イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の当週動向と、Mrs. GREEN APPLE「風と町」の安定要因について

一昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標ばかりが強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで毎週半数が入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。ロングヒット曲ではライト層の支持を大きく反映するストリーミングが強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、ロングヒットするか否かを1週分のチャートのみで判断することは難しいといえるかもしれません。

このブログではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、”前週トップ10初登場曲の最新動向”エントリーを掲載する理由です。

 

 

<4月22日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・Travis Japan「陰ニモ日向ニモ」

 4月22日公開分 1位→4月29日公開分 54位

・IMP.「INVADER」

 4月22日公開分 2位→4月29日公開分 100位未満

 ・Mrs. GREEN APPLE「風と町」

 4月22日公開分 3位→4月29日公開分 2位

・MISIA「ラストダンスあなたと」

 4月22日公開分 5位→4月29日公開分 15位

・OCTPATH「Steppin'!!!」

 4月22日公開分 8位→4月29日公開分 100位未満

 

また、前週トップ10内に再浮上した作品の当週動向はこちら。

・=LOVE「劇薬中毒」

 4月22日公開分 10位→4月29日公開分 25位

 

当週のストリーミング表はこちら。なお先月より一部リニューアルしています。

 

前週の1位および3位については、先週のブログエントリーにて紹介しています。

Travis Japan「陰ニモ日向ニモ」は首位から54位へ後退。ストリーミング指標は2週続けて100位未満ながら300位以内に入り加点されていますが、所有2指標の減少を補完するまでには至っていません。一方でMrs. GREEN APPLE「風と町」は3→2位に上昇していますが、この理由は一昨日掲載のトップアーティストチャート"記事化"エントリーにて紹介ました。

そのMrs. GREEN APPLEは総合2位をキープ。「風と町」が登場2週目にして勢いを維持したこと(ポイント前週比98.7%を記録)が、歌手別チャートにも反映。「風と町」は総合ソングチャートの記事にて『ラジオのポイントは前週比386%に増加』と紹介されていますが、Mrs. GREEN APPLEや大森元貴さんのソロ曲にて散見される登場2週目以降のラジオ指標急上昇がこの曲でもみられ、歌手別チャートの安定にもつながっています。

 

この『Mrs. GREEN APPLEや大森元貴さんのソロ曲にて散見される登場2週目以降のラジオ指標急上昇』が今回の「風と町」でも表れた形です。ラジオ指標の基となるプランテックの記事では、次のように紹介されています。

NHK連続テレビ小説「風、薫る」主題歌として書き下ろされた同曲は、4月13日の配信リリースと同時にFMを中心にオンエアが開始されると、リクエストを集めながら伸長していき前週7位に初登場。チャートイン2週目を迎えた今週、オンエア獲得範囲を調査対象の93.5%のステーションへと広げつつ、前週比270%のオンエア増を見せ首位へと上り詰めた。

リクエストオンエア数も前週から更に増加し今週最多数を獲得するなど、オンエア解禁から日を追うごとに楽曲波及していった様子がうかがえる。2位以下を大きく突き放すその圧倒的なオンエア数は、今年の週間最多記録を塗り替えたことも特筆したい。

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標は全国主要放送局のオンエアチャートに基づき、各放送局の聴取可能人口等を加味して算出。その算出後のポイントが前週比386%アップしたのに対しオンエア自体は前週比270%増となっていることから、人口の多い都市(特に首都圏)の放送局で特に増えた可能性が考えられます。首都圏では聴取率調査が実施されたゆえ、Mrs. GREEN APPLEの曲がさらに用いられたのかもしれません。

 

<ビルボードジャパンソングチャート ラジオ指標について>

 

◯ 基となるデータ

 ・プランテックによる全国主要エリア31局(FMおよびAM局)のオンエアチャート

   (各放送局の聴取可能人口等を加味して指標化)

 

◯ 上位進出しやすい曲

 ・ラジオ局によるパワープレイ(ヘビーローテーション)採用曲

   (新人歌手による作品主体)

 ・帯番組の放送やコーナー等の限定的な時間帯で一週間大量にオンエアされる曲

   (男性アイドル/ダンスボーカルグループの作品中心 (音楽チャート施策として))

 ・季節やイベントを代表する曲

 ・亡くなった歌手の代表曲

 ・ベテラン歌手による新曲

   (全国レギュラー番組を抱える歌手が特に強い)

 ・地方局よりも大都市圏(特に首都圏)で大量オンエアされる曲

 ・洋楽(K-POPを除く)の場合は世界的ヒットより日本独自の推薦曲

 ・ラジオ局や番組が主体的に流す曲

 

◯ 問題点

 ・他指標に比べてロングヒットしにくい

   (音楽チャート施策に基づく場合は1週間、パワープレイ採用曲は1ヶ月程度)

 ・他指標と順位が乖離しやすい

 ・他指標より洋楽(K-POPを除く)が強いながら、上位占有率は縮小傾向にある

 ・ラジオ局や番組が主体的に流す曲は(オンエアチャート上からは)見えづらい

ラジオ指標の特徴を再掲しますが、Mrs. GREEN APPLEや大森元貴さんのソロ曲におけるラジオ指標2週目以降の増加は、他の歌手による作品ではほぼみられません。Mrs. GREEN APPLEがラジオ業界に好まれるのみならず、如何に音楽チャート(施策)に積極的かもみえてくるといえるでしょう。

(プランテックの記事からは施策の存在が確認できないものの、たとえば「GOOD DAY」ではその実施が確認できています。同曲については前週トップ10初登場曲の最新動向と、Mrs. GREEN APPLE「GOOD DAY」におけるラジオの強さについて(2025年10月18日付)をご参照ください。)

他方、ラジオ施策は長期的に行われず、またこの指標は安定しません。ゆえに施策を打つならばその終了までにライト層を獲得し、総合チャートでの安定を目指すことが求められます。