イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

歌ネットによる上半期歌詞検索ランキングの傾向、およびサイト未掲載のネットミーム曲について

(※今回紹介する作品の中には、不快感を与えるものが含まれます。その前提の下、当該エントリーをご確認ください。)

 

 

 

歌詞検索サイトの歌ネットは、今年上半期のアクセスランキングを発表しました。集計期間は昨年12月1日から今年5月31日までとなります。

 

上半期ランキングは昨年以前も行われています。この5年間における上半期トップ10をキャプチャし、リンクを貼付する形で紹介します。なお、集計期間はいずれも前年12月から5月までとなっています。

 

今年はこの5年において首位獲得曲の歌詞ページアクセス数が最も少ない一方、10位におけるアクセス数は今年が最多であり、これは30位においても同様です。

この状況に大きく貢献したのはMrs. GREEN APPLEで間違いないでしょう。歌手別ランキングでは『2022年~2024年まで3年連続で“童謡・唱歌”が1位を独走』しながら『今回、その記録を押さえて1位に』達しています(『』内は記事より)。加えて2025年上半期の歌手別アクセス総数はこの5年において唯一、1千万超えを果たしています。

 

楽曲別に話を戻すと、ビルボードジャパン上半期ソングチャートの上位曲もランクインしながら、ネットで話題を博した曲の30位以内ランクインも目立っています。またロングヒット曲はビルボードジャパンソングチャートに比べて歌詞検索ランキングのほうが目立ちにくい状況ですが、その中にあってCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の凄さが際立っているといえます。

やみの おねえさん「きょういくばんぐみのテーマ」(楽曲別14位)は、”歌ってみた”等に代表されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の人気を示すビルボードジャパンによるTop User Generated Songsチャートで今年度上半期に6位を獲得しながら、総合ソングチャートでは週間100位以内に登場していません。ネットミームの可視化という点で、歌詞検索ランキングの有効性を実感できる事例ではないでしょうか。

 

 

さて一方で、ネットミームになりながらもこのランキングにない曲があります。

Xにて世界最大の歌詞サイトと紹介しているGenius Japanでは上半期ランキングが用意されていませんが、国内向けの楽曲別歌詞検索ランキングではAIにて制作されたライララ(モチモチ)名義の「YAJU&U」が5月までに通算7週に渡り首位を獲得しています。TuneCore Japanに掲載されたランキング実績(→こちら)をみると日本以外の国でも結果を残していることが解るのですが、歌ネットではこの曲の歌詞が掲載されていません。

真夏の夜の淫夢 - Wikipediaより

(今後Wikipediaページが書き換えられる可能性を踏まえ、7月21日20時50分時点の掲載内容をキャプチャし貼付しています。)

この曲は前年から話題になっている一方で、問題を孕んでいます。曲がモチーフとした元々のネットミームがLGBTQへの蔑視を伴うことに加えて、たとえば元の映像作品に登場した方がその出演を後悔しているとして、それをいつまでも忘れさせないかの如くネタ化するという悪しきネットやお笑い文化を反映していると考えれば、そのような作品の歌詞を載せていない歌ネットの姿勢は適切ではないかというのが私見です。

 

尤も、Genius Japanで人気が可視化されている曲が歌ネットに掲載されていない真の理由は解りかねますが、日本の音楽制作側もそして市井も、自身の倫理観は正しいか、人権意識は時代や世界に遅れを取っていないか等をきちんと自問自答することが重要だということを、ふたつの歌詞検索サイトにおける差異から実感しています。