イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

MUSIC AWARDS JAPAN授賞式映像がYouTubeで国内視聴可能に…改善を願ってきた者としてさらなる提案を記す

5月に初開催されたMUSIC AWARDS JAPANの授賞式動画が、日本国内のYouTubeで昨日遂に出揃いました。

・5月19日開催 演歌・歌謡曲 LIVE (最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞 授賞式)

・5月21日開催 Premiere Ceremony

・5月22日開催 Grand Ceremony

また、Premiere CeremonyおよびGrand Ceremonyの国内向け公開に合わせ、ハイライト動画も公開されています。

これら動画が”YouTubeで” ”国内向けに”公開されたことに、安堵しています。

 

 

MUSIC AWARDS JAPANの授賞式は、Premiere CeremonyがYouTubeで、Grand CeremonyがYouTubeと(一部時間帯を除き)NHK総合で生配信(放送)され、演歌・歌謡曲 LIVE(最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞 授賞式)はBSテレ東/テレビ東京で収録にて放送されていました。一方でアーカイブの配信にはタイムラグが生じています。

<MUSIC AWARDS JAPAN アーカイブ配信の経緯>

 

・6月24日

 (国内向け・Lemino) Premiere CeremonyおよびGrand Ceremony 配信開始

 (国内向け・Lemino) Premiere CeremonyおよびGrand Ceremony レッドカーペット 配信開始

 

・7月1日

 (海外向け・YouTube) Premiere  CeremonyおよびGrand Ceremony 配信開始

 

・7月17日

 (国内および海外向け・YouTube) 演歌・歌謡曲 LIVE (最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞 授賞式) 配信開始

 

・7月24日

 (国内向け・YouTube) Premiere  CeremonyおよびGrand Ceremony 配信開始

 (国内向け・YouTube) ハイライト動画(”Highlights Reel”) 配信開始 (海外でも視聴可能の可能性有)

 

アーカイブ公開までにタイムラグが発生したことにも疑問を感じていましたが、国内配信がLeminoのみであった状況にはより強い違和感を抱き、以下のような発信を幾度となく行っていました。

国内向けにMUSIC AWARDS JAPAN Premiere&Grand Ceremonyを配信するLeminoは同賞のゴールドパートナーであるNTTドコモが提供するサービスゆえ、配信においてスポンサーへの配慮が最優先になっていると考えるのは自然なことでしょう。しかしここ数年の音楽業界の変化が芸能事務所枠やフィジカル/デジタルの垣根を超えること、いわば保身の排除によって生まれていると考えれば、今回の配慮にはやはり違和感を抱きます。

昨日の国内向けYouTube配信開始がどのような経緯で決まったかは解りかねますし、ともすれば既定路線であったのかもしれません。MUSIC AWARDS JAPANにはそのあたりを詳らかにしてほしいと願います。なお、Premiere  CeremonyおよびGrand Ceremonyのレッドカーペットの模様はLeminoのみで確認できる模様ゆえ、Leminoの優位性は現在でもある程度保たれているといえるでしょう。

 

 

MUSIC AWARDS JAPANに対しては、今回のYouTube公開経緯を明らかにすることに加えて以下の内容についても提案させていただきます。

 

ひとつは、パフォーマンス動画の歌手側YouTubeチャンネルでの公開です。Grand Ceremonyでのパフォーマンス動画は大半がMUSIC AWARDS JAPAN側の公式YouTubeチャンネルで単体にて公開されるも、たとえば矢沢永吉さんの映像はありません。またPremiere Ceremonyや演歌・歌謡曲 LIVE (最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞 授賞式)でのパフォーマンス映像(単体)は音楽賞側のYouTubeチャンネルに用意されていません。

この点は、たとえばMUSIC AWARDS JAPAN開催直後に米で行われたアメリカン・ミュージック・アワードでの対応と大きく異なります。特に重要なのは歌手側YouTubeチャンネルにパフォーマンス映像を貸与することであり、ビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標のみならず米ビルボードのグローバルチャートにおけるストリーミング指標にも動画再生分がカウント対象となる可能性は高まるのです。

MUSIC AWARDS JAPAN効果については後にデータが紹介されていますが、パフォーマンス映像を歌手側の公式YouTubeチャンネルでも公開すればその動画経由でサブスクサービスにてチェックする方も増え、来年はデータのさらなる上昇が見込めると考えます。また歌手側YouTubeチャンネルでのパフォーマンス映像公開は、歌手のファンがMUSIC AWARDS JAPANへの意識を高める点においても重要な役割を果たすはずです。

 

 

そしてもうひとつは、YouTubeアーカイブ化に伴う国内向け視聴数の分析と、テレビメディアへの提示です。

 

音楽番組においては未だYouTubeでのアーカイブ化が十分ではありません。『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の映像公開は1週間程度に限られ、NHK独自の制約に伴いSNS等での活用も不便といえます。また『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)では映像貸与が目立つものの、歌手側YouTubeチャンネルでの公開はTVer公開終了後が大半です。さらに、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)ではTVerでの公開自体未だ行われていません。

先述したように、歌手側のYouTubeチャンネルで公開することで動画再生分が音楽チャートの加算対象となるのですが、これは指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)を音楽パートナーと位置付けられたチャンネルのみが付番可能ゆえ。たとえば『DayDay.』(日本テレビ)では番組公式YouTubeチャンネルにてパフォーマンス映像を積極的に公開するも、音楽パートナーではないためチャートに加算されません。

音楽業界が日本の音楽を海外でも浸透させたいとするならば、MUSIC AWARDS JAPANの創設にその目的もあるならば、音楽業界のみならずメディア、特にテレビ業界における配信についての考え方を変えることが必要ではないでしょうか。音楽チャートでのカウントの仕組みを伝えること、貸与条件(価格等)を和らげることもさることながら、今回公開した映像のYouTube効果を分析し実績を届けることもまた必要と考えます。

ともすれば、アーカイブ化が遅れたことでYouTubeでの再生回数は思うほど伸びないかもしれませんが、その場合でもまずは分析と提示を願います。その上で、テレビメディアがYouTube活用に前向きになったとして、そこに著作権法等がネックとして立ちはだかるのならば、同法のネット時代に即した改正にも着手すべきとというのが自分の見方です。

 

 

MUSIC AWARDS JAPAN授賞式映像のYouTube公開を願ってきた者として今回の対応に感謝すると共に、さらなる改善を目指して動き続けることをMUSIC AWARDS JAPAN側に願います。