最新10月29日公開分ビルボードジャパンソングチャートでは、2001年にリリースされたポルノグラフィティ「アゲハ蝶」が81位に上昇し、同曲における最高位を更新しています。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
ポルノグラフィティ「アゲハ蝶」については(追記あり) 新曲がアニメのオープニングに、過去曲がドラマ主題歌に起用…ポルノグラフィティのチャート動向を確認する(9月29日付)で一度採り上げましたが、主題歌に起用したドラマ『良いこと悪いこと』(日本テレビ)の開始に伴い総合100位圏内に。当週はカラオケ指標(CHART insightでは緑で表示)が過去最高の59位に上昇したのみならず、ストリーミング指標(青)も85位に浮上しており、長期ヒットが見込まれます。

ポルノグラフィティは「サウダージ」(2000)も、22週続けて100位以内にエントリー。今年度下半期以降のリカレントルール採用(総合100位以内に52週ランクインした曲にてその翌週以降にストリーミングの減算処理を実施)もプラスに作用していますが、「サウダージ」はストリーミング共々カラオケも安定し、ロングヒットに。年越し公演を行う彼らの『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)出場も、可能性はゼロではないでしょう。
過去曲がリバイバルヒットしている一方、ポルノグラフィティによる直近の作品がヒットしているというわけではないということが気になります。
今年は4月11日に「言伝-ことづて-」、10月4日に「THE REVO」をデジタルリリースしていますが、総合ソングチャートでは100位以内に登場していません。特にストリーミング指標の未加点(300位以内未達)は大きいといえます。


「THE REVO」はテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』(読売テレビ/日本テレビ)のオープニングテーマとして今月フィジカルリリースされ、またミュージックビデオ公開に伴い動画再生指標が直近にて加点されていることから、フィジカルセールス指標初加算のタイミングで総合100位以内に進出する可能性はあるかもしれませんが、何よりもストリーミング指標が加点されるかが重要と考えます。
過去曲がリバイバルヒットすることで歌手としても注目度が高まるというケースは他にもありますが、その勢いが直近のリリース曲に反映されるわけではないということはORANGE RANGEも同様です。「イケナイ太陽」(2007)がロングヒットしている一方で、今年リリースの3曲は動向が大きく異なります。




「イケナイ太陽」が新たなミュージックビデオの話題も相まってロングヒットしているのに対し、「マジで世界変えちゃう5秒前」、「裸足のチェッコリー」(デジタルのみリリース)および「トワノヒカリ」はいずれも総合ソングチャートで100位以内に登場していません。特にストリーミング指標は3曲いずれも未加点となっています。
ポルノグラフィティやORANGE RANGEのみならず、中堅以上のキャリアを誇る歌手の多くが現在も活動していますが、新曲をリリースしているならばその新曲にも光が当たることが大事でしょう。コアファンのチェックもさることながらライト層やグレーゾーンの方々が今の楽曲を知ることが大事であり、後者に気付いてもらうための歌手側の施策が重要に成ると考えます。
そして厳しい物言いと前置きして記すならば。"今のヒット曲はわからない/昔の曲に限る"などと吹聴する方は少なくありません。例えば『NHK紅白歌合戦』に対する市井やゴシップメディアの非難において、このスタンスから来ているものが散見されます。しかし、ヒット曲を輩出した歌手がより長く活動するためには新しい曲もヒットすることが重要と考えるに、まずは吹聴する方こそ新曲をチェックすべきというのが私見です。