イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2002年リリースのt.A.T.u.「All The Things She Said」がグローバルチャートで最高位に達した背景とは

1月24日放送の『imaoto on the Radio』(NFRSラジオ 土曜19時 放送後記はこちら)、その音楽特集コーナーでは米ビルボードのGlobal 200でヒット中の旧譜について採り上げました。そしてその後、さらに順位を上げた作品のひとつがロシアのデュオ、t.A.T.u.による2002年リリースの「All The Things She Said」です。

「All The Things She Said」は原曲(ロシア語)の英語バージョンであり、トレヴァー・ホーンがプロデュースを担当。同曲はイギリスをはじめとする世界のチャートを席巻し、米ビルボードソングチャートでは最高20位を記録。日本でもヒットしながら、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)でのドタキャン問題を機にイメージが急激に悪化、そしてその後も度々ネタにされており、日本の歌手への印象は悪いままと思われます。

 

さて、「All The Things She Said」のミュージックビデオにはメンバー同士のキスシーンが登場しますが、同性同士の恋愛を描いたドラマにこの曲が用いられたことがリバイバルヒットの契機となっています。下記はそのドラマの制作会社による動画となります。

米HBO(HBO Max)による『Heated Rivalry (原題)』は昨年11月に配信開始されるや一躍人気に。シーズン2の制作が決定したのみならず、主演俳優のハドソン・ウィリアムズおよびコナー・ストーリーは今年に入りゴールデングローブ賞のプレゼンターや冬季オリンピック聖火ランナーも担当。ドラマ人気の波及が見て取れます。

『Heated Rivalry』は、カナダ出身の小説家であるレイチェル・リードの作品『Game Changers』シリーズの第二弾として描かれ、欧米ではM/Mロマンス(男性同士の恋愛)、日本では一般的にBL(ボーイズラブ)と呼ばれるジャンルだ。主にセックスシーンで話題を集めた作品だが、LGBTQ+の恋愛を繊細に描写したことや、男らしさの強要によりカミングアウトしにくいホッケー界に一石を投じる作品となっている。

 

文化現象となった大人気BLドラマ『Heated Rivalry』のハドソン・ウィリアムズとコナー・ストーリーが、冬季オリンピックの聖火ランナーとして登場! - セレブニュース | SPUR(1月26日付)より

SPURでは『Heated Rivalry』についてこのように紹介。そしてこの作品で使用されたのがt.A.T.u.「All The Things She Said」であり、ドラマ人気がこの曲を押し上げた形です。

ロシアの女性デュオ、t.A.T.u.による2002年の大ヒット曲「オール・ザ・シングス・シー・セッド(All The Things She Said)」が令和にバイラルヒットを起こしている。米The Hollywood Reporterによると、Spotifyにおけるストリーミング再生回数が2025年12月12日以降2倍になり、アメリカ国内では135%の増加となった。

きっかけとなったのは、アメリカでMaxにて配信中のドラマ「Heated Rivalry(原題)」。アイスホッケーの世界を舞台に、激しく対立するライバルチームの選手が密かな性的関係に発展していくロマンスシリーズだ。12日に配信されたドラマの第4話劇中で「オール・ザ・シングス・シー・セッド」が挿入されたことを受け、Spotifyでのストリーミング再生数が跳ね上がった。

(中略)

同シーンでは、t.A.T.u.によるオリジナル版に加え、アーティストのハリソンによるカバー音源が使用された。

 

t.A.T.u.の2002年ヒット曲が再注目、Z世代に聴かれる | THE RIVER(2025年12月22日付)より

 

世界200以上の国や地域における主要デジタルプラットフォームのストリーミング/ダウンロードで構成されるGlobal 200では、最新1月31日付(集計期間:1月16~22日)でt.A.T.u.「All The Things She Said」が185→156位に上昇。2020年9月開始のチャートにて最高位を更新しています。さらに1月21日付Spotifyデイリーチャートではグローバルにて同曲最高の115位に到達し、世界20以上の国や地域でも200位以内に登場しています。

尤も、直後のSpotifyデイリーチャートではほぼすべての国や地域で後退。グローバルでは1月23日付(199位)を最後に200位以内から外れていましたが、直近となる1月30日付にて197位に再登場を果たしています。

Mystery Parrot (ミスパロ)さんによるXアカウントのつぶやきを勝手ながら紹介させていただきました(問題があれば削除いたします)。市長の配慮に感心すると共に、このような発信が『Heated Rivalry』の人気、そして「All The Things She Said」のヒットをさらに継続させるのではないでしょうか。

 

 

その『Heated Rivalry』が日本でいつ公開されるかが気になります。ハワード・チュアイオン氏がブルームバーグに寄稿したコラムではドラマ人気を女性ファンが支えていることを踏まえて日本でのBL(ボーイズラブ)人気を紹介しているゆえ、尚の事です。

「腐女子」に世界が追い付いた、北米でBLドラマ大人気 - ブルームバーグ日本版(1月25日付)

仮に日本でも放送されるならば、ドラマで使用されたt.A.T.u.「All The Things She Said」を認知の契機に用いて好いかもしれません。冒頭で述べたt.A.T.u.自身のイメージ問題はあるかもしれませんが、言い換えれば『ミュージックステーション』での問題発生前まで日本でのイメージはそこまで悪くなかったはず。過ち自体は大きかったとして、その問題をいつまでも許さず、またネタにすることはもう止めるべきと考えます。