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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

BTS『ARIRANG』および「SWIM」が米ビルボードアルバム/ソングチャートを制する可能性…その施策に注目する

3月20日にリリースされたBTS『ARIRANG』およびリード曲の「SWIM」が、次週4月4日付(集計期間:3月20~26日)の米ビルボードアルバム/ソングチャートを制するとみられています。

各チャートの速報記事は、米ビルボードのアルバムチャートが日本時間の月曜早朝、同ソングチャートが日本時間の火曜早朝に公開予定。今回はチャート予想を紹介した上で、その背景にある様々な施策をお伝えします。

 

 

まずは次週4月4日付米ビルボードアルバムチャートについて。これはHITS Daily Doubleによる予想が参考になります。

米ビルボードアルバムチャートはデジタル/フィジカルセールス、単曲ダウンロードのアルバム換算分(TEA)およびストリーミングのアルバム換算分(SEA)に基づきます。1月31日付以降YouTubeがデータ提供を取り止めていますが(その問題については後述)、それでもBTS『ARIRANG』は2026年最大の週間ユニット数が見込まれています。

 

そしてソングチャートでは、『ARIRANG』リード曲の「SWIM」が首位を獲得するとみられています。予想精度の高さで知られるTalk of the Chartsは、アルバム収録の14曲すべてが100位以内に入ると発信しています。

米ビルボードソングチャートはストリーミング、ダウンロード(フィジカルセールス含む)およびラジオの3指標で構成。こちらもストリーミングにおいてYouTubeが除外されていますが、初週ストリーミング再生回数はヒットを続けるオリヴィア・ディーン「Man I Need」と同程度になるとみられています。

 

 

アルバムチャートにおいては速報記事にて、トップ10初登場作品において何種類がリリースされたか等の施策を米ビルボードが記す傾向にあります。ゆえにアルバムチャートについてはその記事に注目するとして、弊ブログではソングチャートの指標構成をチェックします。

Talk of the Chartsは、BTS「SWIM」の初登場週における獲得ポイントが2026年にて最大を記録すると予想しています。大きく貢献しているのがダウンロード指標であり、ポイント全体の43%を占めるとみられています。この指標においては様々な施策が実行されており、以下にその内容をまとめます。

 

 

「SWIM」ではオリジナルバージョンに続いて、インストゥルメンタル版が今回の集計期間半ばにリリースされています。米ビルボードによる米やグローバルのソングチャートでは、このバージョンが「SWIM」オリジナル版に合算されます。

さらには、「SWIM」においてメンバー別ジャケット(Alternate Cover)バージョンもリリースされています(こちらもオリジナルバージョンに合算)。そしてオリジナルバージョン(アルバム収録版)、シングルバージョン、インストゥルメンタル版および7種のメンバー別ジャケット版にて、「SWIM」が一時的にでも米iTunesソングチャートのトップ10を占めています。

上記は米のK-POPコラムニスト、ジェフ・ベンジャミンによる発信内容。トップ10独占もさることながら、通常1.29ドルのところ0.69ドルで安価販売されている点に注目。この安価販売はダウンロード指標の増加に寄与する傾向にあります。

 

これらの施策により、BTS「SWIM」のダウンロード指標が強化されるに至っています。同曲が仮に、Talk of the Chartsの予想に倣い米ビルボードソングチャートで10万を超える週間ダウンロード数を記録したならば、2月28日付におけるテイラー・スウィフト「Opalite」(168,000)以来となります。

テイラー・スウィフト「Opalite」においても様々な施策が行われていましたが、総合首位獲得時におけるダウンロード指標についてはフィジカルセールスの占める割合が大きくなっていました。BTS「SWIM」ではフィジカルがリリースされていたか解りかねますが(米ビルボードのソングチャート記事にてその点が判明するとみられます)、デジタルだけで10万を超えるならば記録的といえるでしょう。

 

 

さて、BTS「SWIM」ではストリーミング指標においても施策が行われています。そしてそこには先述したテイラー・スウィフト「Opalite」を踏襲する動きがみられます。

上記「SWIM」パフォーマンス動画はYouTubeでの公開に先立ち、SpotifyおよびApple Musicでの先行公開が実施されています。

YouTubeでの公開に先駆けてSpotifyおよびApple Musicで公開するという施策は、テイラー・スウィフト「Opalite」ミュージックビデオ公開時のそれを想起させます。

上記エントリーではYouTubeがなぜ米ビルボードへのデータ提供を停止したかについても紹介していますが、動画を音楽サブスクサービスにて先行公開することで米ビルボードにおけるストリーミング再生回数増加につなげたいという狙いが、テイラー・スウィフト「Opalite」そしてBTS「SWIM」においても背景にあったのではと考えます。

 

 

4月4日付米ビルボードソングチャートではBTS「SWIM」が首位に立つとみられますが、その際の構成3指標における数値を確認することが重要です。週間単位での上位進出も素晴らしいながら、長期間上位に滞在し社会的ヒットに至るほうがより好いというのが音楽チャート分析者としての見方ゆえ、ライト層の人気がより反映されるストリーミング、そしてラジオの動向をチェックすることが重要と考えます。

特にラジオは、米ビルボードソングチャートにおいてはスタートダッシュしにくい指標となります。そのラジオが上昇するまでにストリーミングをキープすることがロングヒットの鍵といえるのですが、BTSは「SWIM」において、登場2週目となる4月11日付(集計期間:3月27日~4月2日)に向けても施策を用意しています。

 

BTSは3月27日に「SWIM」のオリジナルバージョンおよびインストゥルメンタル版に7種のリミックスをコンパイルした『KEEP SWIMMING』をリリース。オリジナルバージョンに合算されるリミックスバージョンは『7人のメンバーそれぞれの音楽的志向を反映して編曲』されており(『』内は上記RealSoundの記事より)、リミックスを手掛けたと思しき各メンバーの名が「SWIM with ◯◯」の形で記されています。

この『KEEP SWIMMING』リリース日にはダンスプラクティス動画が公開(YouTubeはこちら)、またドキュメンタリー番組も(カムバックライブと同じく)Netflixから配信されています(下記リンク先参照)。Netflixの番組配信は水曜が通常の模様であり(noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんが雑談生配信”ミライカフェ”にて発信されています)、この点もBTS『ARIRANG』や「SWIM」の2週目動向に影響するのではないでしょうか。

さらにBTSはテレビ番組『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』(NBS)に先週出演し、2夜連続でパフォーマンスが放送。加えて現地時間の3月25日に開催された音楽賞、iHeartRadio Music Awards 2026にてBTSはソロ関連で複数の部門を受賞しています(先述したRealSoundの記事参照)。放送や受賞のタイミングも、BTS作品への注目度上昇につながるかもしれません。

 

 

このような動きを経て、BTS『ARIRANG』や「SWIM」の2週目以降のチャート動向がどうなるか、そして3週目以降においても施策が実施されるかに注目します。