品の順位を引き下げ、新陳代謝を促すということが導入の背景にあると考えられます。
そのリカレントルールが初めて導入された2025年6月4日公開分以降、ソングチャートではロングヒット曲のほとんどが上位に進出しにくくなっています。一方で減算処理が初めて適用された際に総合50位以内にとどまった曲は、現時点まで存在感を示し続けています。今回は後者に該当する6曲を紹介し、その強さの理由をまとめます。
まずは、リカレントルール適用直後もビルボードジャパンソングチャートで50位以内にとどまった6曲について紹介します。
<ビルボードジャパンソングチャート
リカレントルール適用直後も総合50位以内にランクインした楽曲のCHART insight>
※ CHART insightはいずれの曲についても、直近60週分を表示しています。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
茶:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において100位まで表示
(100位まではCHART insight有料会員が確認可能なもので、無料会員が確認可能な20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・Vaundy「怪獣の花唄」
2025年5月28日公開分 22位→2025年6月4日公開分 44位
(2026年5月27日公開分 57位)
・Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」
2025年5月28日公開分 18位→2025年6月4日公開分 39位
(2026年5月27日公開分 72位)
・Mrs. GREEN APPLE「ライラック」
2025年5月28日公開分 3位→2025年6月4日公開分 14位
(2026年5月27日公開分 27位)
・Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」
2026年1月21日公開分 10位→2026年1月28日公開分 29位
(2026年5月27日公開分 48位)
・サカナクション「怪獣」
2026年2月18日公開分 13位→2026年2月25日公開分 45位
(2026年5月27日公開分 54位)
・HANA「ROSE」
2026年4月1日公開分 13位→2026年4月8日公開分 38位
(2026年5月27日公開分 65位)
リカレントルール初適用のタイミングは楽曲毎に異なりますが、CHART insightにて青で表示されるストリーミング指標が急落している週だといえば分かりやすいでしょう。その初適用週においては総合でも比較的大きく後退しながら、しかしここで採り上げた6曲は(うち3曲がリカレントルール導入週に適用対象となりながらも)現在でも総合100位以内にとどまっています。
リカレントルール適用後も総合ソングチャートで上位にとどまる曲の最大の特徴は、カラオケ指標で上位を維持しているという点。最も分かりやすいのはVaundy「怪獣の花唄」であり、同曲はリカレントルール適用後もこの指標が常時3位以内をキープしています。そしてHANA「ROSE」を除く5曲は、最新5月20日公開分においてもカラオケ指標が34位までに登場しています。
また、動画再生指標も比較的安定しています。動画再生はもうひとつの接触指標であるストリーミングと順位が比例する傾向にあり、ストリーミングがリカレントルールに伴い減算処理が施されたとしても、そのルールが適用されない動画再生指標は上位をキープしているといえます。
さらに、接触指標群に影響を与えると考えられるUGC(ユーザー生成コンテンツ)にも注目です。”歌ってみた”や”踊ってみた”に代表されるUGCは、この6曲において順位の差こそあれど常時300位以内に入り続けています。
所有指標においても、今回採り上げた6曲はリカレントルール適用後ほぼすべての期間にて、ダウンロードが常時300位以内に入り加点を続けています(Mrs. GREEN APPLE「ライラック」のみ2025年7月16日公開分にてダウンロード指標300位圏外に)。サカナクション「怪獣」以外はアルバムの形でも音源が手に入るのですが、楽曲単位での購入という選択肢を行使する方が多いと考えられます。
(なおフィジカルセールス指標においては、フィジカルシングル自体をリリースしていない曲が多いため単純比較はできません。しかしながらHANA「ROSE」では常時加点を続けています。)
HANA「ROSE」はカラオケ指標が強くないながらも、リカレントルール適用時は同曲を収録したアルバム『HANA』がヒットしており、アルバムへの高い注目も総合順位の下落幅を押さえるのに有効だったのかもしれません。
そのような個別の事例はあるにせよ、リカレントルール適用直後に総合ソングチャートで50位以内をキープした6曲には共通の特徴が少なくないということが、CHART insightから読み取れます。その適用以降もすべての曲が総合100位以内に入り続けていること(Mrs. GREEN APPLE「ライラック」に至っては適用後通算4週に渡りトップ10入りを果たしていること)は特筆すべきであり、6曲は社会的ヒット作品と断言していいでしょう。





