イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

新たな音楽特番『MUSIC GIFT 2025 ~あなたに贈ろう 希望の歌~』から、今年の『NHK紅白歌合戦』を想起する

昨日、NHK総合にて『MUSIC GIFT 2025 ~あなたに贈ろう 希望の歌~』が放送されました。この番組がいわば"夏の紅白"と感じたことについて、今回綴ります。

(なお以下において、今回の番組名を"MUSIC GIFT"、『NHK紅白歌合戦』を"紅白"と記します。)

MUSIC GIFTは今年初めて放送される番組。途中1時間強のニュースを挟み、19時30分から22時50分までの長尺で放送されていました。このスタイルは同じく今年第1回を放送したMUSIC AWARDS JAPANに似ていますが(NHKのページはこちら)、この新たな音楽特番をブログエントリー冒頭にて"夏の紅白"と感じた理由はこちらです。

・Xアカウント(@nhk_kouhaku)より。キャプチャは上がこちら、下がこちらから確認可能。MUSIC GIFTが紅白アカウントを期間限定で用いていることを紹介するためにキャプチャしています(問題があれば削除いたします)。

 

MUSIC GIFTは紅白のXアカウントを期間限定で拝借しているのみならず、たとえばこのような取組も紅白を思わせるに十分です。

YouTubeアカウント(@nhk_music)より。キャプチャは8月10日午前4時09分時点での動画一覧(→こちら)となります。

Xにおいてもパフォーマンス動画を短尺で掲載した上で、NHKプラスにてフルバージョン視聴可能であることを訴求しています(なお番組内にて10月開始のNHK ONEについて紹介しています→こちら)。昨年の紅白でも番組放送中にパフォーマンス映像を続々とYouTubeやXにて公開し、またMUSIC AWARDS JAPANを放送する旨を番組内で紹介していました。

 

 

さて、MUSIC GIFTが紅白っぽいと感じたのは、その人選も関わっています。

連続テレビ小説『あんぱん』のスペシャルステージ、また冒頭での「上を向いて歩こう」を除けば、MISIAさんと福山雅治さんが2曲ずつパフォーマンスを披露しています。この2組は昨年まで5年続けて紅白の大トリおよびトリを務めており、紅白的と感じるのはこの人選だけでも十分でしょう。なおMISIAさんは昨年大トリを担当した紅白でも「希望のうた」を披露しています。

一方で、先述したように一組の歌手が特別ステージ等を除き2回に渡ってパフォーマンスすることは紅白では基本的にみられないことです。また紅白でもその年のヒット曲披露は多くありませんが、MUSIC GIFTでは今年リリース曲の披露が圧倒的に少ない状況です。今回の放送当日が長崎原爆の日からちょうど80年にあたることもあり、戦争を二度と繰り返さないという制作側の意志が反映されていることを、選曲から感じています。

 

 

VTRが多めであり、事前収録分のパフォーマンス(放映)が終了した後の司会陣によるアナウンスが簡素であったこと、またVTR中における観客の立場を考えるに、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)のようにすべて会場からの生パフォーマンスにしたほうが好いと感じた点は否めません。また純烈および新浜レオンさんが持ち歌を披露できていない点も違和感を抱きましたが、それを除けば良い番組だったと感じています。

 

今年放送されるであろう紅白を想起するならば、まずはMrs. GREEN APPLEが新たなトリを務めると予感しています。司会が二宮和也さんだったということもあってか、二宮さん主演の映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022)の主題歌となった「Soranji」をMUSIC GIFTの大トリで披露していますが、「ケセラセラ」もパフォーマンスした上、大森元貴さんは『あんぱん』スペシャルステージにも登場しています。

Mrs. GREEN APPLEはベストアルバム『10』の大ヒットに伴い、ビルボードジャパンによるソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートにて構成6指標をすべて制するという完全制覇を成し遂げています。その紹介時に『Mrs. GREEN APPLEはベストアルバム『10』のリリースに伴い、さらなる高みへと到達した』と記しましたが、大森さんのドラマ出演も相まって紅白でもトリ相応といえるでしょう。

 

また今回は『あんぱん』スペシャルステージの中で、『それいけ!アンパンマン』(日本テレビ)で声優を務める戸田恵子さん、中尾隆聖さんおよび山寺宏一さんが「アンパンマンのマーチ」を披露していますが、紅白でも何かしらのステージが用意されるかもしれません。個人的には音楽チャートで存在感を示し続けているドリーミング「アンパンマンたいそう」が披露されると捉えています。

 

そして、今回の新たな音楽特番の司会を二宮和也さんが務めたことも大きいと考えます。

嵐は来年のコンサートツアーをもって活動終了することがアナウンスされていますが、何かしらの形でテレビでもパフォーマンスする可能性があると考えれば、活動休止前にグループとして最後のテレビ出演を果たした紅白に戻って来るというのが最もしっくりくるというのが私見。2020年の紅白は嵐が歌手別のリアルタイム視聴率でトップに立ったこともあり、紅白側、NHK側にとっても嵐の登場を切望しているはずです。

二宮和也さんのMUSIC GIFT司会起用をその礎とみなすのは考えすぎと言われかねませんが、同じく司会を務めた二階堂ふみさんは2020年の紅白で司会を担当しています。偶然かもしれませんがこの司会陣(の組み合わせ)はやはり嵐の紅白への流れを作っていると感じた次第です。

 

 

MUSIC GIFTは紅白と別ベクトルながら、来たるべき紅白への注目度が高めるという意味でも十分だったというのが自分の見方です。なお、MUSIC GIFTを含む今夏の長時間音楽特番に関する傾向は以下等でも記していますが、後日最終版を掲載します。