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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ビルボードによる”最強のファンダムはどの歌手か”を競う企画、今年の開催内容を分析する

ビルボードで、『Which artist's fan army is the strongest?』なるイベントが、今年も開催されています。最強のファンダムはどの歌手かを投票で競うというものです。

ブログ執筆時点では既に2回戦に突入しているこの企画は、世界中の歌手から64組を抽出しトーナメント方式で競わせるというもの。投票期間は各回戦1週間ずつ用意されている模様であり、現在開催中の2回戦は東部標準時の7月21日正午から28日正午までが投票期間となります。ハンドルネームおよびメールアドレスを入力すれば日本からも投票が可能、且つ複数回の投票が可能とのことです。

 

ビルボードによるこの企画は、昨年も行われています。

日本の歌手ではYOASOBIが唯一選ばれながらも、1回戦でグロリラに敗れています。他方韓国からは13組が選出され、1回戦では韓国の歌手同士による対決が2本用意されていました。

今年は日本からJO1、BE:FIRSTおよびMrs. GREEN APPLEの3組が登場しています(一方で韓国からの出場は9組に)。そのうちBE:FIRSTはケンドリック・ラマーに得票率48.0%対52.0%の僅差で、Mrs. GREEN APPLEはシザに対しおよそ3:7で敗れていますが、JO1はビリー・アイリッシュにおよそ6:4で勝利し、2回戦ではサブリナ・カーペンターと競っています。

 

 

この『Which artist's fan army is the strongest?』企画を、興味深く感じています。

64組の人選からは、今人気の歌手は誰か、また流行のジャンルはどれか(そしてそれを踏まえて歌手を選出しているだろうこと)等がみえてくるようです。今年選出されたバンドはスリープ・トークンとMrs. GREEN APPLEのわずか2組であり、現在の音楽界におけるバンドの位置付けが浮かび上がると言っても過言ではないかもしれません。

そして今年はJ-POP歌手において、先述したMrs. GREEN APPLEに加えて男性ダンスボーカルグループ2組が選ばれていますが、この1年の実績やファンダムの結束力が選出基準となっているならば納得がいくというのが私見です。そしてその流れを踏まえれば、来年のこの企画にNumber_iやHANAも選ばれる可能性があるのではと考えます。

 

 

さて、今回の注目はフィリピン発の男性ダンスボーカルグループ、SB19でしょう。2022年のこの企画でStray Kidsに敗れて準優勝となった彼らは(概要はこちら)、2023年(→こちら)そして2024年と連覇を達成。今年は1回戦でテイト・マクレーに対しおよそ8:2の大差で勝利し、2回戦ではアリアナ・グランデと争っています。ブログ執筆時点でアリアナに対しおよそ9:1と圧倒しているのですから、今年も優勝候補といえるでしょう。

SB19は今年初開催されたMUSIC AWARDS JAPANにて、一般投票部門である”推し活リクエスト・アーティスト・オブ・ザ・イヤー powered by USEN”の最終ノミネートに選出されています。最終的に受賞は叶わなかったものの(受賞結果はこちらに掲載)、米ビルボードの企画や日本の音楽賞で結果を残す(残そうとする)ファンダムの熱意を感じずにはいられません。

 

日本の音楽業界がグローバルに轟くために、歌手を支えるファンダムの高い熱量のみならず、そのファンダムがグローバルを強く意識することもまた必要ではないかということを、今回の企画およびSB19の動向から強く実感しています。