一昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、一方で所有指標ばかりが強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。
この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで毎週半数が入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。ロングヒット曲ではライト層の支持を大きく反映するストリーミングが強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、ロングヒットするか否かを1週分のチャートのみで判断することは難しいといえるかもしれません。
このブログではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、”前週トップ10初登場曲の最新動向”エントリーを掲載する理由です。
<5月20日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
茶:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・DOMOTO「またね」
5月13日公開分 3位→5月20日公開分 100位未満
・大森元貴「催し」
5月13日公開分 8位→5月20日公開分 21位
また、前週トップ10内に再浮上した作品の当週動向はこちら。
・BE:FIRST「BE:FIRST ALL DAY」
5月13日公開分 2位→5月20日公開分 26位


・サカナクション「夜の踊り子」
5月13日公開分 10位→5月20日公開分 2位


当週のストリーミング表はこちら。



当週2位に浮上したサカナクション「夜の踊り子」については、昨日付エントリーにて紹介しています。
大森元貴「催し」はデジタルオンリーでのリリースにして、登場2週目となる前週は13→8位に上昇。ミュージックビデオ公開に伴い動画再生指標が100位未満→7位に急伸したこともさることながら、ラジオ指標が54→2位に急上昇したことも総合チャートトップ10入りの要因とみられます。しかし当週はそのラジオ指標が28位に後退し、他の指標より下落幅が大きくなっています。
大森元貴「催し」の登場2週目におけるラジオ指標の急伸は、大森さんが所属するMrs. GREEN APPLEの楽曲でも散見されます。このような動きはMrs. GREEN APPLE特有と捉えていましたが(上記エントリー参照)、実は他の歌手においても同種の施策が打たれ始めているという印象です。ただしラジオ指標は上位安定が難しいため、施策の終了時までに他指標を拡充させ、総合でロングヒットに至らせることが重要です。
DOMOTO「またね」は登場2週目にして急落。ストリーミングや動画再生といった接触指標群の未加点(300位未満)が影響しているといえます。他方、下落幅は「またね」ほどではないにせよBE:FIRST「BE:FIRST ALL DAY」や、さらには前週首位を獲得したSnow Man「BANG!!」もまたトップ10内から後退しています。
・Snow Man「BANG!!」
5月13日公開分 1位→5月20日公開分 14位


Snow Man「BANG!!」はフィジカルセールス指標初加算週に総合2位に上昇するも、その際はデジタルを解禁せず。そして前週はデジタル解禁且つ1週間フル加算に伴い総合首位に立っています(Snow Man「BANG!!」がソングチャート制覇…フィジカルセールス加算2週目での上昇要因を探る(5月14日付)参照)。2週続けて山を作ったことが上位キープの要因でしたが、当週はトップ10内をキープすることができませんでした。
接触指標群の動向をみると、Snow Man「BANG!!」はストリーミングが30→37位および動画再生が2→6位、またBE:FIRST「BE:FIRST ALL DAY」はストリーミングが23→40位および動画再生が10→22位と、いずれも後退しています。所有指標の後退を接触指標群が補完するに十分とはいえなかったことが、トップ10内からの脱落につながった形です。

その結果、2026年度第2四半期のビルボードジャパンソングチャートではフィジカル/デジタルの所有指標が強いアイドルやダンスボーカルグループの楽曲が代わる代わる首位に立ちながら、翌週トップ10内をキープしたのは嵐「Five」(1→3位)のみに。一方でその際のポイント前週比は37.6%であり、第2四半期に首位を獲得しながら翌週のポイントが前週比5割を上回った曲は登場していません。
この点についてはストリーミングに強い曲が出ていないことも背景にあるのですが、言い換えれば所有指標に強い曲が接触指標群でも強ければチャートで存在感を高められたはずです。現に第1四半期最終週にて首位を獲得したM!LK「爆裂愛してる」が当週も3位に在籍していることは、そのことを強く示しています。




