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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「夜の踊り子」が歌手(作品全体)の勢いを高める…サカナクションにおける主要3チャートの動向を確認する

5月20日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:5月11~17日)では、サカナクション「夜の踊り子」が10→2位に浮上しています。

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(画像はビルボードジャパン公式Xアカウントより(ポストはこちら)。)

「夜の踊り子」はストリーミング指標、および同指標の基となるStreaming Songsチャートを初制覇。さらにはそのストリーミングのみならず他指標も大きく増加したことが、総合2位躍進の要因でしょう。

続く2位は10位からランクアップしたサカナクション「夜の踊り子」。前週と比べて、ストリーミング数が143%、ダウンロード192%、ラジオ160%、動画が256%、カラオケ153%と軒並み増加した。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

直近30週分におけるサカナクション「夜の踊り子」のCHART insightからは、ストリーミング(青で表示)のみならずダウンロード(紫)、ラジオ(黄緑)、動画再生(赤)そしてカラオケ(緑)の伸びが確認できます。さらにフィジカルセールス(黄色)も今回300位以内に入り加点対象に。2012年にリリースされた同曲のフィジカルシングルが、一定数購入されていることが解ります。

 

ストリーミングに話を戻すと、サカナクションは「夜の踊り子」にてStreaming Songsチャートを初めて制しています。

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(画像はビルボードジャパン公式Xアカウントより(ポストはこちら)。)

楽曲が使用されたショート動画がネットミーム化したことで再注目され、4月29日公開チャートで初のチャートイン(81位)を達成していた同曲。そこから急浮上を続けており、5月6日公開チャートで28位、そして前週5月13日公開チャートでは6位とトップ10入りを果たしていた。そして当週、再生回数の前週比は約143.3%を記録し週間再生数が700万回を突破。「怪獣」で記録していた最高2位を超え、自身初となるストリーミング・ソング・チャート首位を獲得した。

さらにこの影響か、サカナクションは「夜の踊り子」のほかにも「怪獣」(前週16位→14位)および「新宝島」(前週72位→45位)が前週よりも再生数を増加させつつ順位もアップさせており、楽曲単位のみならずアーティスト単位で注目を高めていることがうかがえる。

サカナクション「夜の踊り子」の伸びについては、このブログで毎週掲載しているストリーミング表からも確認可能です。

さらに「夜の踊り子」は、当週の再生回数が735万回を記録。Streaming Songsチャート首位曲が700万回を上回ったのは3週ぶりとなります。

 

 

さて、Streaming Songsチャートの記事では『楽曲単位のみならずアーティスト単位で注目を高めていることがうかがえる』との記載があります。このことは「怪獣」や「新宝島」のソングチャート動向のみならず、他の主要チャートからも確認できます。

 

まずはアルバムチャート。最新5月20日公開分では、「夜の踊り子」を収録した2013年のアルバム『sakanaction』が18→9位に上昇。2015年6月3日公開分にて開始したこのチャートで、『sakanaction』は最高位を更新しています。

(上記はアルバムチャートにおける『sakanaction』の、直近30週分のCHART insight。)

アルバムはフィジカルセールス、ダウンロード、そして2024年末から導入されたストリーミングの3指標で構成。『sakanaction』はそのストリーミングについて、一昨年末以降ずっと加点を続けてきました。

一方、ビルボードジャパンは2025年度下半期初週に、総合100位以内在籍が26週以上となった作品に対しその翌週以降、Streaming Albumsチャート(非公開)をストリーミング指標化する際に減算処理を施すというリカレントルールを導入。『sakanaction』は昨夏このルールに抵触しましたが、今年始めそして直近4週のチャートで上昇した形です。リカレントルール対象作品として、当週のチャートで最高位を記録しています。

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(画像はビルボードジャパン公式Xアカウントより(ポストはこちら)。)

さらにサカナクションは、当週のアルバムチャートで『DocumentaLy』(2011)が39→29位、『834.194』(2019 リカレントルール対象)が58→46位、そして『kikUUiki』(2010)が100位未満から82位に上昇しています(『kikUUiki』は総合100位以内初登場)。牽引するのはいずれもストリーミング指標ですが、『kikUUiki』のフィジカルセールス以外では先述した『sakanaction』同様に、所有指標の順位がいずれも上昇しています。

 

そして、ソングチャートとアルバムチャートを合算したビルボードジャパンのトップアーティストチャートでは、サカナクションが10→6位に上昇しています。

トップアーティストチャートについてはこのブログにて”記事化”エントリーを公開しています(最新5月20日公開分については【トップアーティストチャート】Mrs. GREEN APPLE3連覇、「夜の踊り子」のヒットでサカナクションが6位に浮上(5月20日付)参照)。ストリーミングが要となるこのチャートでサカナクションは同指標6位をキープ、また動画再生は7→3位となり、接触指標群が安定もしくは上昇しています。

さらに注目は、所有指標群の上昇。ダウンロードは7→2位、そしてフィジカルセールスは78→72位と推移しています。そして接触指標ながら聴き手に選曲権のないラジオ指標も20→15位に上昇、さらには”活用”と呼べるカラオケ指標は12→11位となりトップ10目前に迫っています。構成6指標がいずれも上昇もしくは順位を保ち、そして所有指標(特にフィジカルセールス)にも波及していることは、実に興味深いのです。

 

 

サカナクション「夜の踊り子」の上昇については2週前のエントリーにて紹介しています。

この曲については音楽ジャーナリストの柴那典さん、そしてエンタメビジネスウォッチャーの徳力基彦さんもその勢いを紹介していますが、そこで用いられたのが”バイラル(ヒット)”という表現でした。

(柴那典『ヒットの復権』の冒頭「はじめに」は全文公開されています(→こちら)。)

ただ、その”バイラル(ヒット)”の尺度として用いられてきたSpotifyのバイラルチャートが、今月突如終了しています。背景等についてはMusic Ally Japanがまとめています。

 

音楽チャートを追いかけてきた者として述べるならば、バイラルヒットのすべてがビルボードジャパンソングチャートでヒットするというわけではありません。もっといえば、バイラルの域を超える作品は多くはないというのが厳しくも私見です。

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(画像はMUSIC AWARDS JAPAN公式Xアカウントより(ポストはこちら)。)

上記はMUSIC AWARDS JAPANによる、最優秀バイラル楽曲賞のノミネート一覧。この中では上段の3曲およびCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」が総合ソングチャートでトップ10入りしていません。このような総合チャートとの乖離については、上記部門のエントリー一覧(→こちら(PDF))をみるとより明確になるかもしれません。

 

 

ヒットまでの流れは一曲ごとに異なるとして、しかしサカナクション「夜の踊り子」における総合ソングチャートへの波及にはメンバーの山口一郎さんによる積極的な参加が大きかったことは間違いないでしょう。そしてその話題が更に拡大し(たとえば同じレコード会社に所属するM!LKとのやり取り等)、勢いが「夜の踊り子」にとどまらず歌手全体に伝播したものと捉えています。フィジカルの購入は、その最たる動きでしょう。

 

 

今後の注目点は、「夜の踊り子」の勢いが続くか、そしてサカナクション全体への波及が続きコアファンがさらに増えていくかという点にあります。先述したM!LKは「好きすぎて滅!」「爆裂愛してる」「アイドルパワー」というリリースの流れ(連続)でその地位を確立したといえますが、サカナクションは寡作傾向にあるため、新作リリースまでこの勢いを保てるかがひとつの判断基準に成るのではないでしょうか。