イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ロングヒット中のBE:FIRST「夢中」、一方で未だ加点されていない指標から考えることについて

最新9月24日公開分ビルボードジャパンソングチャートで「空」が2位にランクインしたBE:FIRST。一方でデジタル先行解禁されフィジカルシングル「GRIT」に収められた(フィジカルセールス指標加算対象外の)「夢中」が当週27位に入り、22週目のエントリーを果たしています。

(上記動画は「夢中」の”Recording Video”。)

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なお、ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)

ビルボードジャパンソングチャートにおいてBE:FIRST「夢中」は週間最高7位、総合トップ10入りは4週となっています。フィジカルシングル表題曲等が上位進出を果たす中にあって「夢中」のインパクトは強くないかもしれませんが、総合100位以内エントリーにおいて「夢中」は「Bye-Good-Bye」(2022)に次ぐ記録となっており、ロングヒットしていることが解ります。

(上記はBE:FIRST | Artist | Billboard JAPANより。なお最高7位を記録した作品には他に「Kick Start」(2021)および「Glorious」(2023)が存在します。)

さらに、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでも「夢中」は100位以内に22週登場し、「Bye-Good-Bye」(28週)共々ロングヒットに至っています。ストリーミングの好調を踏まえれば同じ接触指標である動画再生(CHART insightでは赤で表示)も本来はキープ可能であると考えるに、「夢中」のミュージックビデオを今からでも制作することでロングヒットのさらなる支えになるかもしれません。

 

 

好調を維持する「夢中」ですが、ひとつ気になることが。それは現時点までにカラオケ指標(CHART insightでは緑で表示)が300位以内に一度も入らず加点されていないという点。もっといえばソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートにおいて、BE:FIRSTが初ランクイン以降一度もこの指標を獲得できていないことが累計ポイント構成比から解ります。この点についてはHANAの強さが際立ちます。

(上記は2組における直近11週分の、トップアーティストチャートのCHART insight。)

「夢中」はテレビドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ)の主題歌であり、さらにこのドラマが高い評価を得ていることを踏まえれば(下記リンク先参照)、ドラマファンながらBE:FIRSTのコアファンではない方の支持を得られたことも同曲がロングヒットする一因といえるでしょう。その一方で、ともすればドラマの支持層が女性主体となっているだろうことがカラオケ週間300位未達の背景にあるのかもしれません。

男性アイドルやダンスボーカルグループは女性歌手以上に同性へのリーチが強くないのかもしれず、その点の克服がひとつの課題といえるでしょう。また仮にですが、STARGLOWを輩出したBMSGのオーディション”THE LAST PIECE”にて課題曲に「夢中」が用いられていたならば、BE:FIRSTを生んだオーディションで課題曲となったDa-iCECITRUS」がカラオケ人気を獲得したような流れが生まれたかもしれません。

 

 

最後に。「夢中」がロングヒットを続ける点から、BE:FIRSTのコアファンが望むタイプの曲が見えてくるのではとあらためて感じています。以前記した内容を再掲します。

日本のSpotifyデイリーチャートにおいてはStationheadを用いたリスニングパーティの影響力上昇に伴い、新曲リリース時に過去曲も聴取するという流れが高まっています(同じ曲を繰り返し聴いた場合はすべてカウントされない(模様である)という仕様も聴取行動に影響していると耳にします)。BE:FIRSTにおいては、「GRIT」に沿う形で上昇したのが「Boom Boom Back」となります。

(中略)

新曲リリース時に過去曲も聴取するという流れはライト層以上にファンダムで起こると考えるに、ファンダムもまたキャッチーな作品をより強く求めているのではと感じた次第。5月25日付以降のSpotifyデイリーチャートではこれまでのフィジカルシングル表題曲でアグレッシブなヒップホップ作品の「Mainstream」「Masterplan」「Spacecraft」が200位以内に返り咲いていないことから、この推測が成り立つのではと考えます。

 

ドラマ主題歌という位置付けもさることながら「夢中」がロングヒットに至りつつあるのは、「Boom Boom Back」の人気も踏まえれば尚の事、曲の持つキャッチーさやポップネスがファンダムのニーズにより強く合致していることが背景にあるかもしれません。

 

BE:FIRSTは「Mainstream」以降、フィジカルシングル表題曲にアグレッシブなヒップホップを用意してきました。今月リリースの「空」はこれまでの表題曲と比べてチャート動向が強くないといえることもあり(最新ソングチャートでBE:FIRST「空」が日向坂46「お願いバッハ!」を上回った要因、および気になる点について(9月26日付)参照)、彼らのヒップホップアプローチは浸透したと捉えていいのかもしれません。

それでも6月のエントリーで紹介したSpotifyデイリーチャート動向を踏まえれば、コアファン(特に音楽チャートでの上位進出を望む方)にはアグレッシブなヒップホップ以上にキャッチーなサウンド(ヒップホップ含む)をより好むという傾向がみえてきます。「夢中」がその流れに合致したのならば、歌手側がそのジャンルについても重視していくことが必要かもしれません。