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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ビルボードによるグローバルチャートにて、今年リリース曲が最新トップ10の半数に満たない件

米ビルボードによる最新5月16付グローバルソングチャートについては、昨日付エントリーにてトップ10記事を意訳し公開しています。

グローバルチャートのうち、Global Excl. U.S.に米の分を含めたGlobal 200における上位10曲をみると、実は今年リリースの曲は半数以下となります。"新曲がヒットしていない"との認識を持たれかねませんが、今回はこの状況についてまとめます。

 

 

<米ビルボードによる5月16日付Global 200 トップ10のリリース日一覧>

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(画像は米ビルボードのチャート専用Xアカウント(→こちら)より。)

 

・1位 ジャスティン・ビーバー feat. ニッキー・ミナージュ「Beauty And A Beat」

  リリース日:2012年10月24日

・2位 BTS「SWIM」

  リリース日:2026年3月20日

・3位 マイケル・ジャクソン「Billie Jean」

  リリース日:1983年1月2日

・4位 テーム・インパラ & ジェニー「Dracula」

  リリース日:2025年9月26日 (テーム・インパラ単独版)

        2026年2月6日 (JENNIE共演版)

・5位 オリヴィア・ロドリゴ「Drop Dead」

  リリース日:2026年4月17日

・6位 エラ・ラングレー「Choosin' Texas」

  リリース日:2025年10月17日

・7位 マイケル・ジャクソン「Beat It」

  リリース日:1983年2月21日

・8位 ドミニク・ファイク「Babydoll」

  リリース日:2026年2月27日

  (2018年10月16日リリースのEP『Don't Forget About Me, Demos』収録にて初出)

・9位 オリヴィア・ディーン「Man I Need」

  リリース日:2025年8月15日

・10位 アレックス・ウォーレン「Ordinary」

  リリース日:2025年2月7日

 

(リリース日情報はWikipedia(英語版)より。) 

 

 

2026年5月16日付Global 200のトップ10の顔ぶれは、以下に大別されます。

 

1つ目は今年のリリース曲。BTS「SWIM」およびオリヴィア・ロドリゴ「Drop Dead」が該当します。

続いてはロングヒット曲。米では9週目の首位を獲得したエラ・ラングレー「Choosin' Texas」をはじめ、オリヴィア・ディーン「Man I Need」そしてアレックス・ウォーレン「Ordinary」が含まれます。

そして映像関連の人気。ジャスティン・ビーバー feat. ニッキー・ミナージュ「Beauty And A Beat」は、ジャスティンによるコーチェラ・フェスティバルのパフォーマンスがバズにつながった形。そしてマイケル・ジャクソンによる「Billie Jean」および「Beat It」は、伝記映画『Michael/マイケル』のヒットに基づきます。コーチェラがYouTubeで生配信されたことも大きく寄与したことから、"映像関連"と定義しています。

さらに、こちらも映像関連ながらSNS発(と定義)。ドミニク・ファイク「Babydoll」は2018年リリースのEPに収録するも今年になっていわば見つかったことで、後に正式シングル化されています(「Babydoll」が再ヒット中!ドミニク・ファイクって誰?|ソニーミュージック|洋楽 note(3月31日付)参照)。

最後は追加バージョンの人気。テーム・インパラ & JENNIE「Dracula」は元々テーム・インパラ単独版として昨秋リリースされたものが、今年2月にBLACKPINKのJENNIEをデュエット相手として迎えたリミックス版をリリースしたことでヒットが加速。米ビルボードによる米やグローバルソングチャートは様々なバージョンが合算され、共演版の人気が単独版を上回ったことで、音楽チャート上でも共演名義となっています。

(テーム・インパラによる単独版はこちらで視聴可能です。)

 

 

Global 200のランクイン状況を知るには、まずはこのチャートで上昇しやすい曲とそうでない曲という特徴を押さえる必要があるでしょう。

 

5月16日付Global 200のトップ10を同日付米ビルボードソングチャートのそれと比較すると、5曲が重複しています。

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(画像は米ビルボードのチャート専用Xアカウント(→こちら)より。)

米ソングチャートでトップ10入りしながらGlobal 200のトップ10内に登場していないのは5曲。エラ・ラングレー「Be Her」(米ソングチャート 2位 / Global 200 30位)、ブルーノ・マーズ「I Just Might」(5位 / 24位)、オリヴィア・ディーン「So Easy (To Fall In Love)」(6位 / 16位)、エラ・ラングレー & モーガン・ウォーレン「I Can't Love You Anymore」(8位 / 42位)およびケラーニ「Folded」(9位 / 131位)となります。

米で強いカントリーやヒップホップといったジャンルは、Global 200ではそこまでではありません。エラ・ラングレーは「Choosin' Texas」がGlobal 200でもトップ10入りしていますが、米で9週目の首位を獲得した一方でGlobal 200では5位が最高位となっています。またケラーニ等のR&Bも、カントリーやヒップホップと同様といえるでしょう。

またブルーノ・マーズ「I Just Might」は、米にてラジオが12週目の首位を獲得しています。ただこの指標はGlobal 200に含まれていません(グローバルチャートは世界の主要デジタルプラットフォームによるストリーミング(現時点でYouTubeは除く)およびダウンロードの2指標で構成)。米でラジオの存在が大きい曲は、しかしながらストリーミングが強くなければGlobal 200で存在感を示すことが難しいのかもしれません。

 

さらに、グローバルチャートにはリカレントルールが存在しません。新陳代謝を目的に、米ソングチャートでは一定週数以上ランクインした曲が一定順位を下回った場合にチャートから外れるという措置が採られています。ただビルボードジャパンではルールの中身が異なる(チャートから外されることはない)等、国や地域によっておそらくまちまちなこともあってか、グローバルチャートではその導入が行われていません。

グローバルチャートは2020年後半に開始した新しいチャートであることも、リカレントルールを設けなかった理由と考えます。しかしながらそのことが、たとえばコーチェラ・フェスティバルのバズに伴うジャスティン・ビーバー、そして伝記映画のヒットに伴うマイケル・ジャクソンの人気(上昇)を可視化したといえるでしょう。

 

 

さて、先程は"ストリーミング(現時点でYouTubeは除く)"と記しましたが、1月31日付よりYouTubeがデータ提供を取り止めています。これは米ビルボードが今年に入りストリーミング指標のウエイトを変更しながらも、サブスクサービス有料会員による1回再生と無料会員によるそれとで引き続き異なるウエイトを用意したことに対し、YouTubeが古い制度と非難し決裂状態となったためです。

日本の音楽関係者(音楽チャート分析者)からもYouTubeを支持する声が散見されましたが、結果的には直近のリリース曲の瞬発力を下げた形となりました。BTS「SWIM」は首位を獲得したものの、より高い数値を獲得できたでしょう。またJENNIEが所属するBLACKPINKは今年EP『DEADLINE』をリリースするも、(先行曲の「JUMP」ではなく)リード曲の「GO」はGlobal 200でトップ10入りできませんでした。YouTubeのデータ提供取り止めはK-POPに限らず、日本の音楽にも好ましくない影響を与えています。

 

 

これらの背景が、トップ10における新曲減少の要因と捉えています。また11位以下をみても旧譜が多いことがよく解ります(Global 200の最新チャートはこちらにて確認できます)。新曲が強くないという見方もあるとして、背景を知ることは重要と考えます。

新曲が上位を維持する(形を理想とする)ならば、YouTubeのデータ提供再開は必須でしょう。そのためには、データ提供停止を免れているビルボードジャパンが米ビルボードとYouTubeの仲を取り持つことも必要ではないでしょうか。