現地時間の8月17日日曜に発表された最新8月23日付米ビルボードソングチャート(集計期間:8月8~14日)ではモーガン・ウォーレン『I'm The Problem』が首位、『Kpop Demon Hunters (邦題:KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ)』サウンドトラックが2位をそれぞれキープ。後者は初登場以降7週連続でユニット数が上昇し、前者との差を2万2千ユニットまで縮めています。
そして当週、BABYMETAL『METAL FORTH』が9位に初登場。BABYMETALにおける米ビルボードアルバムチャートのトップ10入りは今回が初となります。
米ビルボードによる記事はこちら。BABYMETAL『METAL FORTH』の記載箇所を抜粋します。
BABYMETAL scores its first top 10 album on the Billboard 200 as METAL FORTH debuts at No. 9 with 36,000 equivalent album units earned — the act’s best week by units. Of that sum, album sales comprise 33,500 (the act’s best sales week ever; it debuts at No. 2 on Top Album Sales), SEA units comprise 2,500 (equaling 3.28 million on-demand official streams of its songs) and TEA units comprise a negligible sum.
(BABYMETALが米ビルボードアルバムチャートで初のトップ10入り。『METAL FORTH』はグループにとって週間最高ユニット数となる36,000を記録し、9位に初登場を果たしています。内訳はアルバムセールスが33,500(グループ最大の週間販売数となりアルバムセールスチャート2位初登場)、ストリーミングのアルバム換算分(SEA)が2,500(楽曲のオンデマンド公式ストリーミングは328万回相当)、単曲ダウンロードのアルバム換算分(TEA)がごくわずかとなっています。)
METAL FORTH’s first-week sales got a boost from its availability across 15 vinyl variants (including two signed editions), six CD editions (five signed), two deluxe CD boxed sets (one of which was signed, both containing branded merch and a copy of the CD), three cassettes, a widely available standard digital download album and three deluxe expanded digital download albums (each with two different bonus tracks, exclusive to the band’s webstore).
(『METAL FORTH』では15種類のレコード(うち2種類はサイン入り)、6種類のCD(うち5つはサイン入り)、2種類のデラックスCDボックスセット(うち1つはサイン入り、また2つ共にブランドグッズが同梱)、3種類のカセット、広く入手可能なデジタルダウンロード(スタンダード版)および3種類のデラックスダウンロード版(それぞれ2つの異なるボーナストラックを追加し、バンドの公式ストア限定で発売)がリリースされ、売上数を後押ししています。)
Morgan Wallen’s ‘I’m the Problem’ Hits 11 Weeks at No. 1 on Billboard 200https://t.co/eqtY36VIp1
— billboard (@billboard) 2025年8月17日
(※ ()内はDeepL翻訳を用いた上で、意訳しています。)
BABYMETALにおける米ビルボードアルバムチャートのこれまでの最高位は、『METAL GALAXY』が2019年10月26日付にて記録した13位でした。
『METAL GALAXY』の初動ユニット数は28,000となり、そのうちの27,000がアルバム売上枚数だった。ちなみに、前作『METAL RESISTANCE』は39位に初登場しており、これが今までの自己最高位だったので、今作で大きく記録を更新した形となる。
1969年に坂本九が記録した14位を56年ぶりに上回り、日本人女性アーティストとしては史上初の偉業達成となった。
日本の歌手による米ビルボードアルバムチャートランクイン一覧はチャートインした日本人アーティスト - Billboard 200 - Wikipediaに掲載。BABYMETAL『METAL GALAXY』のランクイン以降は日本人をメンバーに含むK-POP歌手の作品が多数ランクインし、たとえばTWICE『With You-th』(2024)はチャートを制していますが、日本人のみで構成される女性グループによる作品では、BABYMETALの今作が最高位を更新しています。
さて、BABYMETAL『METAL FORTH』における今後の注目点は、この作品がロングヒットするかどうかにあると捉えています。
米ビルボードアルバムチャートはデジタルおよびフィジカルセールス、ストリーミング(動画再生含む)のアルバム換算分(SEA)、および単曲ダウンロードのアルバム換算分(TEA)で構成。全体に占めるSEAの割合が大きいほどロングヒットする一方、フィジカルセールスの割合が大きい作品は上位初登場を果たすも翌週に急落することが少なくありません。その傾向は、昨年度以降週間2位以内に入った作品の翌週動向からみえてきます。


ユニット数全体に占めるフィジカルセールスの割合が大きいジャンルのひとつがK-POPであり、たとえば『Kpop Demon Hunters』サウンドトラックの前に2位を記録したATEEZ『GOLDEN HOUR :Part.3』(6月28日付)の動向が象徴的といえるでしょう。
『GOLDEN HOUR : Part.3』が初週で記録したユニット数は105,000で、その内訳はアルバム・セールスが101,000(アルバム・セールス・チャートで1位)、ストリーミングによるアルバム換算ユニットは3,000(全5曲で407万回)、トラックによる換算ユニットは500をそれぞれ獲得した。
高セールスを記録したCDは、同一音源でそれぞれ特典、パッケージの異なる全12種類がリリースされている。
【米ビルボード・アルバム・チャート】モーガン・ウォーレン5週連続首位、ATEEZが通算7作目のトップ10入りを果たす https://t.co/g0nHoifSOl
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年6月23日
米ビルボードの記事(→こちら)からは、『GOLDEN HOUR :Part.3』にてフィジカルの一部にサインが施され、また特典がランダムで封入されていることが解ります。このような施策はフィジカルセールスを伸ばす一方、SEAが強くなければ登場2週目の急落を招きかねません。
SEAの強さ(獲得ユニット数自体や全体ユニット数に占める割合)がロングヒットにつながることは、モーガン・ウォーレン『I'm The Problem』や『Kpop Demon Hunters』サウンドトラックの動向からよく解ります。BABYMETALは前作『METAL GALAXY』が13位初登場の翌週に200位未満へ後退しており、『METAL FORTH』がどのように推移するかを注視する必要があります。
尤もK-POPのみならずロック等においても、所有指標が強い一方で接触指標が伴わないことが少なくなく、BABYMETALにおいても同様かもしれません。ならば米ビルボードアルバムチャートにてキャリア初のトップ10入りを果たしたことを歌手および作品の訴求材料として用い、まずは聴いてもらう、そして気に入ったならば購入を促すよう働きかけることがより好いでしょう。
そして今回の記録達成は、日本の歌手が米ビルボードアルバムチャートにて実績を上げる際の好事例になったといえるでしょう。なおBABYMETALにおいてはアルバムリリース直前のライブツアー(スケジュールはこちら)等、現地での活動を着実に行っており、今回の9位到達はその賜物ともいえます。ゆえに、ライブ活動とセールス施策の両面を徹底し、その上でストリーミングを強くしていくことが最善ではないでしょうか。