ビルボードジャパンアルバムチャートにストリーミング指標が組み込まれた昨年最終週以降、このチャートでも長く聴かれることがヒットに欠かせなくなったと感じています。その点については、上半期チャート分析の際にも紹介しています。
ストリーミングを導入した結果、ストリーミングに強い作品、つまりは多く聴かれているアルバムが上位で安定するように。先程の表からは総合とストリーミングの順位がほぼ比例していることが読み取れるほか、このエントリーの最後で紹介する総合トップ20入り作品のCHART insightからは累計ポイントに占めるストリーミングの割合が大きいことが解ります。
ビルボードジャパンは下半期の集計期間初週である6月4日公開分以降、アルバムチャートのストリーミング指標においてリカレントルールを導入。Streaming Albumsチャート(後者は未公表)を指標化する際、総合100位以内に26週ランクインした作品に対し翌週以降減算処理を施します。これにより新たなヒット作品が可視化されていますが、今回紹介するiLiFE!『アイドルライフエクストラパック』(2025)はそのルール適用開始時以外でも上昇を果たしているのが興味深いところです。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
CHART insightではフィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青で表示。iLiFE!『アイドルライフエクストラパック』は配信のみで4月30日にリリースされ、初登場した5月7日公開分ではダウンロードが25位に入るも同指標の加点はその一度のみ。円グラフからも解るように、累計ポイントのほぼすべてがストリーミングとなっています。
さらに注目すべきは、リカレントルール導入週(5週目)にもiLiFE!『アイドルライフエクストラパック』はストリーミング指標が100位未満から70位へと上昇しながら、それより大きな上昇が生まれているという点。9月3日公開分において同作品のストリーミング指標は63→18位と急伸し、総合でも67→20位と推移しています。そして最新10月1日公開分にてストリーミング指標(15位)、総合(19位)共に最高位を更新した形です。
iLiFE!『アイドルライフエクストラパック』が大きく上昇した9月3日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートは、8月25~31日が集計期間となります。この週はiLiFE!にとって大きな出来事がいくつも生まれ、それがチャートにも反映されたといっていいでしょう。
iLiFE!は8月27日に初の日本武道館公演を開催していますが、その直前となる8月25日にメンバーの脱退、さらに翌日にはリーダー(当時)の降格等処分が発表されています。上記ライブレポートでは脱退するメンバーが途中まで参加したこと等が触れられており、ともすればコアファンにとってこの公演は複雑に映ったのかもしれません。
一方で脱退や処分等のアナウンスが武道館公演、そしてiLiFE!自体の注目度を(特にコアファン以外に対して)高めたのではと感じています。先述したアルバムの上昇に加えて、アルバムチャートとソングチャートを合算したトップアーティストチャートでは9月3日公開分にて93位に入り2023年1月18日公開分(総合86位)以来となる100位以内エントリーを果たすと、以降82→85→75→89位と推移。5週続けて100位以内に登場しています。

(上記CHART insightは直近60週分となります。)
なお、iLiFE!が初めてトップアーティストチャートで100位以内に登場した2023年1月18日公開分は、アルバム『アイライフスターターパック』がフィジカルセールス指標7位に初登場し(ダウンロードは前週100位未満ながらカウント対象に)、総合でも9位に登場したタイミングとなります。
言い換えれば、直近でのトップアーティストチャートにおける100位以内エントリーは、『アイドルライフエクストラパック』がフィジカルセールス指標未カウントながらストリーミングの強さがチャートインにつながったと捉えていいでしょう。なお『アイライフスターターパック』は今年9月3日公開分以降5週連続で、ストリーミング指標が100位未満ながら加点されています。
先月公開された若年層向けトレンド調査ではiLiFE!、そして「会いにKiTE!」がランクインしています。複数のバージョンが存在する同曲はビルボードジャパンソングチャートにおいて総合100位以内エントリーこそありませんが、動画再生が強いことがCHART insightから解り(同指標は赤で表示)、ともすればショート動画でより強さが目立つものと推測されます。さらには緑で表示されるカラオケも4週連続で300位以内に入っており、この点からも若年層への浸透を読み取ることができるかもしれません。
(上記は今年5月に公開された「会いにKiTE!」の”コール動画”。)

アルバム『アイドルライフエクストラパック』が上位で安定しているタイミングでその収録曲がソングチャートにも登場すれば、iLiFE!の注目度はさらに高まるかもしれません。今後のiLiFE!の動向に注目です。

