イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

史上初となるSpotify50億回再生を記録した「Blinding Lights」…そのヒットから「Shape Of You」を想起した件

日本時間の今月1日、ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」がSpotify史上初めて50億回再生を突破したことが発表されました。

ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」は2020年3月にリリースされたアルバム『After Hours』からの先行曲として前年11月にリリース。上記記事ではこの曲の様々な記録達成について触れられています。

 

さて、この曲の次に再生回数が多いのはエド・シーラン「Shape Of You」(2017)であることがSpotify Daily Chart Totals - Global - Kworb.netにて確認できます。それでもザ・ウィークエンド「Blinding Lights」とは現時点でおよそ10億回も離れてはいるのですが、以前「Shape Of You」の人気の理由に触れた者として、「Shape Of You」と「Blinding Lights」は人気の理由に共通点が多いのではと感じています。

 

 

弊ブログでは2019年5月、『エドシーラン、どこでそんなに聴かれているの?問題』に対して自分なりの回答をまとめました。

① ミュージックビデオが面白く、再生回数を増やしている

② ストリーミングのプレイリストに多数引用されている

③ 曲調がジャンルレスであり使い勝手が好い

④ 日本のソングスチャートにはアメリカにおける”消える”ルールが存在せず、ヒットが可視化されている

 

(ブログエントリーより4つの要点を抜粋しています。)

 

この4つのうち②を除き、そして拡大解釈が許されるならば、エド・シーラン「Shape Of You」の日本でのロングヒットはザ・ウィークエンド「Blinding Lights」における世界のSpotifでのヒットにも当てはまるのではないのかというのが私見です。

 

まずは①の”ミュージックビデオが面白く、再生回数を増やしている”について。実はブログ執筆時点で、ミュージックビデオの再生回数はザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が9億6千万回に対しエド・シーラン「Shape Of You」は65億5千万回と7倍近くに達しています。また後者がコミカル、前者がホラー的(もしくは狂気じみた)という違いはあれど、ドラマ的な展開をなぞるのは共通しているといえます。

 

次いで③の”曲調がジャンルレスであり使い勝手が好い”ですが、英語版Wikipediaで2曲のジャンルを調べると、 ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」はシンセポップ、エレクトロポップ、ニューウェーブそしてシンセウェーブと記載(Wikipediaこちら)されているのに対し、エド・シーラン「Shape Of You」ではポップ、ダンスホールおよびトロピカルハウスと紹介されています(Wikipediaこちら)。

ひとつのジャンルに囚われないことで、たとえばフリースタイルラップのオケにしやすい等使い勝手が好い、また聴きやすいこと等が人気の一因ではと捉えています。さらにいえばザ・ウィークエンドはR&Bエド・シーランは(フォーク)ロックが大元のジャンルであり、大ヒットした2曲は歌手の元々のジャンルを越えて作られた作品ゆえ、各ジャンルのコアファンにも支持されたのかもしれません。

ちなみにザ・ウィークエンドはSpotifyの”Billions Club”(Spotifyでの再生回数が10億回を超えた曲)にて最多となる28曲を送り込んでいますが、歴代再生回数は「Blinding Lights」、エド・シーラン「Shape Of You」に続き、ザ・ウィークエンドがダフト・パンクを迎えた「Starboy」(2016)が続きます。エレクトロポップに挑戦したこの曲のヒットを踏まえ、3年後に「Blinding Lights」を制作した可能性も考えられます。

 

さて、エド・シーラン「Shape Of You」が日本でヒットした理由として④”日本のソングスチャートにはアメリカにおける”消える”ルールが存在せず、ヒットが可視化されている”ことを挙げました。他方、複合指標から成る米ビルボードソングチャートではリカレントルールが存在しますが、ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」はその米ソングチャートで当時史上最長となる90週エントリーを達成しています。

そして、米ビルボードソングチャートのストリーミング指標にデータを提供するSpotifyにおいてはリカレントルールが存在しません。さらにはサブスク時代にあって旧譜の再ヒットが生まれやすくなったことも、「Blinding Lights」への追い風に成ったといえるでしょう。実際、The Weeknd - Blinding Lights - Spotify Chart History - Kworb.netをみると、グローバルでの週間チャートでも未だ100位前後を走行中であることが解ります。

(なお、エド・シーラン「Shape Of You」のKworb.netによるSpotifyデータはこちら。この曲においても最近は100位以内を推移しています。)

 

 

やや強引かもしれませんが、エド・シーラン「Shape Of You」のヒットを分析した者として、ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」にもヒットの共通項があると考え、今回記しました。なお「Shape Of You」を採り上げたエントリー、をはてなブックマーク(→こちら)にて音楽ジャーナリストの柴那典さんが採り上げてくださっています。これがエントリー連日公開の動機のひとつとなっていることを、最後に記したいと思います。