2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2025年9月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲も含め、エントリーの最後に掲載したSpotifyプレイリストでチェックしてください。
これまでの私的トップ10ソングス等についてはこちら。Spotifyを利用し、最新曲のみで構成されるプレイリスト(New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spin)を毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート等紹介の際、個人的な作品への思い入れを乗せないよう心掛けています。
10位 レオン・トーマス feat. マニー・ロング & マーシャ・アンブロウジアス(マーシャ・アンブロージアス)「Yes It Is」
「Mutt」のロングヒット、さらには制作に参加したシザ「Snooze」のグラミー賞受賞で今のR&Bに欠かせない存在となったレオン・トーマス。以前にリリースした曲のリミックス版には、「Made For Me」のヒットでR&Bファンを虜にしたマニー・ロング、そしてフロエトリーのマーシャ・アンブロウジアスを招いています。マーシャがフロエトリー時代の「Say Yes」の一節を歌っているのは、R&Bファンには嬉しい限りです。
9位 トゥイート「Toot Toot」
XがTwitterと呼ばれていた時代、この方の存在を思い出していたR&Bファンは少なくなかったはずです。2000年代前半から活動していた彼女による未発表作品の音源化となる今作(音楽評論家の林剛さんによるポストを参照→こちら)では、デビューして間もない頃を思わせる温かみをまとったR&Bに。とりわけタイトルに用いたフレーズは彼女の声の特徴が活き、良いアクセントになっています。
8位 ジュリア・マイケルズ「No Heartbreak's Killed Me Yet」
サブリナ・カーペンターの昨年作等多くの楽曲提供を行いメロディメイクに自信のあるジュリアの新曲は、AメロとBメロ、そしてサビへの橋渡しがあまりにもスムーズであり、その技に唸らされます。またレトロテイストなアレンジが、曲のさらなるスパイスに。
7位 コールドアウト・ミュージック「Adore You」
イギリスとナイジェリアの血を引くゴスペルシンガーの新曲。アフロビートをうっすらと弾き、暑くなりすぎないコーラスと爽やかなリズムをバックに歌われる曲は、ゴスペルと聞いて身構えかねない方も魅了すること間違いないでしょう。
6位 進藤雨日「D線上で踊れ」
岡山出身のシンガーによる作品。平井堅さんを想起させるファルセット使い、コーラスがゴスペル的ではありながら曲のテーマが死生観という良い意味での矛盾が癖になる作品に。「いてこませ」という表現もピッタリハマっています。
5位 CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN「ハイヤー」
日本のコミックバンド、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINによる新曲はアレンジの良い意味でのストレンジさが目立ちながらも、前向きになることで道が切り拓けると謳った作品に。ともすれば説教臭くなりかねない楽曲テーマを、語尾の”さっさ”というフレーズや歌声の軽やかさ等で覆っているのもポイント。
4位 レディー・レイ「Higher」
元々はニコル・レイとして1990年代後半から活動していたR&B歌手の最新作に収録。音の曇らせ方が特徴的ながらも80年代と違ったミックスがタイムレスな空間を作り、その中で優雅に舞うレイの歌声が見事。ジャケットから感じられるサイケデリックさも、タイムレスな世界観を築く一要素といえそうです。
3位 JD & リード with ジョージ・ライリー「Outside」
BPMは速めながらも、核になるリズムが時報のように刻まれることで複数のリズムが生まれ、心地よさが倍増。2番におけるメロディの良い意味での起伏の激しさ、1番でホール & オーツ「I Can't Go For That」的なメロディラインを用いる点も含め、魅せ方がとても巧いですね。
2位 マライア・キャリー feat. アンダーソン・パーク「Play This Song」
アンダーソン・パークを迎え、まさに(彼がブルーノ・マーズと組んだ)シルク・ソニックを彷彿とさせるナンバー。マライアのパートは起伏が少ないために彼女の歌声を聴きたいという方には少し物足りないかもしれません。それでも個人的には、シルク・ソニック的なサウンドとマライアの相性がとても好いのではと感じています。
1位 ロシェル・ジョーダン「The Boy」
8月には日本のプロデューサーであるInitial Talkを制作に迎えた「Doing It Too」をリリースしたばかりのロシェルによる新曲はケイトラナダによるプロデュース。ハウスアプローチのR&Bは音の溜めと疾走感、ボーカルの軽さと力強さが絶妙なバランスであり、曲の華やかさをさらに高めています。
以下、次点として10曲。
・さらさ「青い太陽」・アクロス・バウンダリーズ「Sakura」
・88ライジング & ミカ「Butterflies」
・エルミーン「Damage Control」
・ジャスティン・ビーバー「Speed Demon」
・ケンジ feat. ナリ「Loose」
・ローラ・ヤング「Post Sex Clarity」
・マーカス・キング feat. ノア・サイラス「The Shadows」
・トーマス・ウン「Lonely Nights」
さらさ「青い太陽」は美しい、且つミステリアスなR&B的アレンジが映える作品に。Aメロのメロディラインが秀逸と感じる一方、サビのメロディと大きく乖離するところに少しの引っかかりを覚えたのですが、ラスサビ後に登場する新たなメロディがこれまた美しく、今後彼女が紡ぐメロディに注目しています。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。