ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標において、最近は男性アイドルやダンスボーカルグループを主体に新曲リリース週の施策が目立ちます。ゲスト出演のみならず、帯や定期放送枠の番組ないしコーナーを中心とするオンエアが総合ソングチャートにも影響することは、最新チャートにおけるNumber_i「未確認領域」の総合首位獲得からもみえてきます。
加えて、多くのラジオ局ではFMを主体に月間もしくは上旬および下旬という形でパワープレイを用意しています。放送局によってヘビーローテーション等呼び方は様々ですが、以前TREASURE「YELLOW」のラジオ指標における動向を採り上げた際、一部の局でパワープレイが行われた可能性、そしてその後の推移を踏まえたこの指標独特の特徴について紹介しています。
interfmでは4月7日以降、TREASURE「YELLOW」のOAがありません。OA先が他局に移行した可能性もありますが、同日を集計期間初日とする4月16日公開分ビルボードジャパンソングチャートにて「YELLOW」のラジオ指標が300位圏外となり未加算となったならば、施策効果は限定的と言わざるを得ないでしょう。TREASURE「YELLOW」の次回のチャート結果を注視する必要があります。
上記エントリーを掲載した翌週のチャートでは「YELLOW」のラジオ指標が300位未満に急落しています((追記あり) 前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年4月16日公開分)(4月19日付参照)。ラジオ施策が他指標に波及しなかったこと、そしてパワープレイの影響力が限定的であることを読み取れるといえるかもしれません。
そしてパワープレイ後の急落については、先月ラジオ指標が人気だった曲からも確認できます。
<7月のビルボードジャパンソングチャート ラジオ指標に強い曲の推移>
※ CHART insightではラジオ指標は黄緑で表示。
※ 選出の条件
・7月9日公開分(集計期間:6月30日~7月6日)から8月6日公開分(集計期間:7月28日~8月3日)において、ラジオ指標20位以内に3週以上在籍した曲を抽出。
・7月9日公開分よりも前にエントリーしている曲を含みます。ただし同日公開分より前に一度でもラジオ指標で20位以内に入った曲は除きます。
・7月23日公開分(集計期間:7月14~20日)におけるラジオ指標の上位順に掲載しています。
・アレックス・ウォーレン「Ordinary」
・Kroi「Method」
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・カトリエル & パコ・アモロソ「Dumbai」
・ONE OR EIGHT「365」
・HANA「Blue Jeans」
・BLACKPINK「JUMP」
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・Furui Riho「Hello」
・あいみょん「いちについて」
・TWS「はじめまして」
7月にラジオ指標で人気だった曲は、8月にもヒットが継続しているか否かで二分されます。特にONE OR EIGHT「365」やTWS「はじめまして」のラジオ指標における急失速は特筆すべきであり、7月分を集計期間に一切含まない8月13日公開分(集計期間:8月4~10日)において前者ではラジオ指標が加点されるも300位未満となり、後者では加点自体なされていません。
8人組ボーイズグループ・ONE OR EIGHTの新曲「365」(読み:スリー・シックスティ・ファイブ)が、日本各地・全国28局のラジオ局でプッシュ曲(パワープレイ)に選出された。
(中略)
▼6/18(水)配信リリース「365」
ONE OR EIGHT「365」は6月18日リリースながら、ラジオ局ではそのほとんどで7月度のパワープレイに選出されています。7月2日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:6月23~29日)の段階でもラジオ指標13位を獲得していた同曲ですが、その後5週連続で同指標トップ10入りを果たしている状況からは、ラジオ局でのパワープレイ選出がラジオ指標加点に大きくつながることが読み取れます。
この動向は、カトリエル & パコ・アモロソ「Dumbai」においても同様といえます。
昨年4月にリリースされていた「Dumbai」は、先月フィジカルリリースされた『Papota』にボーナストラックとして収録されたことでプロモーション強化に至ったことが、今年7月9日公開分での初ランクインから見て取れます。実際、メディア | カトリエル&パコ・アモロソ | ソニーミュージックオフィシャルサイトからは複数のパワープレイ選出が確認できます。
国内盤リリース(世界初CD化作品とのこと)もさることながら、先月開催されたフジロックフェスティバルへの出演もラジオ人気の要因と考えますが、一方でONE OR EIGHT「365」等と同じくラジオ以外へ人気が波及しているとは言い難い状況です。8月に入ってもラジオで支持を集めるHANA「Blue Jeans」やBLACKPINK「JUMP」は他指標の支持も大きく、総合ソングチャートでヒットが継続しています。
今回のエントリー記載を経て、ラジオ局において"リリース直後の曲を自発的にレコメンドする"、"国内盤が登場しなくとも良い曲ならば自主的に推薦する"という姿勢が強くないのではと捉えています。弊ブログでは以前、オンエアリストをサブスクサービスでプレイリスト化しストリーミングヒットに至らせることの必要性を説いていますが、実行しても効果は薄いのではと感じた次第です。
上記改善提案ではラジオ指標のカウント対象局拡大と、そもそもこの指標の廃止検討について記しています。カウント対象局拡大はこの指標が総合ソングチャートに近づくものと踏まえての提案でしたが、一方でパワープレイ終了時の急落が今以上に目立つ可能性は高く、対象局拡大という提案は好ましくないと考えるに至っています。
(なおビルボードジャパンへの提案については、2026年度各種チャートの開始前に再度掲載予定です。)
ラジオ指標廃止の提案は、業界関係者から不満を抱かれかねないでしょう。しかしレコード会社や男性アイドル/ダンスボーカルグループを主体とする(チャート)施策が大きく反映されるオンエア傾向から、"放送局がプライドを持って真に届けたい曲は見えづらい"という現状を危惧しています。音楽番組や専門DJが減っていることもあり尚の事、ラジオ業界のプライド復活を切望するゆえの提案であることをご理解ください。そしてパワープレイ自体が必要か否か、根本の部分を議論することが重要ではないでしょうか。






