このブログでは『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と記載)についての予想を行っています。特に若手においてはビルボードジャパンによるソングチャートやトップアーティストチャートの動向が大きく影響するのですが、今年はここ数年の出場歌手傾向と異なる動きが出てくるのではと捉えています。
⑥ 上半期最大トレンド曲「イイじゃん」でM!LKは初出場を果たすか
(中略)
仮に「イイじゃん」でM!LKの紅白初出場が決定すれば、ショート動画人気がビルボードジャパンの各種チャートを(良い意味で)凌駕するという新たな出場基準が生まれると言っても過言ではないはずです。さらにはビルボードジャパンがショート動画の取扱をより重視するようになるのではないでしょうか。
6月の紅白出場歌手予想ではM!LKを採り上げましたが、「イイじゃん」のチャート動向については後日あらためて分析しています。
ビルボードジャパンソングチャートでは決してヒットしたとは言い難い「イイじゃん」ですが、NHKでの実績(『うたコン』(NHK総合)での披露やメンバーの佐野勇斗さんの同局ドラマ出演)も加味すれば可能性は高いかもしれません。そして今年の紅白では、社会現象を巻き起こした作品の関連曲が、チャート上ではヒットしているわけではないものの、しかし披露に至る可能性が考えられます。その共通点が”グローバル”です。
<『NHK紅白歌合戦』での披露が考えられる曲について>
LiSA「残酷な夜に輝け」およびAimer「太陽が昇らない世界」
まずは映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』における主題歌2作品について。
劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来、公開45日間で観客動員2110万2792人(興行収入299億8348万3800円)と大変多くの方にご鑑賞頂き心より御礼申し上げます。
— 鬼滅の刃公式 (@kimetsu_off) 2025年9月1日
日々のご来場に、上映を続けて頂ける事に、1つ1つのすべてに深く感謝致します。#鬼滅の刃 #無限城編 pic.twitter.com/Q1OmkrhwqL
歴代興行収入ランキングでは現時点で3位に到達した同作品ですが、2曲の映画主題歌は映画同様に大ヒットしているとは言い難い状況です。


(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
最新9月3日公開分ビルボードジャパンソングチャートではLiSA「残酷な夜に輝け」が11位、Aimer「太陽が昇らない世界」が26位にランクイン。フィジカルセールス指標初加算時に2曲ともトップ10入りを果たしていますが、そのトップ10入りは「残酷な夜に輝け」が4週、「太陽が昇らない世界」に至っては1週にとどまり、「紅蓮華」「炎」「残響散歌」といった2組による『鬼滅の刃』関連曲に比べてヒット規模には乖離があります。
#NHK_MUSICGIFT ありがとうございました。
— LiSA (@LiSA_OLiVE) 2025年8月9日
物語りの始まりの曲 #紅蓮華 と最新映画の #無限城編 の #残酷な夜に輝け へ。
会場の皆様とテレビの前のアナタにめきめきパワーをもらって、バンドメンバーと、#鬼滅の刃 スペシャルな映像と共にお届けしました。… pic.twitter.com/Vq9oycNMwm
LiSA「残酷な夜に輝け」は今夏放送された紅白の夏版ともいえる『MUSIC GIFT 2025 ~あなたに贈ろう 希望の歌~』(NHK総合 )で披露されています。その際『鬼滅の刃』も映像提供の形で協力していることから、紅白においても披露されれば、大ヒット映画とのコラボ映像が登場することでしょう。紅白は海外でも確認できることから、海外の映画動員数増加にもつながるかもしれません。
原摩利彦 feat. 井口理「Luminance」
日本国内の興行収入は124億円を突破する記録的な大ヒットとなっており、第98回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表作品にも選出されている。

邦画実写映画では歴代2位の興行収入に躍り出た『国宝』は、来年の米アカデミー賞で日本代表に選ばれ、また北米公開も決定していることから来年に向けても施策が組まれるでしょう。そのステップアップの場としても世界で放送される紅白は大きな意味を持つとみられます。
その『国宝』主題歌である原摩利彦 feat. 井口理「Luminance」は現時点でビルボードジャパンソングチャート100位以内に一度も入っていませんが、8月30日土曜にミュージックビデオが公開されるとその翌日までを集計期間とする9月3日公開分総合チャートでは動画再生指標が初めて加点されています。映画のシーンを織り込んだことも影響しているとみられますが、ダウンロード数の推移からもニーズの大きさが読み取れます。
@usj_official 【ゾンビ・デ・ダンス】 振り付け動画初公開💥 覚えて踊って!#SOBADゾンビデダンス で動画を投稿しよう! King Gnu👑🐃 「SO BAD」に合わせてゾンビになりきり、我を忘れて踊り狂え‼ #USJ #USJハロウィーン #ゾンビデダンス #KingGnu #SOBAD ♬ SO BAD - 最悪で最高Ver.- - King Gnu
井口理さんが所属するKing Gnuは9月5日金曜に新曲「SO BAD」をリリースしますが、TikTokやInstagramでは音源の一部が先行解禁。この『ハロウィンイベント「ハロウィーン・ホラー・ナイト」の「ゾンビ・デ・ダンス」のテーマソング』(上記記事より)では一昨年および昨年用いられたAdo「唱」の大ヒットが記憶に新しく、仮に「SO BAD」がヒットすれば紅白で井口理さんが2曲披露する可能性も考えられます。
BABYMETAL『METAL FORTH』収録曲
BABYMETAL『METAL FORTH』が先月、米ビルボードアルバムチャートにおいて日本人のみで構成されるグループとして初のトップ10入りを果たしています。
一方で『METAL FORTH』は翌週米チャートで200位から後退し、またビルボードジャパンアルバムチャートではトップ10入りを果たしていません。

ただし日本でのトップ10未達については日本の音楽チャートが金曜を集計開始日としていることも影響していると考え、このブログにて随時改善提案を記しています。それでも日本の歌手の記録達成を紹介し、さらには日本の多様な音楽ジャンルを訴求する意味でも、BABYMETALの出場はあり得るのではないでしょうか。複数の歌手が毎年出場しているアミューズに所属しているという点においても可能性は高いものと思われます。
TWICE「Strategy」
上記3項目(4組)に共通しているのは、日本の音楽やタイアップ先の映像作品が世界で活躍している(もしくはその見込である)ということ。一方で今年は『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (原題:Kpop Demon Hunters)』が世界を席巻し、Netflix発映画として過去最大の視聴者数を獲得したのみならず、米ビルボードによる米やグローバルのソングチャートでは複数曲がトップ10を占めています。
<アルバムCHART insight>

イジェ、オードリー・ヌナそしてレイ・アミが歌唱キャストを務めるHUNTR/X(ハントリックス)の「Golden」は、最新9月3日公開分のビルボードジャパンソングチャートで遂にトップ20入りを果たしており、トップ10に到達する可能性も十分です。しかしながら日本での『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』人気は海外ほど高くないといえるかもしれません。
ならば、既発曲ながらサウンドトラックに収録されたTWICE「Strategy」を披露するのはどうでしょう。昨年12月にリリースされたミニアルバムのタイトル曲はTWICE単独版とミーガン・ザ・スタリオン参加版が用意され、ミュージックビデオは客演有りのバージョンが制作されています。またTWICEは、グループ内の日本人メンバーのみで構成されたMISAMOも含めれば過去6回紅白に出場しています。


ビルボードジャパンソングチャートではミーガン・ザ・スタリオン参加版よりもTWICE単独のオリジナルバージョンのほうがロングヒットし、最新9月3日公開分公開分でも動画再生指標が加算されています。これはおそらく『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』を用いたリリックビデオの公開も寄与しているものと思われます。
ビルボードジャパンソングチャートにおける「Strategy」の最高位はオリジナルバージョンが43位、ミーガン・ザ・スタリオン参加版は57位と高くはありませんが、最新9月6日付米ビルボードソングチャートでは51位に上昇し、同曲最高位を更新しています。この勢いを紅白で示すことができれば面白いかもしれません。
おわりに
今回の紅白出場歌手についての予想(もしくは提案内容と呼べるもの)が叶えば、紅白の国際化、もっといえば(紅白が世界で視聴可能であることを踏まえ)日本のエンタテインメントのグローバル化が進むのではと感じています。さらにそれを後押しするのがYouTubeでの展開と考えれば、他の音楽番組に勝りながらも1週間程度で消去されるこれまでの流れが改善されることを強く願うばかりです。
そしてビルボードジャパンに対しても、今の音楽チャートが流行を反映しているか常に自問自答するよう、今一度提案します。原摩利彦 feat. 井口理「Luminance」やHUNTR/X「Golden」は、ソングチャートの構成指標ではないものの動画再生やストリーミングに影響を与えるといわれるUGC(ユーザー生成コンテンツ)人気が高い曲ゆえ、たとえば公式短尺動画の採用について議論することが必要かもしれません。