米ビルボードによる最新10月11日付(集計期間:9月26日~10月2日)の米およびグローバルチャート(Global 200およびGlobal Excl. U.S.)では、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (原題:Kpop Demon Hunters)』サウンドトラックよりHUNTR/X(ハントリックス)(イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)「Golden」が米で通算8週目、ふたつのグローバルチャートでは共に12週目の首位を獲得しています。
注目したいのは、前週10月4日付における「Golden」のストリーミング指標(動画再生含む)の伸びです。米では前週比5%アップの3380万、Global 200では同18%アップの1億3200万、そしてGlobal Excl. U.S.では同23%アップの9980万を記録。米ビルボードの記事((追記あり)【海外ビルボード】HUNTR/X「Golden」が首位キープ、米津玄師「IRIS OUT」がふたつのグローバルチャートでトップ5入り(9月30日付)にて意訳版を掲載)では、Global 200にて同曲最高のストリーミング数を記録したことが紹介されています。
実は10月4日付(集計期間:9月19~25日)の米ビルボードアルバムチャートでは『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (原題:Kpop Demon Hunters)』サウンドトラックが2位をキープするも、ユニット数では前週比92.9%となっています。
米アルバムチャートはデジタルおよびフィジカルセールス、単曲ダウンロードのアルバム換算分(TEA)およびストリーミング(動画再生含む)のアルバム換算分(SEA)から成り、同作品はSEAの比率が高いのが特徴ながら最近では(主にフィジカル)セールスも寄与しているのですが、HUNTR/X(ハントリックス)(イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)「Golden」のストリーミング上昇が他の収録曲にもみられたならばユニット数は上昇したと考えるに、おそらくは「Golden」ばかりがブーストしたと捉えていいでしょう。
では、米ビルボードによる10月4日付米およびグローバルチャートでのHUNTR/X「Golden」の上昇要因は何かを探るに、冒頭で紹介した「Golden」の動画(ミュージックビデオ)がYouTubeで”今になって加点対象となった”ことが考えられます。
・YouTube music charts(2025年9月19~25日を集計対象とするグローバルの週間ミュージックビデオランキング)より
この加点については下記ポストにて教えていただきました(intra⭐popさんに心より感謝申し上げます)。
少し前から "KPOP DEMON HUNTERS" のOST曲がMVとして集計されるようになり、今週は "Golden" と "Your Idol" が加わって1位と6位に入っている。"IRIS OUT"の公開タイミングがグローバル基準だったら、前の週で5位以内に入った可能性が高い。
— intra⭐pop (@popperaspera) 2025年9月29日
曲としては以前から集計対象だったものの動画はMV扱いになってなかったようです。数週間に "Soda Pop" と "How It's Done"、次に "Golden" と "Your Idol" と、2曲ずつ段階的にランクインしました。意図した計画なのかYoutubeのシステム都合なのか、理由を知りたいところです。
— intra⭐pop (@popperaspera) 2025年10月1日
YouTubeの楽曲ランキングでは9月18日以前もランクインしていたHUNTR/X「Golden」ですが、ミュージックビデオはこれまで加算対象外となっていたとのこと。ミュージックビデオランキングのデイリーにおける初ランクインは9月20日付(→こちら)であることも踏まえるに、動画の新規加算が10月4日付米ビルボード各種チャートにおける「Golden」のストリーミング上昇に寄与したと考えていいでしょう。
動画が加算対象となったのは、その動画にISRC(国際標準レコーディングコード)が付番されるようになったゆえと考えます。ただ、ISRCが付番可能なのはYouTubeで”音楽パートナー”と位置付けられたチャンネルであり、テレビ局やテレビ番組、アニメーション制作会社等のチャンネルでは付番できないものと捉えていました(下記リンク先参照)。
冒頭で紹介したHUNTR/X「Golden」のミュージックビデオは”Sony Pictures Animation”のYouTubeアカウント発。さらには「Golden」同様にYouTube週間ミュージックビデオランキングでランクインするようになったHUNTR/X「How It's Done」や、サジャ・ボーイズ(アンドリュー・チェ、ネックウェヴ、ダニー・チャン、ケビン・ウー & サムイル・リー)「Soda Pop」「Your Idol」もまた、同チャンネルから公開されています(ランキングのリンク先を辿るといずれも同チャンネル発の各動画に遷移します)。
いずれの動画も公開日は6月下旬であり、後になってISRCが付番されたと捉えていいでしょう(ISRCは後からでも付番可能です)。ゆえに、これらミュージックビデオの公開元であるSony Pictures Animationチャンネルが”YouTubeにおける音楽パートナーと位置付けられるようになった”というのが現時点での自分の見方です。ともすれば動画人気を踏まえ、YouTube側が特例として付番を可能にしたのかもしれません。
仮にですが、YouTube側が特例ではない形でSony Pictures Animationを音楽パートナー化したならば、今後はテレビ局や番組、またアニメーション制作会社等のアカウントもISRCが付番できるようになるかもしれません。となれば、著作権等の権利問題、また音楽チャートへの高くない認識もあってか動画の貸与等制度が確立されていると言い難い日本で発信された動画も、その人気がチャートに反映されやすく成るものと考えます。
