最新4月1日公開分(集計期間:3月23~29日)のビルボードジャパンアルバムチャートではMr.Children『産声』が総合2位に初登場。また先行リリースの「Again」がソングチャートでトップ20内に返り咲いています。その結果、ソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートでは、Mr.Childrenが19→4位に上昇しています。
今回は、最新のビルボードジャパン主要チャートにおけるMr.Childrenの動向を分析します。
ビルボードジャパンのトップアーティストチャートについてはこのブログで毎週木曜19時に”記事化”エントリーを掲載。その際、Mr.Childrenについては次のように記しています。
トップ10内ではMr.Childrenが19→4位、King & Princeが36→7位、そしてDXTEENが100位未満→10位に浮上。注目は『産声』がアルバムチャート総合2位に初登場したMr.Children。そのアルバムチャートではBTS『ARIRANG』の後塵を拝するも、ストリーミング指標は『ARIRANG』、HANA『HANA』に続く3位と好スタート。次週は『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)出演効果等に伴い各チャートでの上位安定も期待できます。
Mr.Childrenにおいて『次週は(中略)各チャートでの上位安定も期待できます』と記しましたが、これはストリーミングの安定が記載の背景にあります。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
1月28日公開分ソングチャートで9位に初登場したMr.Children「Again」は、その3週後から5週連続で50位台を走行するも、この2週は35→15位と上昇。同曲が主題歌となったドラマ『リブート』(TBS)が集計期間最終日に最終回を迎えたこと、またアルバム『産声』リリース週に伴うテレビ露出やラジオでのオンエア増加も影響していますが、ストリーミング指標(CHART insightでは青で表示)は同曲最高(14位)を記録しています。
Mr.Childrenの22ndアルバム『産声』は総合2位にチャートイン。CDセールス数120,757枚、ダウンロード数8,940DLでそれぞれ1位を獲得し、ストリーミングでは3位を記録した。なお、トップ100には『I ▼ U』(2005年発売)や『HOME』(2007年発売)もチャートインしている。
【ビルボード】BTS『ARIRANG』が2週連続で総合アルバム首位獲得 https://t.co/FUV7AGp6Nt
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2026年4月2日
そして当週、『産声』がアルバムチャートで総合2位に初登場。フィジカルセールス、ダウンロード共に首位を獲得するも、所有2指標では『産声』の半分以下だったBTS『ARIRANG』がストリーミング指標の強さで総合チャートを制した形ですが、『産声』がそのストリーミング指標にて3位を記録したことに注目しています。
ストリーミング指標は2024年末にアルバムチャートへ初めて組み込まれており、Mr.Childrenにおいては『産声』がそのチャートポリシー(集計方法)変更後初のオリジナルアルバムゆえ前作以前と単純比較はできません。しかしながら、トップアーティストチャートにおけるストリーミング指標は徐々に上昇しています。


上記はトップアーティストチャートにおけるMr.Childrenの、直近120週分のCHART insight(ストリーミング指標を別途拡大表示)。2021年度初週に開始したこのチャートにてMr.Childrenは2022年5月18日公開分で記録したストリーミング指標の当時の最高位(24位)を、今年1月28日公開分以降は一度も下回ることなく推移。そして当週、この指標がキャリアハイとなる6位を記録しています。
「Again」がドラマ主題歌効果も相まってサブスクユーザーに浸透したことは、「HANABI」(2008 『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ)主題歌)がサブスク解禁以降ストリーミング指標300位未満に一度も後退していないことも背景にあるかもしれません。そして「Again」はドラマ共々ヒットしたことで、アルバムリリース週にストリーミングで聴かれるという流れにつながったものと捉えています。
さて、2018年5月10日にサブスク解禁を実施したMr.Childrenにおいて、『産声』はオリジナルアルバムにおける初のフィジカル/デジタル同週リリース作品となります。前作『miss you』はデジタル解禁がフィジカルリリース(2023年10月4日)の5週後となる同年11月8日、また前々作『SOUNDTRACKS』は2020年12月2日にフィジカルリリースされた2ヶ月半後となる翌年2月14日にデジタル解禁が行われた経緯があります。
さらには『SOUNDTRACKS』のひとつ前となるオリジナルアルバム『重力と呼吸』ではフィジカルリリース(2018年10月3日)→ダウンロード解禁(2019年1月25日)→サブスク解禁(2019年12月25日)という経緯があり、サブスク解禁までに1年以上かかっていました(重力と呼吸 - Wikipedia参照)。このフィジカル先発/デジタル後発施策は、『重力と呼吸』リリースの2年前に開始した下記キャンペーンも影響していたのではと推測します。
サブスク解禁以降におけるMr.Childrenのアルバム初週セールスをみると、『重力と呼吸』がフィジカルセールス274,894枚、『SOUNDTRACKS』が248,507枚、『miss you』が150,267枚そして『産声』が120,757枚と推移。『産声』は4作において最少ながら、アルバムチャートのCHART insightにおける累計ポイント構成比からはストリーミングがフィジカルセールス(黄色)に近いポイント数を獲得していることが解ります。

この点から、『産声』ではデジタル、特にサブスクの同時解禁がフィジカルセールスを補って余りある動きを示したといえます。さらに接触指標が上位で安定する、また所有指標以上にライト層(歌手のファンではないが曲が気になる方)の支持を反映しやすい傾向を踏まえれば、ロングヒットに伴いMr.Childrenのコアファンに昇華する方が増える可能性も考えられます。Mr.Childrenはサブスクを味方にしたというのが自分の見方です。
尤も主要チャートの今後の動向を注視する必要がありますが(無論これはMr.Childrenのみならずすべての歌手に対して当てはまることですが)、たとえば3月29日夜に放送された『林先生の初耳学』(TBS)および『EIGHT-JAM』(テレビ朝日)への出演、さらには翌日放送の『CDTVライブ!ライブ!』におけるアルバム収録曲主体の4曲パフォーマンスも相まって、新作はロングヒットする可能性が十分あるものと捉えています。

(上記はMr.Children | Artist | Billboard JAPANより、ソングチャート(Hot 100)を選択。)
「Again」は最新4月1日公開分のビルボードジャパンソングチャートが10週目のランクインに。2008年1月16日公開分にて開始したこのチャートにてMr.Childrenが総合100位以内に送り込んだ曲のうち、「Again」は8曲目となる10週以上エントリー作品となります。週間単位での上位進出以上にロングヒットが社会的ヒットに近づくと考える者として、その今後に注目しています。
いわゆるCDバブル期に大ヒットを連発したMr.Childrenの、当時のファンだった方が「Again」や『産声』を機にサブスクを利用する、またサブスク主体に聴く若年層がヒットを機に『産声』をフィジカルで手にするようになるならば、日本の音楽市場はより成熟すると考えます。当週のアルバムチャートで2005年作の『I ♥ U』が61位、2007年作の『HOME』が66位に入り、共にストリーミングが牽引しているゆえ、期待します。